勇者のおまけで召喚された俺、紙切れ1枚で異世界を生き抜け!

coco

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13 お金は大事、命はもっと大事。

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「お父様…!」

「サーラ…!良かった、お前、すっかり元通りじゃないか。」

「ええ、この方たちのおかげです。」

「…サーラ済まなかった!お前を、あんな所に閉じ込めて。他の家族や使用人たちを守るためとはいえ、酷いことをした。」

「いいえ、当主とうしゅとして皆を守るためのご決断けつだんでしたのでしょう?私はお父様をうらみはしません。それより、この方たちを私に引き合わせて下さって、ありがとうございます。」

「サーラ、お前は何という優しい子だ。召喚屋しょうかんやの方々、この度は娘を助けて下さって、誠にありがとうございます。その、料金はいくら程になりますでしょうか?」

「そうですね。上質の聖水とレベル上位の精霊せいれいですから、ランク4ですね。と言っても4の中でも、かなりの高額になります。…占めてこちらの価格になりますが。」

「ううむ…中々いい値段だな。しかし、娘の命より大事なものはない。何より、命あってこそのものだ。」

「そうですね。お金は大事ですが、命の方がもっと大事だと俺も思います。…では改めまして、今回の料金ですが、ランク4の値段で結構です。それを超える分は今回は請求致しません。代わりと言ってはなんですが、この町で自由に商売することを許してもらえないでしょうか?聞いたのです、この町で商売しようと言うなら、このマドレード家の許しが無ければならないと。」

「そうですな、私がこの町の開業届かいぎょうとどけを発行しています。店を持つ者が他所の土地でも商売をやっていくなら、そこの地主に届けを出し規定のお金を払い、許可を貰わねばならない。差額は、その分の料金という訳ですか。しかし…それだと、額が合いませんぞ?私が得をしてしまいます。」

「いいんです。サーラ嬢の快気祝かいきいわいです、受け取ってください。さっきも言いましたでしょう?お金も大事だけど、それ以上に命がもっと大事だと。魔法使いの彼女も、納得してくれています。」

「はい。アンブラの望みを叶えることができて、サーラ様をお助けできて良かったです。それ以上に大事なことはありません。」

「お2人共…本当に感謝致します。どうぞこの町で、私共のように困っている者の力になってやって下さい。もし何かお困りごとがあったら、是非ご連絡を。今度は、我がマドレード家が力になりますぞ。」

「お2人共、是非またこのアルタの町へ遊びに来て下さいね。お父様とアンブラと、みんなでお待ちしていますわ。」

「はい、ありがとうございます!」

 俺たちは、笑顔で手を振るマドレード家の皆に別れを告げた。
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