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私の婚約者が幼馴染を好きになり、婚約破棄を告げられましたが…悪女の思い通りにはさせません!
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「俺との婚約を破棄してくれ。君への愛が…もう無くなったんだ。」
私は彼から、突然別れを告げられた。
私のどこが悪かったんだろう…ついこの間デートしたばかりよね?
なのに、こんな急な心変わりは一体…。
※※※
その数日後、私は元婚約者が別の女性に告白している所に遭遇した。
あれは…そうか気になる人って、幼馴染の事だったのね─!
「…すぐに付き合うという訳にはいかないわ。私の事が好きだとちゃんと私に伝わるまで、行動で見せて欲しいの。」
「分かったよ、君が望む物を何でもプレゼントするし、君の言う事は何でも聞く。」
待ってよ…あの子、似たような事を別の男に言われてた。
この前、道端で彼女に話しかけて来た男も、君が好きだから言う事は何でも聞くって…。
様子がおかしかったからこっそり見てたんだけど、まさに今と同じ状態だった。
幼馴染は、お城に出入りしている魔術師の一族で、中々の魔力を持っていた。
でもつい最近、本人は魔力を失ったと言っていた。
彼女はその理由を、強い術を使い魔力を失ったからだと、私に語ったけれど─。
でも…本当に魔力が無いのかしら?
だって彼女を好きだと言う彼らの様子を見ていると、何だかいいなりというか…操り人形になったみたいに見える。
もし彼女にまだ魔力が残っていて、それを人の心を操る事に使ってるんだとしたら…でも、一体何の為にそんな事をする必要が─?
※※※
「はい、君が欲しがっていた魔法具に魔術書だよ。でもこんな物でいいのかい?もっと他にドレスとか、アクセサリーとか─」
「いいの、言われた通りの物を持って来て頂戴。」
あなたに買ってもらうより、あの方に買ってもらった方がよほど高価なものが手に入るわ。
今の私にとっては、こっちの方が重要なのよ。
弱まった魔力を元の…いいえ、それ以上の魔力にしなければ。
そして今度こそ、あそこに入り込み、彼を─。
「そう言えば…あの子が家を出て行く所を見たわ。余程あなたに捨てられた事が、堪えたのでしょうね。」
「そ…そうか。」
「何よ…あなた泣いてるの?そんな悲しい顔しないでよ。」
これは…もう魔法の効力が弱まっている?
もう一度魔法をかけ直すか…いや、こんな所で魔力を使ってる場合じゃ…私は一刻も早く魔力を回復し、それで─。
「それで王子に黒魔法を使い、心を操ろうって言うの?王子が、あなたの初恋の相手だから?」
「あ、あなた…勝手に家に入らないでよ!」
「魔法具と魔術書…これで魔力を高めて、お城に入り込むつもりだったんでしょ。でもそれでも、お城に居る魔術師には敵わないんじゃない?あなたも愚かな女ね…黒魔法で王子を操り自分のものにしようと近づき、魔術師に返り討ちにあうなんて。せっかく追っ手から逃れ、見つからずに済んでいたのに…また良からぬ事を企んで…。」
「あなた、どこまで知って…。」
「全部よ。彼と別れてからというもの、あなたの身辺を探らせて貰ったから。それであなたのやろうとしてる事が分かった。あなたは残り少ない魔力を使い男たちに魅了の魔法をかけ、魔法具や魔術書を集めさせた。追われて居る自身が買い集めていたのでは怪しまれるから。あなたは、自分の手駒になる男が欲しかっただけなのね。」
「…だって、私は王子に愛されたいのよ!」
「それは無理よ。もう王子様には婚約者が居らっしゃるそうだから。」
「そんな…いつの間に、そんな相手が!?」
「これからあなたが行くのは、王子の元じゃなくて牢の中よ。王子に危害を加えようとしたあなたを、城の兵が捕らえるわ。」
「嫌よ…私はもう一度お城に、王子の元に─!」
※※※
幼馴染は捕らえられ、すぐに牢に入れられた。
彼女は必死に言い訳を並べたが…男たちに用意させた魔法具や魔法書が証拠となり、それは叶わなかった。
二度も王子を狙った彼女は、投獄だけでは済まなかった。
彼女は完全に魔力を封じられた上で、王子に近づけないよう、絶海の孤島へと送られてしまったのだ。
そして彼女に操られていた男たちは、彼女の魔力が無くなると同時に元の状態へと戻った。
勿論、私の婚約者もだ。
彼は操られていた時の記憶は無いようで…私に、心の底から謝って来た。
そして私はそれを受け入れ、彼を許す事にした。
だって…私が出て行ったと彼女が話した時、彼は辛そうな、申し訳なさそうな顔をしてたのが見えたから…それはきっと私の事を、心の底では想ってくれてたからだと思うの。
私はまだ、ちゃんと彼に愛されてるという事が分かったから…悪女の幼馴染も居なくなった事だし、もう一度彼とやり直し幸せにと思うわ─。
私は彼から、突然別れを告げられた。
私のどこが悪かったんだろう…ついこの間デートしたばかりよね?
