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婚約者と妹の裏切りで、一人ぼっちになった自分の運命を呪いましたが…今は幸せです!
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私の妹と婚約者が、この家を出ると言い出した。
「俺たち、王都である仕事を始める事にした。田舎暮らしにも嫌気が差して居たし…いい機会だと思ってな。」
「…待って下さい!お父様亡き後、私を一人にしない…守ると言ったのは、嘘だったんですか?」
「そんな昔の約束など、無効だ。お前が…この家の金の管理を、俺に任せてくれないからいけないんだ。せっかく金があるのに使えないなんて…お前といてもつまらんだけだ!」
そして、それを聞いていた妹はクスクスと笑い、こう言い放った。
「お姉様は気付いて無いようだけど…彼と私はね、深く愛し合ってるの。彼が出て行くなら、私も一緒…どこまでも付いていくわ。」
「そう言う事だ。お前とは、もう婚約破棄だ。」
「そんなの、あんまりです…!」
「お姉様もしつこいわねぇ。そんなに泣くなら、一緒に来る?ただし…私の使用人としてだけどね。」
「それはいい、せいぜいこき使ってやるぞ?」
私は首を振り、その場に崩れ落ちた。
そんな私を見て、二人はゲラゲラと笑い…荷物をまとめ、この家を出て行ってしまった─。
※※※
二人が家を出て、半年余りが経った。
最初は孤独と裏切られたショックで泣いて過ごしていた私だけれど…今は、漸く落ち着いてきた。
あんな裏切者たちの事をいつまでも思い泣いて居ては、馬鹿らしいものね─。
その時…私の家を訪ねる者が─。
戸を開けてみれば、そこには意外な人物が立って居て…私は、驚くべき事実を知る事となった─。
※※※
そして今…私の目の前には、この家を去ったはずの婚約者と妹が居る。
「お姉様…私たちの仕事を、手伝ってくれない?」
「俺たち二人じゃ、今の仕事量をこなせなくてな?過去の事は水に流し、俺たちに協力してくれよ、な?」
そう言って二人は、私に猫なで声で提案して来た。
「いいえ、お断りします。」
「な、何でよ?また三人で、仲良くここで暮らせるのよ?私達、もう王都へは戻らないから。」
「そうだ、水臭い事を言うな。何、お前でも出来る簡単な仕事だ。魔法薬の製造に、お前の魔力を分けて欲しいと言うだけで─」
「そうやって、私も悪の道に引き込む気?それとも…そうする事で、今までの悪事を全部私に押し付ける気かしら?」
「お、お前…?」
「あなたたちがやっていた仕事は、王都で違法魔法薬を製造、販売するというものだった。でも自分たちが製造元とバレそうになると、あなたたちは憲兵から逃れる為、ここに戻って来た。そして私に魔法薬を作らせ…今までの薬も私の指示で売って居た事にしようとしたんでしょう?」
「な、何故それを!?」
「あなたたちが来るより、一足早くこの地の領主様が来てね。この領地で、あの二人を見かけたという情報がある…もうすぐここに逃げてくるかも知れないから用心するようにと、教えてくれたの。」
「そんな…!」
二人は顔色を変え、慌てて家を飛び出したが…庭に潜んでいた憲兵たちに、すぐに取り押さえられた─。
「お姉様、助けて!私、牢屋になんか入りたくないわ!」
「私を裏切ったあなたを、何故助けないといけないの?いいじゃない…あなたは、その男と愛し合っているんでしょう?だったら、牢の中まで一緒に居れば?」
「お前は、その領主と仲が良かっただろう?何とか俺たちの罪が軽くなるよう、頼んで─」
「それは無理よ。こうして逃げて来てこの地にまで迷惑をかけた事を、領主である彼が許す訳ないでしょう?」
すると、憲兵と共に出て来た彼がやって来て…私の肩を抱き、こう言った。
「それに…俺と彼女はもうすぐ婚約するんだ。だから、その彼女を傷付けたお前たちに、俺が慈悲を与えると思うか?」
彼の言葉に、二人は真っ青な顔になり…その場に崩れ落ちた─。
※※※
その後、二人は揃って牢に入れられ、その後裁きを受けた。
二人の作った魔法薬は薬としての効果はないどころか、毒性が強いものもあり…そんな物を作りだし販売した二人は、一生牢の中に入れられる事となった。
そして私はというと…今は領主の彼の元で、幸せに暮らして居る。
