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10 開店2日目は、出張へ。
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「どうだ、美味しいか?」
「ニャン!」
アンブラは、この家にそのまま泊ることになった。
仕事が終わるのは18時、それからアルタまで行こうとすると、夜になってしまう。
「お前の飼い主さん、心配してるだろうな…。明日には、家に帰してあげるよ。でもアンブラ、君はこんなところまで、一体何の用でやって来たんだ?」
「ニャ、ニャア、ニャア。」
アンブラは、その場でくるくると回り始めた。
「ど、どうしたアンブラ?」
「社長。その子、そのしっぽについてるリボンが気になるんじゃないですか?」
アンブラのしっぽには、赤いリボンが付けられていた。
「これを…外したいのか?ちょっと、動かないでアンブラ。」
俺はアンブラのしっぽから、リボンをそっと外した。
「あれ、何か書いてある。」
「消えかかってますが、何とか読めますね。…私を、助けて?」
私を助けて、だと?
もしかして、アンブラの飼い主からのメッセージか?
「カノン、どうする?この仕事、結構危ない仕事かもしれない。」
「ええ…。でも、知ってしまった以上、無視はできません。」
「そうだな。もしこれが飼い主からのメッセージなら、本人がここに来ることができず、代わりにアンブラをよこしたってことになる。その人がどうしようもない状況にあるなら、俺は力になってあげたい。」
だって、俺も同じ状況になるところだった。
突然この世界に放り出されて、路頭に迷うところだった。
たまたまこの女神の紙のおかげで、助かっただけでさ…。
「…私もです。社長に助けられたから、今をこうして過ごしていられる。私、初仕事を終えて思ったんです。私の魔力は、この仕事で、人を助ける為に使いたいって。」
俺とカノンの気持ちは、一緒なんだな。
だったら明日、早速アルタに行くとするか。
※※※
出張中という札を店に掲げ、俺たちは早速アルタに向かって出発した。
「開店2日目にして、あまり長く店を開けるのも心配なので、ここは移動魔法を使いますね。」
おぉ、流石魔法使い。
その手があったか!
「アルタに着きましたよ。あそこに見えるのが、マドレード家です。」
「すごい、大きい家だな…。」
「でも社長…今すぐマドレード家に伺って、アンブラをお返しする訳にはいきませんね。」
「そうだな。あんなメッセージを見ると、な…。」
「私、変化魔法を使って、ちょっとあの家に忍び込んでみます。そうですね、…使用人に変化して、少し探りを入れます。お昼に、またこの場所で落ち合いましょう。」
「分かった。俺もこの辺りでマドレード家のことを調べてみる。それまでアンブラは、このケージに隠しておくよ。カノン、くれぐれも気を付けて。」
「ニャン!」
アンブラは、この家にそのまま泊ることになった。
仕事が終わるのは18時、それからアルタまで行こうとすると、夜になってしまう。
「お前の飼い主さん、心配してるだろうな…。明日には、家に帰してあげるよ。でもアンブラ、君はこんなところまで、一体何の用でやって来たんだ?」
「ニャ、ニャア、ニャア。」
アンブラは、その場でくるくると回り始めた。
「ど、どうしたアンブラ?」
「社長。その子、そのしっぽについてるリボンが気になるんじゃないですか?」
アンブラのしっぽには、赤いリボンが付けられていた。
「これを…外したいのか?ちょっと、動かないでアンブラ。」
俺はアンブラのしっぽから、リボンをそっと外した。
「あれ、何か書いてある。」
「消えかかってますが、何とか読めますね。…私を、助けて?」
私を助けて、だと?
もしかして、アンブラの飼い主からのメッセージか?
「カノン、どうする?この仕事、結構危ない仕事かもしれない。」
「ええ…。でも、知ってしまった以上、無視はできません。」
「そうだな。もしこれが飼い主からのメッセージなら、本人がここに来ることができず、代わりにアンブラをよこしたってことになる。その人がどうしようもない状況にあるなら、俺は力になってあげたい。」
だって、俺も同じ状況になるところだった。
突然この世界に放り出されて、路頭に迷うところだった。
たまたまこの女神の紙のおかげで、助かっただけでさ…。
「…私もです。社長に助けられたから、今をこうして過ごしていられる。私、初仕事を終えて思ったんです。私の魔力は、この仕事で、人を助ける為に使いたいって。」
俺とカノンの気持ちは、一緒なんだな。
だったら明日、早速アルタに行くとするか。
※※※
出張中という札を店に掲げ、俺たちは早速アルタに向かって出発した。
「開店2日目にして、あまり長く店を開けるのも心配なので、ここは移動魔法を使いますね。」
おぉ、流石魔法使い。
その手があったか!
「アルタに着きましたよ。あそこに見えるのが、マドレード家です。」
「すごい、大きい家だな…。」
「でも社長…今すぐマドレード家に伺って、アンブラをお返しする訳にはいきませんね。」
「そうだな。あんなメッセージを見ると、な…。」
「私、変化魔法を使って、ちょっとあの家に忍び込んでみます。そうですね、…使用人に変化して、少し探りを入れます。お昼に、またこの場所で落ち合いましょう。」
「分かった。俺もこの辺りでマドレード家のことを調べてみる。それまでアンブラは、このケージに隠しておくよ。カノン、くれぐれも気を付けて。」
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