なのに、こんな急な心変わりは一体…。
※※※
その数日後、私は元婚約者が別の女性に告白している所に遭遇した。
あれは…そうか気になる人って、幼馴染の事だったのね─!
「…すぐに付き合うという訳にはいかないわ。私の事が好きだとちゃんと私に伝わるまで、行動で見せて欲しいの。」
「分かったよ、君が望む物を何でもプレゼントするし、君の言う事は何でも聞く。」
待ってよ…あの子、似たような事を別の男に言われてた。
この前、道端で彼女に話しかけて来た男も、君が好きだから言う事は何でも聞くって…。
様子がおかしかったからこっそり見てたんだけど、まさに今と同じ状態だった。
幼馴染は、お城に出入りしている魔術師の一族で、中々の魔力を持っていた。
でもつい最近、本人は魔力を失ったと言っていた。
彼女はその理由を、強い術を使い魔力を失ったからだと、私に語ったけれど─。
でも…本当に魔力が無いのかしら?
だって彼女を好きだと言う彼らの様子を見ていると、何だかいいなりというか…操り人形になったみたいに見える。
もし彼女にまだ魔力が残っていて、それを人の心を操る事に使ってるんだとしたら…でも、一体何の為にそんな事をする必要が─?
※※※
「はい、君が欲しがっていた魔法具に魔術書だよ。でもこんな物でいいのかい?もっと他にドレスとか、アクセサリーとか─」
「いいの、言われた通りの物を持って来て頂戴。」
あなたに買ってもらうより、あの方に買ってもらった方がよほど高価なものが手に入るわ。
今の私にとっては、こっちの方が重要なのよ。
弱まった魔力を元の…いいえ、それ以上の魔力にしなければ。
そして今度こそ、あそこに入り込み、彼を─。
「そう言えば…あの子が家を出て行く所を見たわ。余程あなたに捨てられた事が、堪えたのでしょうね。」
「そ…そうか。」
「何よ…あなた泣いてるの?そんな悲しい顔しないでよ。」
これは…もう魔法の効力が弱まっている?
もう一度魔法をかけ直すか…いや、こんな所で魔力を使ってる場合じゃ…私は一刻も早く魔力を回復し、それで─。
「それで王子に黒魔法を使い、心を操ろうって言うの?王子が、あなたの初恋の相手だから?」
「あ、あなた…勝手に家に入らないでよ!」
「魔法具と魔術書…これで魔力を高めて、お城に入り込むつもりだったんでしょ。でもそれでも、お城に居る魔術師には敵わないんじゃない?あなたも愚かな女ね…黒魔法で王子を操り自分のものにしようと近づき、魔術師に返り討ちにあうなんて。せっかく追っ手から逃れ、見つからずに済んでいたのに…また良からぬ事を企んで…。」
「あなた、どこまで知って…。」
「全部よ。彼と別れてからというもの、あなたの身辺を探らせて貰ったから。それであなたのやろうとしてる事が分かった。あなたは残り少ない魔力を使い男たちに魅了の魔法をかけ、魔法具や魔術書を集めさせた。追われて居る自身が買い集めていたのでは怪しまれるから。あなたは、自分の手駒になる男が欲しかっただけなのね。」
「…だって、私は王子に愛されたいのよ!」
「それは無理よ。もう王子様には婚約者が居らっしゃるそうだから。」
「そんな…いつの間に、そんな相手が!?」
「これからあなたが行くのは、王子の元じゃなくて牢の中よ。王子に危害を加えようとしたあなたを、城の兵が捕らえるわ。」
「嫌よ…私はもう一度お城に、王子の元に─!」
※※※
幼馴染は捕らえられ、すぐに牢に入れられた。
彼女は必死に言い訳を並べたが…男たちに用意させた魔法具や魔法書が証拠となり、それは叶わなかった。
二度も王子を狙った彼女は、投獄だけでは済まなかった。
彼女は完全に魔力を封じられた上で、王子に近づけないよう、絶海の孤島へと送られてしまったのだ。
そして彼女に操られていた男たちは、彼女の魔力が無くなると同時に元の状態へと戻った。
勿論、私の婚約者もだ。
彼は操られていた時の記憶は無いようで…私に、心の底から謝って来た。
そして私はそれを受け入れ、彼を許す事にした。
だって…私が出て行ったと彼女が話した時、彼は辛そうな、申し訳なさそうな顔をしてたのが見えたから…それはきっと私の事を、心の底では想ってくれてたからだと思うの。
私はまだ、ちゃんと彼に愛されてるという事が分かったから…悪女の幼馴染も居なくなった事だし、もう一度彼とやり直し幸せにと思うわ─。
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