勇者のおまけで召喚された俺、紙切れ1枚で異世界を生き抜け!

coco

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1 よろしく異世界、紙についての考察。

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「あなたは選ばれし勇者なのです。どうかこの異世界をお守りください!」

「お、俺が勇者…。分かりました。力の限り頑張ります!」

 そして勇者は、女神から防具と剣を与えられると旅立っていった。

「勇者様、どうぞご無事で。…あぁー…疲れた!今日の仕事はこれで終わり。おやつに取っておいたドーナツでも…って、あんた誰!?」

 女神様は、めちゃくちゃ驚いた顔で固まっている。
 …いや、最初から居ましたけど?

 ああ、先程の勇者様とやら、あれ俺の後輩ね。
 あいつと一緒に帰ってたら突然あいつの足元に穴が開いて、そこに吸い込まれたのを見て助けたらこのザマよ。

「俺あいつのおまけでこっちに来ちゃったみたいなんですけど、元の世界に返してもらえます?」

「あ~、悪いけど無理。だってギャラ一銭も出ないから。あんたを送り返す私の労力がもったいない。そういう事だから、頑張ってこの世界で生きてってくれないかな?」

「ならせめてさっきのあいつみたいに、何か1つくらいアイテム下さいよ!」

「そうねぇ…じゃあこれ、もういらない紙だから好きに使っていいわよ?ってことでアイテムも渡したし、さよなら~。」

 その瞬間眩しい光に包まれ、気が付いた時には俺は暗い森の中に居た。

※※※ 

 とんでも無い所に飛ばしてくれたな、あの女神。
 俺は木の株に腰掛けると、まずは女神から貰った紙切れをよく観察することにした。
 見た目はただの白い紙…でも女神が所有し使用している紙だ、恐らく普通の紙ではない。
 
 考えられることその1、ものすごく高価な紙である…売れば金貨〇枚とかそういうレベル。
 でも例えそうだとしても、今すぐには役立ちそうもない…だってここは深い森の中、換金してくれるような人や場所が無いのだから。

 その2、この紙自体に神聖な力を宿しているのではないか、もしそうならばすぐに役立ちそう。
 この森の中でモンスターに襲われてみろ、丸腰の俺は即お陀仏!
 でも低級モンスター位なら、この紙見せればビビって逃げるかも…。
 そう考えるとちょっとした防具だよ、コレ。

 その3、これは俺には無理なんだけど、ここに召喚呪文とかを書いたら、この紙から必要なものが出せるかも?
 それ可能なら魔力を持つ仲間、魔法使いとかが居ればこの紙はかなり役に立つ。

 うん、そう考えると紙1枚でも意外といけるな…下手に防具だの武器貰っても俺には使いこなせなかっただろうし、かえってこの紙切れ1枚の方が有難いわ。
 いや、何も1枚と考えることは無い…裏表で考えたら2枚分、更に半分にしたら4枚分…効力や価値は減るかもだけど、球数にはなる。

 よし、プラン決定~!
 まずはこの森を無事脱出→紙半分を換金して資金ゲット→得たお金で魔法使いをスカウトし仲間に→残り半分の紙を活用→召喚魔法が成功、それを元手に商売→商売成功で無事生活できる…これでいこう。
 ってことで、今日はもう暗いからここで休むとするか…。
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