浮気妻は実家に返品?私は構いませんが…自分の事を棚に上げよくそんな事が言えるわね。

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浮気妻は実家に返品?私は構いませんが…自分の事を棚に上げよくそんな事が言えるわね。

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「浮気妻は実家に返品だ!」

「う、浮気…?」

 夫の突然の言葉に、私は驚きを隠せなった。

「俺に隠れ、男と会っているだろう?しかもその相手に金を渡し、行為に及んでるそうだな。」

「そんな馬鹿な事を、私がする訳が─」

「俺の知り合いがその現場を見たんだ!その話を聞いた俺は翌週その場所に行き、隠れて様子を見ていた。そしたらお前がやって来て、男と密会してるじゃないか。お前にはがっかりだよ…大人しそうな顔して、そんなふしだらな女だったとは!」

「違います!あの男は─」

「言い訳はいい!荷物をまとめ、さっさと出て行け!」

 夫は私の話を何一つ聞こうとせず、私に鞄を投げつけ部屋を出て行った─。

※※※

「…それで、あいつとは離縁する事にした。全く…夫の稼いだ金で男を買うなど、とても許される事ではない。」

「なら、慰謝料を沢山ふんだくってやれば?」

「そうだな…そうしたらお前にも分けてやるよ。」

 その言葉に、女は嬉しそうな声を上げた。

 彼女は俺の愛人の一人で、妻の浮気を教えてくれた人物だ。

「一刻も早く離縁して、私を奥さんにしてね?」

「そうだな、考えておくよ。」
 
 愛人と楽しい時間を過ごし、俺は自宅へと戻った─。

 するとそこには俺の妹が居て、何故か妻に対し土下座をしていた。

「お前…俺の可愛い妹に何をさせている!」

 俺は妹を庇おうと、二人の間に割って入った。

 ところが妹は俺を突き飛ばすと、号泣しこう言った。

「お兄様のせいでこうなったのよ~!お兄様が離縁なんて言い出すから…そのせいで私は、娼館に売られちゃうんじゃない!」

「ど、どういう事だ…?」

「私、男遊びにハマってつい借金を重ね…お父様たちにも見放され、お兄様も沢山愛人を囲ってるからお金がないでしょう?仕方ないから、お兄様の奥さんに頼ったの!そしたら、何とかお金を工面してくれて…それで私は娼館行きを免れてたのよ。なのにその返済を、お兄様と離縁するからもう辞めるって…!」

「何!?」

「私が会ってたのは、借金取りの男です。あなたの様な夫の妹でも…他人とは言えないから、放っておけなかったんです。ですが、離縁するならもう微塵も関係ないですもんね。」

 そして部屋のドアが開き、俺が見たあの男が入って来た。

「借金が返せないなら、お前の妹は貰って行く。それとも何か、兄のお前が払ってくれるのか?」

「い、いや、それは…。」

「無理ですよ。この人も女遊びが激しいそうで、余計なお金などありませんから。」

 妻の返答に、男は嫌がる妹の腕を掴み引き摺って行ってしまった。

 家の中には、妹の泣き叫ぶ声だけが虚しく響いた─。

「…言ったじゃない、私は浮気などしてないと。ところで…先程妹さんが言ってましたね?お兄様は、愛人を沢山囲っていると。」

「それは、その…。」

「何となく感づいていましたが、今回の事でどうやらそれがハッキリしそうですね。全く、何が浮気妻ですか…あなたみたいな男に、そんな事言われたくありません。離縁で結構、私は喜んで受け入れます!ただし…あなたの身辺はきっちり調べさせて貰いますからね?恐らく多額の慰謝料を請求する事になりますので、覚悟しておいて下さい。」

「そんな…。」

※※※

 その後、夫の数々の浮気が明らかとなり、私は約束通り慰謝料を請求─。
 夫は色々言い訳を並べたが…証拠も揃っていたので言い逃れ出来ず、きっちり全額支払う事となった。

 そしてそんな夫を見た愛人たちは、潮が引くように一斉に夫の元から離れて行った。
 夫は、愛人たちに助けて貰おうと思っていたらしいけど…残念ね、彼女達にも今回の事で慰謝料を請求したから、そんな余裕はないでしょうよ。

 夫は仕方なく自分の実家に頭を下げに行ったが、妹に続きお前もかと呆れられ、両親から親子の縁を切られると、一族から追放されてしまった。

 夫はついに諦め、自身の財産を全てかき集めると、私への慰謝料返済に充てた。
 
 結果一文無しになりどこにも行き場のない夫は、ついに路頭に迷う事に─。

 金持ちの未亡人に体を売り、何とか日々を生きていると噂に聞いたけど…本当の所は分からず、その内夫は行方不明となった。

 私にいちゃもんを付けずにに居たら、もしかしたらまだ愛人に囲まれ楽しく生きていたかもしれないのに…自分の事を棚に上げ、私を実家に返品し離縁ようとするからこんな事になるのよ。
 
 まぁ私としては、あなたとの縁を切る良いきっかけになったけどね─。
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