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婚約者の元恋人が復縁を望んでいるので、婚約破棄してお返しします。
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「私に彼を返してよ!」
彼女は婚約者の元恋人だ。
話があると呼ばれ、開口一番にそう告げられた。
どうやら彼女は、彼との復縁を望んでいる様だ。
「…そういう事は、あんなことする前に言うべきじゃない?私、知ってるわよ。あなたたちが少し前から、連絡を取り合って密会してたの。」
「仕方ないでしょ、気持ちが止められなかったんだから…。それに、私だけじゃないわ!彼も、私との復縁を望んでるのよ。」
「あの人が、そう言ったの?」
「ええ。あいつはお金に細かくて口うるさいから嫌だ、お前の様に何でも受け入れてくれる女がいいって。」
「あの人、そんな事…。」
どうやら彼も、まんざらではないらしい。
「私ならどんな彼でも受け入れる、どんな彼でも愛せるわ!」
「…分かりました。そういう事なら、婚約破棄してお返ししますね。でも、後から要らないと言うのは無しですから。」
「要らないなんて、言う訳ないでしょ!」
※※※
「あいつ、簡単に別れてくれたな。お前に任せて良かった」
「ああいうのは、女同士の方がいいのよ。きっと、私の魅力に恐れをなしたのよ。私の方が可愛いし、負けたと思ったんでしょ。」
「おまけに慰謝料も請求しないとは、つくづく間抜けな女だぜ。」
これで、私と彼の幸せな暮らしが始まるわ。
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの言葉は少し引っかかるけど…あれは、負け惜しみだったのかしら─?
※※※
「ちょっと、これどういう事よ!」
「何だ、そんなに焦って?」
「あの女から手紙が届いたのよ!あなた、あの女から随分お金を借りていたのね。それを、倍にして返済しろって!あなた、その旨が書かれた借用書にサインしたって言うじゃない!もし返さないなら、あなたを訴えるって。あなたが無理なら、私に返せって…!」
「確かにサインはしたが、あの時は酔っ払ってて覚えが…。」
「そもそも、何でこんなにお金を借りてたのよ!?この金額の倍を返せだなんて、私破産しちゃうわ!」
「金持ちのご令嬢なんだから、助けてくれよ?この借金は、お前が豪華な食事や高いドレスをねだったからだ…お前の借金だと思って、な?」
「借金だと知ってたら、そんなの欲しがらなかったわよ!あなたみたいな男、もう要らな─っ!」
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの女、全て分かってたのね。
この人の借金も、私がこうなることも分かって…だから慰謝料も取らずに─!
私は、がっくりとその場に崩れ落ちた。
※※※
私は、2人から無事にお金を返してもらった。
自分たちの持っているお金をかき集め、何とかしたらしい。
でもそのせいで、今は苦しい生活を送っているそうだ。
そしてお金が無いせいで2人の間には喧嘩が絶えず、別れるのも時間の問題らしい。
別れるのは勝手だけど、だからって彼を返品してこないでね。
あなたと違って、私は復縁は望んでませんし。
私にはもう、真面目で誠実な恋人が居るもの。
でもあなた、私に言ったわよね。
要らないなんて、言う訳ないって。
…だってあなたは、どんな彼でも愛せるんでしょ─?
彼女は婚約者の元恋人だ。
話があると呼ばれ、開口一番にそう告げられた。
どうやら彼女は、彼との復縁を望んでいる様だ。
「…そういう事は、あんなことする前に言うべきじゃない?私、知ってるわよ。あなたたちが少し前から、連絡を取り合って密会してたの。」
「仕方ないでしょ、気持ちが止められなかったんだから…。それに、私だけじゃないわ!彼も、私との復縁を望んでるのよ。」
「あの人が、そう言ったの?」
「ええ。あいつはお金に細かくて口うるさいから嫌だ、お前の様に何でも受け入れてくれる女がいいって。」
「あの人、そんな事…。」
どうやら彼も、まんざらではないらしい。
「私ならどんな彼でも受け入れる、どんな彼でも愛せるわ!」
「…分かりました。そういう事なら、婚約破棄してお返ししますね。でも、後から要らないと言うのは無しですから。」
「要らないなんて、言う訳ないでしょ!」
※※※
「あいつ、簡単に別れてくれたな。お前に任せて良かった」
「ああいうのは、女同士の方がいいのよ。きっと、私の魅力に恐れをなしたのよ。私の方が可愛いし、負けたと思ったんでしょ。」
「おまけに慰謝料も請求しないとは、つくづく間抜けな女だぜ。」
これで、私と彼の幸せな暮らしが始まるわ。
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの言葉は少し引っかかるけど…あれは、負け惜しみだったのかしら─?
※※※
「ちょっと、これどういう事よ!」
「何だ、そんなに焦って?」
「あの女から手紙が届いたのよ!あなた、あの女から随分お金を借りていたのね。それを、倍にして返済しろって!あなた、その旨が書かれた借用書にサインしたって言うじゃない!もし返さないなら、あなたを訴えるって。あなたが無理なら、私に返せって…!」
「確かにサインはしたが、あの時は酔っ払ってて覚えが…。」
「そもそも、何でこんなにお金を借りてたのよ!?この金額の倍を返せだなんて、私破産しちゃうわ!」
「金持ちのご令嬢なんだから、助けてくれよ?この借金は、お前が豪華な食事や高いドレスをねだったからだ…お前の借金だと思って、な?」
「借金だと知ってたら、そんなの欲しがらなかったわよ!あなたみたいな男、もう要らな─っ!」
『…でも、後から要らないと言うのは無しですから。』
あの女、全て分かってたのね。
この人の借金も、私がこうなることも分かって…だから慰謝料も取らずに─!
私は、がっくりとその場に崩れ落ちた。
※※※
私は、2人から無事にお金を返してもらった。
自分たちの持っているお金をかき集め、何とかしたらしい。
でもそのせいで、今は苦しい生活を送っているそうだ。
そしてお金が無いせいで2人の間には喧嘩が絶えず、別れるのも時間の問題らしい。
別れるのは勝手だけど、だからって彼を返品してこないでね。
あなたと違って、私は復縁は望んでませんし。
私にはもう、真面目で誠実な恋人が居るもの。
でもあなた、私に言ったわよね。
要らないなんて、言う訳ないって。
…だってあなたは、どんな彼でも愛せるんでしょ─?
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