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私を悪者にし婚約破棄を迫り幸せになろうとした婚約者と妹は、共に身を滅ぼしました。
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「お前、俺に隠れて浮気をしてるだろう!」
そう、婚約者に責められる事になった私。
すると彼は、証拠だと言って私の妹を連れて来た。
「お姉様は確かにこの前、自分の部屋に男を連れ込んで居ました。私、この目で見たのです。それに、これを見て下さい!」
そして彼女は、私に一枚の写真を差し出した。
それは、私の部屋のベッドの上で眠る、男と女の姿だった。
「俺という婚約者が居るのに、ふざけた真似を…お前とは婚約破棄だ!」
「…。」
「どうした、自分のやった事の愚かさに言葉も出ないか?」
「お姉様…彼という素敵な人が居ながら、こんなふしだらな真似を…。彼が可哀そうよ─!」
「あぁ…君は何て優しい子なんだ。俺の為に泣いてくれてありがとう!」
泣き始めた妹を、彼は優しく抱き寄せ慰めた。
全く…酷い茶番だわ─。
※※※
「愚かなのは、あなたたちよ。あなたの企みは、全部お見通しですから。」
「…え?」
「この写真に写っているのは、私じゃなくそこの妹だわ。そして隣の男は…あなた達が雇った男よ。二人に指示を出し写真を撮ったのは、あなたじゃない。私たち姉妹は双子で、体つきがよく似てますから…乱れた髪で顔を隠してしまえば、分からないとでも思った?」
「な、何を馬鹿な事を…でたらめ言うな!」
「だったら…私も証拠を見せてあげる。」
私は、鞄から水晶玉を取り出した。
「これは、私が持つ魔道具の一つです。これには、そこで何が起きたか…真実を映し出す力があるの。内緒にしてたけど…私には魔力があるから、こういう道具を使いこなせるんです。ほら…この水晶玉をよくご覧なさい。」
『どう、こうやって髪で顔を隠せば…私とはバレないんじゃない?』
『そうだな。それで、もう少し顔をそいつの胸にうずめろ。うん…完璧だ。この写真があれば、あいつの不貞を理由に婚約破棄できるぞ!あいつとは家同士の約束で、これっぽっちも愛はないからな。』
『本当よ!あなたが愛してるのは、始めからこの私なのにね。お姉様からたっぷり慰謝料貰って、その後は駆け落ちするって約束だから…あぁ、協力者のあなたにも、ちゃんとそこから分け前を渡すから安心して─。』
そこで、映像は途切れた。
それを見た彼と妹は、顔面蒼白になり震えている。
「最近になり、私の部屋から私物が消えるから…この水晶玉を手に入れ、部屋に置く事にしたの。そしたら、あなた達の裏切りが映されているんだもの…驚いたわ。どう、あなたたち…これでもシラを切る?」
二人は言葉も出せず、ただ首を振り…そして、その場に崩れ落ちた─。
※※※
そして彼と妹は、この件をそれぞれの両親に知られる事となり、たっぷりと罰を受けた。
まず妹は…彼女は姉である私の婚約者を奪おうとしただけでなく、私の部屋からドレスやアクセサリーをこっそり盗んでいた犯人だった事も分かり…泥棒はこの家に要らないと、父から親子の縁を切られた。
そしてそのまま、修道院へと放り込まれてしまったのだ。
そして彼だが…私との婚約は正式に破棄となり、私にたっぷりと慰謝料を払う事となった。
婚約者を罠にかけ陥れるこの卑劣なやり方に、彼の両親を始め一族は激怒…その後彼は家を追い出され、この領地からも出て行くよう命じられた。
すると、金を支払わなかった事であの協力者の男に恨まれていた彼は、その男と仲間たちに捕まり、奴隷としてどこかに売り飛ばされてしまったらしい。
危険な男と関わったばかりに、そんな目に遭うなんて…でも、これも自業自得ね。
こうして二人は、駆け落ちどころか…永遠に引き離される事になったのだ─。
一方私は、すぐに次の婚約が決まった。
というのも、私が魔力持ちで魔道具を使いこなし、愚かな男を返り討ちにしたという話が評判となったからだ。
この国では、魔力持ちは貴重だから…。
おまけに、魔道具を自在に操れる人物となると、中々そんな人物は居ないものね。
実際にお会いしたお相手の方は、とても優しくて誠実な人で…あの水晶玉を使わなくとも、その人柄はよく分かった。
