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私を捨て義妹を選ぶなど…清楚で純粋な女が好きと言ったあなたの目は節穴ですね。

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「お前のように男遊びが激しいふしだらな女は嫌だ、婚約破棄してくれ。」

「…私が?それは一体どういう─」

密告みっこくがあったんだ。」

 ある日自分の元に、一通の手紙が届いた。

 そこには婚約者である私が、複数の男と関係を持っていると書いてあった。

「庭師に始まり、幼馴染に友人まで…!」

「私には、全く心当たりがありません!」

「いいや。俺はその後、その男たちに会って話を聞いた。そうしたら、お前との関係を全員が認めた!」

「そんな…!」

 結局、私は彼に捨てられた。

 彼はその後、私の義妹と改めて婚約し直した─。

※※※

「大人しそうな顔して男を手玉に取るなど…家同士の約束とはいえ、そんな女と婚約など続けられるか。」

「お姉様はあんな顔して、裏では酷い事ばかりしてるの。男遊びだけじゃない…血が繋がらない私を虐めてくるのよ。」

「…ならば俺の家の力で、あいつをこの地から追放してやろうか?そうすれば、俺と君の中を邪魔される事もない。」

 俺自身、その方が都合がいい─。

 実はあの手紙が届いた時、始めは俺に対する講義こうぎの手紙だと思った。

 というのも、俺はあの女と婚約しながらも複数の女と関係を持っていた。

 俺の好みは、清楚せいそ純粋じゅんすいな大人しい女だ。
 そしてそういう女は口がかたく、遊ぶにはもってこいの相手だ。

 特定の相手は居ないと嘘を付いて近づき関係を持ち、きたら適当てきとうな理由を付け別れるを繰り返していた…それが知られ、怒った女の中の誰かがよこした物だと思ったのだ。

 結局は、俺の秘密ではなく、あいつの秘密がバレただけだったか…。

 しかし、あいつを悪者に別れる事が出来て良かった。
 おかげで、この義妹と結ばれる事が出来たのだから。

 彼女は、俺好みの清楚で純粋な大人しい女な上に、あいつやこれまでの女たちより美しい容姿ようしをしているしな─。

※※※

「い、今になって慰謝料を払えとはどういう事だ!?」

「私、あの手紙の内容に納得できなくて、自分でも調べたんです。その際、あなたが浮気していた事が分かりましてね。私の事、とても責められないじゃない!」

えらそうに言うが…お前だって浮気してたんだ、だからおあいこだ!」

「あの手紙は、全くのでたらめですよ。」

 あの手紙の差出人は義妹だった。

 あの子は彼を自分のものにしたくて、あんな手紙を書いてよこしたのだ。

「だが、男たちは皆認めて…!」
 
「そう答えるよう、義妹に指示しじされていたの。彼らはそれを断れなかった。義妹にお金を渡されていたのもあるけど、体の関係があったから余計にね。あの男たちと関係を持っていたのは私じゃない、あの子の方よ。」

「馬鹿な…あの子は清楚で純粋な大人しい女だ。おまけにお前に虐められると、泣いて訴えた女だぞ!」

「あの子の虚言癖きょげんへきには困ったものね。おまけにあの子ってば嘘泣きが得意だから、周りの皆はすぐ信じてしまう。あたたも例にれずだったようね。それにしても、清楚で純粋な大人しい女が好みと言い散々色んな女と付き合って来たのに、最後に義妹を選ぶなんて…あなたの目は節穴ふしあなね─。」

※※※

 彼と義妹の婚約はすぐに破棄になった。

 その後彼は、今度は本当に捨てた女たちから抗議の手紙が届き、集団で訴えられる事となった。
 彼は彼女たちにも慰謝料を払う羽目になり、自身の財産を全て失ってしまった。

 義妹は怒った父により、関係のあった男共々この地から追放された。
 金で彼らを従わせていた彼女だったけど、今ではすっかり立場が逆転し、男たちに散々こき使われ、体まで売らされているそうだ。

 私は父のすすめもあり、改めて婚約をする事に─。

 お相手はとても真面目な人で、浮気の心配など全くない。
 彼自身、浮気など不潔ふけつな関係は嫌だときっぱり言ってくれている。
 そして、誰よりも清楚で純粋な君が好きだと言ってくれた─。

 彼の目は、間違いなく節穴ではない…だって私は、私を愛してくれる人にしか身も心もささげないもの。
 そういう相手に今度こそ出会えて、私はとても幸せよ─。
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