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醜く太った豚のような私は婚約者を失いましたが…ある出会いにより、漸く幸せになれました。
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「お前には愛想が尽きた、もう婚約破棄だ!」
「いつも食べ物を口にしてるせいで豚のように丸くなった女など、嫌われて当然よ!彼には私が居るから、お姉様はすぐに身を引いて下さいね。」
「お前には、この領地からも出て行って貰う。この地の食べ物を食い尽くされちゃ、迷惑だからな。」
私は、食べ物を握りしめ泣いた─。
※※※
以前の私は、こんな体ではなかった。
人並みにお腹が減り、人並みの量を食べて─。
少し前に、お医者様にも診て貰ったけれど…医学的に、私の身体に異常はないと言われた。
それを聞いた婚約者は…私を冷めた目で見てくるようになった。
彼はこの地の領主だから、そんな女が婚約者である事に恥を感じていたようだ。
無理もないわ…。
私は周りから、本当は魔族か魔女なんじゃないかと、陰口を言われるまでになってしまって居たから。
それにしても…このまま行く当てもなくさ迷って居ては、その内空腹で行き倒れになってしまう。
私はお腹が少しでも減らないよう、道の脇に座り込んだ。
すると、そんな私に声をかける人物が─。
驚き顔を上げると…そこには馬車から降りて来たらしい青年が、心配そうに私を覗き込んでいた。
「君、お腹が痛むのかい?それとも、吐き気が─」
「いえ…お腹が、空いたんです─。」
※※※
「追い出した!?」
「あんな女に与える食事が勿体ないじゃない。私、いい事したでしょ、お母様?」
「あの子からは、婚約者を奪うだけにしておけって言ったじゃない!」
お父様が亡くなり、この家はお母様のものになった。
そしてお母様は、お姉様よりも自分とそっくりの私を可愛がって居た。
だからお母様も喜ぶだろうと、お姉様を追い出してあげたのに…。
「それであの子、一体どこに行ったの?」
「さぁ、その辺で倒れてるんじゃない─?」
それから少しして…私の身体に異変が起きた。
体がだるいって言うか…力が出ない。
おまけに、魔力も無くなってきた気がする。
そして、何故かお母様も同じ状態に─。
この国の民は魔力持ちが当たり前で、魔力が高いほどいい身分についていい暮らしができるのだ。
このままじゃ、私は平民以下の存在に…!
「…こうなったのも、あなたがあの子を追い出すからよ!」
「何よそれ…この前からお姉様の行方を必死で探してるみたいだけど、何でなのよ!?」
その時だった。
使用人が、青い顔をして部屋に入って来た。
「お嬢様と、それから王子様がいらしてます…!」
お姉様はともかく、王子って─!?
※※※
「お、お姉様、よね…?お久しぶり…身体の調子はどうなの?私たち心配してたのよ?ねぇ、お母様。」
「え、えぇ。あなた、こんなに痩せてしまって…どこか悪いんじゃ─」
「体の調子が悪いのは、今はあなたたちの方でしょう?私は…もうすっかり元の身体に戻りました。それも全て、王子のおかげです。」
「彼女が空腹だったのは、お前たちが彼女の魔力を奪っていたからだろう?母親のお前はある魔術師に頼み、彼女に魔力転送の術をかけた。お前と妹の方には、元々魔力が無い。それをその魔術師の術で誤魔化していただけだ。でもそれでは金がかかるから、彼女の魔力を利用する事にしたんだ。」
「お母様、本当なの!?」
「そ、それは…。」
「王子は、私にかかったその術を解いて下さったの。」
「だから彼女の魔力は、もうお前たちに渡らない。故に、お前たちの魔力はじき尽きる、そうなったら…もう今の暮らしは出来ないな。」
「嫌よ!私、せっかく彼を手に入れたのに…いい暮らしをしてるのに─!」
※※※
あれから母と妹は、魔力を偽った罪と他人から奪った罪で捕らえられた。
そしてその後、魔力が無い上に罪人となった二人は、他国に追放されたと言う。
そして元婚約者は、領主であるにも関わずあの二人を怪しむ事なく野放しにしていた責任を問われ、領主の座を退く事となった。
「王子が用意して下さった料理には、王子の魔力が注がれてたんですね。あなたの魔力は桁違いだから…おかげでそれを口にした私は、奪われた魔力をすぐに取り戻す事が出来ました。」
「君にだったら、俺の魔力を分け与えてもいいと思ったんだ。そして君と過ごす内に、俺は君の内面に惹かれて行った。どうかこのままここに…俺の傍に居てくれないか?」