この方とだったら、私は今度こそ…。
今私は、新たな恋の予感に胸を踊らせている─。
そう、婚約者に責められる事になった私。
すると彼は、証拠だと言って私の妹を連れて来た。
「お姉様は確かにこの前、自分の部屋に男を連れ込んで居ました。私、この目で見たのです。それに、これを見て下さい!」
そして彼女は、私に一枚の写真を差し出した。
それは、私の部屋のベッドの上で眠る、男と女の姿だった。
「俺という婚約者が居るのに、ふざけた真似を…お前とは婚約破棄だ!」
「…。」
「どうした、自分のやった事の愚かさに言葉も出ないか?」
「お姉様…彼という素敵な人が居ながら、こんなふしだらな真似を…。彼が可哀そうよ─!」
「あぁ…君は何て優しい子なんだ。俺の為に泣いてくれてありがとう!」
泣き始めた妹を、彼は優しく抱き寄せ慰めた。
全く…酷い茶番だわ─。
※※※
「愚かなのは、あなたたちよ。あなたの企みは、全部お見通しですから。」
「…え?」
「この写真に写っているのは、私じゃなくそこの妹だわ。そして隣の男は…あなた達が雇った男よ。二人に指示を出し写真を撮ったのは、あなたじゃない。私たち姉妹は双子で、体つきがよく似てますから…乱れた髪で顔を隠してしまえば、分からないとでも思った?」
「な、何を馬鹿な事を…でたらめ言うな!」
「だったら…私も証拠を見せてあげる。」
私は、鞄から水晶玉を取り出した。
「これは、私が持つ魔道具の一つです。これには、そこで何が起きたか…真実を映し出す力があるの。内緒にしてたけど…私には魔力があるから、こういう道具を使いこなせるんです。ほら…この水晶玉をよくご覧なさい。」
『どう、こうやって髪で顔を隠せば…私とはバレないんじゃない?』
『そうだな。それで、もう少し顔をそいつの胸にうずめろ。うん…完璧だ。この写真があれば、あいつの不貞を理由に婚約破棄できるぞ!あいつとは家同士の約束で、これっぽっちも愛はないからな。』
『本当よ!あなたが愛してるのは、始めからこの私なのにね。お姉様からたっぷり慰謝料貰って、その後は駆け落ちするって約束だから…あぁ、協力者のあなたにも、ちゃんとそこから分け前を渡すから安心して─。』
そこで、映像は途切れた。
それを見た彼と妹は、顔面蒼白になり震えている。
「最近になり、私の部屋から私物が消えるから…この水晶玉を手に入れ、部屋に置く事にしたの。そしたら、あなた達の裏切りが映されているんだもの…驚いたわ。どう、あなたたち…これでもシラを切る?」
二人は言葉も出せず、ただ首を振り…そして、その場に崩れ落ちた─。
※※※
そして彼と妹は、この件をそれぞれの両親に知られる事となり、たっぷりと罰を受けた。
まず妹は…彼女は姉である私の婚約者を奪おうとしただけでなく、私の部屋からドレスやアクセサリーをこっそり盗んでいた犯人だった事も分かり…泥棒はこの家に要らないと、父から親子の縁を切られた。
そしてそのまま、修道院へと放り込まれてしまったのだ。
そして彼だが…私との婚約は正式に破棄となり、私にたっぷりと慰謝料を払う事となった。
婚約者を罠にかけ陥れるこの卑劣なやり方に、彼の両親を始め一族は激怒…その後彼は家を追い出され、この領地からも出て行くよう命じられた。
すると、金を支払わなかった事であの協力者の男に恨まれていた彼は、その男と仲間たちに捕まり、奴隷としてどこかに売り飛ばされてしまったらしい。
危険な男と関わったばかりに、そんな目に遭うなんて…でも、これも自業自得ね。
こうして二人は、駆け落ちどころか…永遠に引き離される事になったのだ─。
一方私は、すぐに次の婚約が決まった。
というのも、私が魔力持ちで魔道具を使いこなし、愚かな男を返り討ちにしたという話が評判となったからだ。
この国では、魔力持ちは貴重だから…。
おまけに、魔道具を自在に操れる人物となると、中々そんな人物は居ないものね。
実際にお会いしたお相手の方は、とても優しくて誠実な人で…あの水晶玉を使わなくとも、その人柄はよく分かった。
この方とだったら、私は今度こそ…。
今私は、新たな恋の予感に胸を踊らせている─。
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