最初はあの家に一人取り残され、悲しみの余り自分の運命を呪った事もあったけれど…あの二人に無様に泣き縋り、共に着いて行く事を選ばず本当に良かったわ─。
「俺たち、王都である仕事を始める事にした。田舎暮らしにも嫌気が差して居たし…いい機会だと思ってな。」
「…待って下さい!お父様亡き後、私を一人にしない…守ると言ったのは、嘘だったんですか?」
「そんな昔の約束など、無効だ。お前が…この家の金の管理を、俺に任せてくれないからいけないんだ。せっかく金があるのに使えないなんて…お前といてもつまらんだけだ!」
そして、それを聞いていた妹はクスクスと笑い、こう言い放った。
「お姉様は気付いて無いようだけど…彼と私はね、深く愛し合ってるの。彼が出て行くなら、私も一緒…どこまでも付いていくわ。」
「そう言う事だ。お前とは、もう婚約破棄だ。」
「そんなの、あんまりです…!」
「お姉様もしつこいわねぇ。そんなに泣くなら、一緒に来る?ただし…私の使用人としてだけどね。」
「それはいい、せいぜいこき使ってやるぞ?」
私は首を振り、その場に崩れ落ちた。
そんな私を見て、二人はゲラゲラと笑い…荷物をまとめ、この家を出て行ってしまった─。
※※※
二人が家を出て、半年余りが経った。
最初は孤独と裏切られたショックで泣いて過ごしていた私だけれど…今は、漸く落ち着いてきた。
あんな裏切者たちの事をいつまでも思い泣いて居ては、馬鹿らしいものね─。
その時…私の家を訪ねる者が─。
戸を開けてみれば、そこには意外な人物が立って居て…私は、驚くべき事実を知る事となった─。
※※※
そして今…私の目の前には、この家を去ったはずの婚約者と妹が居る。
「お姉様…私たちの仕事を、手伝ってくれない?」
「俺たち二人じゃ、今の仕事量をこなせなくてな?過去の事は水に流し、俺たちに協力してくれよ、な?」
そう言って二人は、私に猫なで声で提案して来た。
「いいえ、お断りします。」
「な、何でよ?また三人で、仲良くここで暮らせるのよ?私達、もう王都へは戻らないから。」
「そうだ、水臭い事を言うな。何、お前でも出来る簡単な仕事だ。魔法薬の製造に、お前の魔力を分けて欲しいと言うだけで─」
「そうやって、私も悪の道に引き込む気?それとも…そうする事で、今までの悪事を全部私に押し付ける気かしら?」
「お、お前…?」
「あなたたちがやっていた仕事は、王都で違法魔法薬を製造、販売するというものだった。でも自分たちが製造元とバレそうになると、あなたたちは憲兵から逃れる為、ここに戻って来た。そして私に魔法薬を作らせ…今までの薬も私の指示で売って居た事にしようとしたんでしょう?」
「な、何故それを!?」
「あなたたちが来るより、一足早くこの地の領主様が来てね。この領地で、あの二人を見かけたという情報がある…もうすぐここに逃げてくるかも知れないから用心するようにと、教えてくれたの。」
「そんな…!」
二人は顔色を変え、慌てて家を飛び出したが…庭に潜んでいた憲兵たちに、すぐに取り押さえられた─。
「お姉様、助けて!私、牢屋になんか入りたくないわ!」
「私を裏切ったあなたを、何故助けないといけないの?いいじゃない…あなたは、その男と愛し合っているんでしょう?だったら、牢の中まで一緒に居れば?」
「お前は、その領主と仲が良かっただろう?何とか俺たちの罪が軽くなるよう、頼んで─」
「それは無理よ。こうして逃げて来てこの地にまで迷惑をかけた事を、領主である彼が許す訳ないでしょう?」
すると、憲兵と共に出て来た彼がやって来て…私の肩を抱き、こう言った。
「それに…俺と彼女はもうすぐ婚約するんだ。だから、その彼女を傷付けたお前たちに、俺が慈悲を与えると思うか?」
彼の言葉に、二人は真っ青な顔になり…その場に崩れ落ちた─。
※※※
その後、二人は揃って牢に入れられ、その後裁きを受けた。
二人の作った魔法薬は薬としての効果はないどころか、毒性が強いものもあり…そんな物を作りだし販売した二人は、一生牢の中に入れられる事となった。
そして私はというと…今は領主の彼の元で、幸せに暮らして居る。
最初はあの家に一人取り残され、悲しみの余り自分の運命を呪った事もあったけれど…あの二人に無様に泣き縋り、共に着いて行く事を選ばず本当に良かったわ─。
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