私が出会ったヤバい職場。 洗脳、霊感、乗っ取りetc.

coco

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第9話 多数するトラブル。

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 このころ職場で、いくつかのトラブルが起きるようになった。

 1つ目は、引き出しに入れてあるおつり用の硬貨こうかの枚数と、記録された金額が合わないことだ。
 あの人の知り合いは、主に午前診療の勤務きんむで、午後診療は早退・欠勤が多かった(勤務日数や時間について、どういう契約になっていたかは今も分からない)。
 その為、午後診療が終わり最後に奥さんがお金の計算・管理をするのだが、その際にこれが発覚した。
 どうして足りないのか奥さんが尋ねてきたが、私たちは何も知らなかった。
 
 ただ、私たちの間では、あの人や、あの人の知り合いの人がここに来た翌日、お金の計算が合わなくなるよね…という話はあった。
 この件は、最後まで原因が不明だった…でも、誰かがあそこからお金を持ち出さない限り、そんなことは起こらない…。

 2つ目は、交通事故の患者がやたら増えたことだ。
 それも必ず、あの人に関係する人ばかりだった。
 交通事故の患者かんじゃは、通常診療の患者よりも診療報酬しんりょうほうしゅうが高くなると聞いたことがある。
 交通事故で患者を水増し…不正受給ふせいじゅきゅうによくある手口だけど、大丈夫だろうか。
 私たち職員は、ビクビクした日々を送っていた。

 3つ目は、待合室が汚くなったことだ。
 あの人が仲間を引き連れ病院にやって来て、待合室で飲食をするようになったからだ。
 酷い時には他の患者さんも居るのに食事をしだし、椅子や床にその食べかすをこぼすようになった。
 患者さんの中にはそれを嫌な目で見る人や、最近ここ汚くなったな、と私たち職員に注意する患者さんも何人かみえた。

 4つ目は、先生に関してだった。
 私が入社して1年半経ったころ、先生は遅刻を繰り返すようになった。
 診療中もいつも顔色が悪く、うつらうつらしていた。
 カルテの記入ミスは当たり前になり、酷い時には患者さんに処置のミスを指摘してきされることもあった。
 先生がこんな状態になってしまって、患者さんの人数が明らかに減った。
 前年の同じ日と比較し、半分以下の日もあった。

 そして、このころからだった。
 あの人や奥さんが、先生対して酷くしかったり責め立てるようになった。
 確かに先生の遅刻や患者さんに対する態度は、酷いものがあった。
 私たち職員はそれを見てきたし、迷惑もかけれれていたので、誰も止めようとはしなかった。

 先生は、職場で孤立こりつするようになってしまった。
 先生も中々プライドが高い人だったので、そっちがそういう態度を取るなら、俺ももういい、という感じになってしまい、ますます溝は深まっていった。

※※※

 そしてある日、先生は奥さんにこう言った。
「自分はいつでも、ここを辞める覚悟かくごはできている。だから、新しい先生の募集ぼしゅうをかけてくれ。」
 
 さすがにこの言葉には、奥さんや私たちも驚いた。
 そして、何とか引き留めようとした。
 いくら職員が居たとしても、医師の免許が無い私たちだけでは、この病院が機能きのうしなくなる。
 先生が居なくなれば、この病院はお終いだ…。

 しかし、先生の決意は固いようだった。

 そして先生がこうなったのには、あの人が関わっていた。
 その時の私は、まだそれに気づいていなかった…。
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