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自分には幸せな人生しかないと思い込み私を見下す妹は、最大の不幸を手にしたようです。
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よく眠っていらっしゃるわ。
部屋が暗くてその寝顔までは良く見えないけれど、私が近づいても起きる気配は無い。
お酒にかなり弱いと言うのは、本当だったわね。
パーティー会場で、アルコールの強いお酒とすり替え沢山飲ませたから、暫く目が覚めないでしょう。
私はベッドに乗り上げると、彼にキスをした。
「ねぇ、私を抱いて…?」
その言葉に、彼は私を勢い良くベッドに押し倒した。
やはり、彼はお姉様より私を求めていたんだわ。
だってそうよね…昔、私を幸せにしてくれる…お嫁さんにしてくれると言って下さったもの。
その時から、私はずっと彼と結ばれると信じ生きて来た─。
残念だったわね、お姉様。
彼の心も体も、私が頂いちゃうわ─。
※※※
夜が明け始め部屋の中がうっすら明るくなり…私は彼の腕の中で目を覚ました。
しかしその時になって、私は妙な違和感を感じた。
この私を抱く腕…何だかブヨブヨしていない?
それに、お腹のお肉もタプタプしていて…そのせいで、私はベッドから落ちそうよ。
すると目を覚ましたらしい彼が、私に口づけを交わして来た。
ちょっと待ってよ…何かが、おかしいわ─!
そして朝の光が差し込んだ時、私は衝撃の事実を目にした。
「あ、あなた…彼の義弟じゃないの…!どうしてあなたがここに居るのよ!?」
すると彼は、怒ったようにこう言った。
「お前が俺に酒を飲ませ、ここへ連れ込んだんだろう!?そして、俺を誑かしたんだ!」
「そんな…私が誘ったのは、あなたの兄…私の好きな人よ!」
すると義弟は、私を見てゲラゲラ笑った。
「お前もあの男が好きなのか。やはり女は、ああいう美形が好きなんだな。俺のような不細工、まるで相手にしない。だから俺は、魔法を使いあの男に変身してな…そしてパーティーに出て、女を引っ掛けてるんだ。でもそれがついにあいつと父上にバレて…昨日でもう終わりにするよう、約束させられたんだ。」
「そ、そんな…!」
「しかもな、その最後の夜に抱いた女と婚約するようきつく言われてな。その約束を破ったら、今までの悪事を含め罰を与えると言われていた。でもまさか…最後にこんな美しい女を引っ掛けられるとは、俺も運がいい。」
「わ、私はあなたと婚約などしたくない!私は、彼と幸せになるのよ…彼に愛され幸せな人生を送ると、そう決まってるんだから!」
そんな私に、彼はまたゲラゲラと笑った。
「そうか…あの男が言っていたしつこい女と言うのは、お前の事だな。あいつは、お前が大嫌いだと言って居たぞ?しかも、好きなのは昔からその女の…お前の姉だって。自分を好きになってくれなきゃ、姉を虐めると言うお前に対し、仕方なく偽の好意を伝えたが…本心では大嫌いだったってな。」
「う、嘘よ…あの人が私を嫌いだなんて─!」
「まぁ、もうお前の身体は俺のものになってしまったんだ。言っておくが、俺から逃げようとしても無駄だぞ?お前の体の中に注いでやった俺の魔力で、二度と俺から離れられない体にしたんだから。もし俺の視界からお前が消えるような事があれば…俺の魔力が、お前の身体を壊す。」
その言葉に、私は真っ青になり涙を流した。
こんな事になるなんて…お姉様、あなた嘘を付いたわね…!
あのパーティに、彼と参加するって言ってたじゃない!
そして彼だって、パーティーを楽しみにしてると話して居たのに…。
結局、私は二人に騙されて居たの─!?
※※※
「…今頃、あの二人は結ばれて居る頃でしょうか。」
「あぁ、きっとね。あの義弟は、美しい女に目がないから。きっと彼女の事を気に入り、すぐに夢中になるさ。そしてそうなったら、もう彼女を離しはしない。」
彼の義弟は、今後は田舎にある別荘で婚約者…つまり、妹と一緒に暮らす予定だと言う。
「別荘と言っても、本当は使われてないただの古い屋敷だ。しかも二度と悪さが出来ないよう、監視を付けての厳しい暮らしをさせられる。それが嫌になっても、逃げ出す事など叶わない。義弟も、君の妹も。」
「…それなら安心です。あの子は、自分の美しさを鼻にかけ、今まで多くの男に手を出してきた。その癖、あなたの愛を独り占めしたくて…自分とあなたが結ばれ幸せになる事を疑わず、私を地味女と見下し邪魔者扱いし、更には虐めて来た悪女ですもの。」
「俺にとっても、君にとっても厄介な存在が、二人揃って消えたんだ。これ程幸せな事はない。俺と結ばれ幸せになるのは、あの子じゃない…君だよ?」
そして私を抱き寄せる婚約者に、私は笑みを浮かべ、その身を任せた。
私は、これで漸く幸せを手にする事が出来たんだ…。
そして反対に、自分には幸せな人生しかないと思い込んでいた妹は…どうやら、最大の不幸を手にしてしまったようね─。
部屋が暗くてその寝顔までは良く見えないけれど、私が近づいても起きる気配は無い。
お酒にかなり弱いと言うのは、本当だったわね。
パーティー会場で、アルコールの強いお酒とすり替え沢山飲ませたから、暫く目が覚めないでしょう。
私はベッドに乗り上げると、彼にキスをした。
「ねぇ、私を抱いて…?」
その言葉に、彼は私を勢い良くベッドに押し倒した。
やはり、彼はお姉様より私を求めていたんだわ。
だってそうよね…昔、私を幸せにしてくれる…お嫁さんにしてくれると言って下さったもの。
その時から、私はずっと彼と結ばれると信じ生きて来た─。
残念だったわね、お姉様。
彼の心も体も、私が頂いちゃうわ─。
※※※
夜が明け始め部屋の中がうっすら明るくなり…私は彼の腕の中で目を覚ました。
しかしその時になって、私は妙な違和感を感じた。
この私を抱く腕…何だかブヨブヨしていない?