「はい、喜んで!」
今の私は、お腹も心も十分に満たされ…とても幸せだ─。
「いつも食べ物を口にしてるせいで豚のように丸くなった女など、嫌われて当然よ!彼には私が居るから、お姉様はすぐに身を引いて下さいね。」
「お前には、この領地からも出て行って貰う。この地の食べ物を食い尽くされちゃ、迷惑だからな。」
私は、食べ物を握りしめ泣いた─。
※※※
以前の私は、こんな体ではなかった。
人並みにお腹が減り、人並みの量を食べて─。
少し前に、お医者様にも診て貰ったけれど…医学的に、私の身体に異常はないと言われた。
それを聞いた婚約者は…私を冷めた目で見てくるようになった。
彼はこの地の領主だから、そんな女が婚約者である事に恥を感じていたようだ。
無理もないわ…。
私は周りから、本当は魔族か魔女なんじゃないかと、陰口を言われるまでになってしまって居たから。
それにしても…このまま行く当てもなくさ迷って居ては、その内空腹で行き倒れになってしまう。
私はお腹が少しでも減らないよう、道の脇に座り込んだ。
すると、そんな私に声をかける人物が─。
驚き顔を上げると…そこには馬車から降りて来たらしい青年が、心配そうに私を覗き込んでいた。
「君、お腹が痛むのかい?それとも、吐き気が─」
「いえ…お腹が、空いたんです─。」
※※※
「追い出した!?」
「あんな女に与える食事が勿体ないじゃない。私、いい事したでしょ、お母様?」
「あの子からは、婚約者を奪うだけにしておけって言ったじゃない!」
お父様が亡くなり、この家はお母様のものになった。
そしてお母様は、お姉様よりも自分とそっくりの私を可愛がって居た。
だからお母様も喜ぶだろうと、お姉様を追い出してあげたのに…。
「それであの子、一体どこに行ったの?」
「さぁ、その辺で倒れてるんじゃない─?」
それから少しして…私の身体に異変が起きた。
体がだるいって言うか…力が出ない。
おまけに、魔力も無くなってきた気がする。
そして、何故かお母様も同じ状態に─。
この国の民は魔力持ちが当たり前で、魔力が高いほどいい身分についていい暮らしができるのだ。
このままじゃ、私は平民以下の存在に…!
「…こうなったのも、あなたがあの子を追い出すからよ!」
「何よそれ…この前からお姉様の行方を必死で探してるみたいだけど、何でなのよ!?」
その時だった。
使用人が、青い顔をして部屋に入って来た。
「お嬢様と、それから王子様がいらしてます…!」
お姉様はともかく、王子って─!?
※※※
「お、お姉様、よね…?お久しぶり…身体の調子はどうなの?私たち心配してたのよ?ねぇ、お母様。」
「え、えぇ。あなた、こんなに痩せてしまって…どこか悪いんじゃ─」
「体の調子が悪いのは、今はあなたたちの方でしょう?私は…もうすっかり元の身体に戻りました。それも全て、王子のおかげです。」
「彼女が空腹だったのは、お前たちが彼女の魔力を奪っていたからだろう?母親のお前はある魔術師に頼み、彼女に魔力転送の術をかけた。お前と妹の方には、元々魔力が無い。それをその魔術師の術で誤魔化していただけだ。でもそれでは金がかかるから、彼女の魔力を利用する事にしたんだ。」
「お母様、本当なの!?」
「そ、それは…。」
「王子は、私にかかったその術を解いて下さったの。」
「だから彼女の魔力は、もうお前たちに渡らない。故に、お前たちの魔力はじき尽きる、そうなったら…もう今の暮らしは出来ないな。」
「嫌よ!私、せっかく彼を手に入れたのに…いい暮らしをしてるのに─!」
※※※
あれから母と妹は、魔力を偽った罪と他人から奪った罪で捕らえられた。
そしてその後、魔力が無い上に罪人となった二人は、他国に追放されたと言う。
そして元婚約者は、領主であるにも関わずあの二人を怪しむ事なく野放しにしていた責任を問われ、領主の座を退く事となった。
「王子が用意して下さった料理には、王子の魔力が注がれてたんですね。あなたの魔力は桁違いだから…おかげでそれを口にした私は、奪われた魔力をすぐに取り戻す事が出来ました。」
「君にだったら、俺の魔力を分け与えてもいいと思ったんだ。そして君と過ごす内に、俺は君の内面に惹かれて行った。どうかこのままここに…俺の傍に居てくれないか?」
「はい、喜んで!」
今の私は、お腹も心も十分に満たされ…とても幸せだ─。
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