それに、お腹のお肉もタプタプしていて…そのせいで、私はベッドから落ちそうよ。
すると目を覚ましたらしい彼が、私に口づけを交わして来た。
ちょっと待ってよ…何かが、おかしいわ─!
そして朝の光が差し込んだ時、私は衝撃の事実を目にした。
「あ、あなた…彼の義弟じゃないの…!どうしてあなたがここに居るのよ!?」
すると彼は、怒ったようにこう言った。
「お前が俺に酒を飲ませ、ここへ連れ込んだんだろう!?そして、俺を誑かしたんだ!」
「そんな…私が誘ったのは、あなたの兄…私の好きな人よ!」
すると義弟は、私を見てゲラゲラ笑った。
「お前もあの男が好きなのか。やはり女は、ああいう美形が好きなんだな。俺のような不細工、まるで相手にしない。だから俺は、魔法を使いあの男に変身してな…そしてパーティーに出て、女を引っ掛けてるんだ。でもそれがついにあいつと父上にバレて…昨日でもう終わりにするよう、約束させられたんだ。」
「そ、そんな…!」
「しかもな、その最後の夜に抱いた女と婚約するようきつく言われてな。その約束を破ったら、今までの悪事を含め罰を与えると言われていた。でもまさか…最後にこんな美しい女を引っ掛けられるとは、俺も運がいい。」
「わ、私はあなたと婚約などしたくない!私は、彼と幸せになるのよ…彼に愛され幸せな人生を送ると、そう決まってるんだから!」
そんな私に、彼はまたゲラゲラと笑った。
「そうか…あの男が言っていたしつこい女と言うのは、お前の事だな。あいつは、お前が大嫌いだと言って居たぞ?しかも、好きなのは昔からその女の…お前の姉だって。自分を好きになってくれなきゃ、姉を虐めると言うお前に対し、仕方なく偽の好意を伝えたが…本心では大嫌いだったってな。」
「う、嘘よ…あの人が私を嫌いだなんて─!」
「まぁ、もうお前の身体は俺のものになってしまったんだ。言っておくが、俺から逃げようとしても無駄だぞ?お前の体の中に注いでやった俺の魔力で、二度と俺から離れられない体にしたんだから。もし俺の視界からお前が消えるような事があれば…俺の魔力が、お前の身体を壊す。」
その言葉に、私は真っ青になり涙を流した。
こんな事になるなんて…お姉様、あなた嘘を付いたわね…!
あのパーティに、彼と参加するって言ってたじゃない!
そして彼だって、パーティーを楽しみにしてると話して居たのに…。
結局、私は二人に騙されて居たの─!?
※※※
「…今頃、あの二人は結ばれて居る頃でしょうか。」
「あぁ、きっとね。あの義弟は、美しい女に目がないから。きっと彼女の事を気に入り、すぐに夢中になるさ。そしてそうなったら、もう彼女を離しはしない。」
彼の義弟は、今後は田舎にある別荘で婚約者…つまり、妹と一緒に暮らす予定だと言う。
「別荘と言っても、本当は使われてないただの古い屋敷だ。しかも二度と悪さが出来ないよう、監視を付けての厳しい暮らしをさせられる。それが嫌になっても、逃げ出す事など叶わない。義弟も、君の妹も。」
「…それなら安心です。あの子は、自分の美しさを鼻にかけ、今まで多くの男に手を出してきた。その癖、あなたの愛を独り占めしたくて…自分とあなたが結ばれ幸せになる事を疑わず、私を地味女と見下し邪魔者扱いし、更には虐めて来た悪女ですもの。」
「俺にとっても、君にとっても厄介な存在が、二人揃って消えたんだ。これ程幸せな事はない。俺と結ばれ幸せになるのは、あの子じゃない…君だよ?」
そして私を抱き寄せる婚約者に、私は笑みを浮かべ、その身を任せた。
私は、これで漸く幸せを手にする事が出来たんだ…。
そして反対に、自分には幸せな人生しかないと思い込んでいた妹は…どうやら、最大の不幸を手にしてしまったようね─。
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