1 / 1
愛の誓いを破り私を捨て妹を選んだ婚約者…愛しかない彼女では、あなたには役不足でした。
しおりを挟む
『君をずっと愛すると誓う…だから、俺と婚約してくれ!』
そんなあなたは、今まさにその誓いを破ろうとしている。
「あいつにこんな美しい妹が居たとは…もっと早く知ってれば、あいつと婚約などしなかった。」
「お姉様が私の美しさを妬み虐めるから…そのせいで私は家を出された。でも、やっとこの地へ帰って来た。それはあなたと出会い、あなたに愛される為だったのよ。」
「可愛い事を…!」
婚約者は妹抱き締め、そっとベッドに押し倒した。
「お姉様なんて捨てて?私がお姉様の分まであなたを愛すから…いいでしょう?」
「あぁ、あいつとは婚約破棄だ。そして俺は、君を新たな婚約者に迎える。」
…これで誓いは破られた。
私を捨て妹を選ぶなど…そんな愛しかない女では、あなたには役不足よ─。
※※※
「…そういう訳で、もうこの家から出て行って欲しいんだ。」
「お姉様がいては私たちは結ばれない、あなたは邪魔者なの!」
「…分かったわ。彼とはもう婚約破棄します。でも…どうなっても知らないから。」
そう言って、あいつは家を出て行った。
「何だあの態度は…せっかく慰謝料を渡してやったのに!」
「ただの嫉妬よ…別れた女の事など、もう気にしないで。」
それもそうだ、今は目の前に居る彼女を大事にしなければ─。
ところがそれから暫くし、俺は自身の身体の異変に気付いた。
体重が落ち、肌の張りや艶もなくなり…何だか、昔の自分に戻ったようだ。
俺は子供の頃、体が弱かった。
それがいつの間にやら健康体になり、病弱だった自分などもう遠い過去の事…今の今まで忘れていたくらいだ。
その後も体はやせ細っていき、その変化に妹も気づいたようだ。
「あなたの身体に、いくら治療費がかかってるの?私はあなたがお金持ちだから近づいたのに…どんどん財産が減って行って!それに私は、逞しい男が好きなの…こんなひ弱な男、好みじゃない!」
妹は俺を見捨て家を出て行き、俺はこの家に一人きりになった。
その間にも体が弱って行くのが止められず、俺はとうとうベッドの上で一日を過ごす事に。
そんな中、俺はある事を思い出していた。
『あの子はあなたにぴったりの婚約者よ、生命力たっぷりで神に愛された娘…あの子を傍に置けば、あなたは幸せになれる。』
『誓いを立てれば、神のご加護が─。』
亡き母と、俺が捨てた元婚約者の言葉だ。
…だからあいつが俺の婚約者で、俺はあいつに誓いを…そしてここまで元気になれたのか。
そんな彼女を、俺は…!
「お邪魔してます。」
※※※
「お前…どうしてここに?もしや、俺と復縁を!?妹と別れた今なら、お前とやり直せるぞ!」
「復縁…?私はただ、妹を迎えに来ただけです。居ないなら…もうここに用はないわ。」
「迎えにって…また虐める為か!?」
「違いますよ、妹を修道院に送る手筈が整いましたので…。簡単に逃げてしまえるような追放先は駄目です、もっと厳しい場所に置かねば。あの子は私と違い、人の命を縮めるという厄介な力がある。そしてそれを自覚しながら、何も対処せず自由に生きている。むしろ、嫌いな人間に近づきわざと命を縮めたり…そんな悪女、野放しに出来ません。」
「もしや、俺の身体も…!?」
「私との誓いを破り神の加護を失った上に、そんな妹を傍に置くから…。偽りの愛しか持たないあの子では、あなたに役不足…むしろあの子は、あなたにとって一番選んではならない相手だった。」
「ならば、お前と復縁し、もう一度誓いを立てる。それで俺を─」
「それは無理です。私はもう、あなたの事をこれっぽっちも愛していないので。それに、一度裏切った者に救いの手を伸ばす程、神は都合のいい存在ではありません。」
「そんな…!」
その後逃げた妹は無事見つかり、修道院の地下に幽閉された。
厳重な監視の元、彼女はもう逃げる事は出来ない。
病に臥せっていた彼は一命を取り留めたものの、病の後遺症か天罰か…廃人同然となってしまった。
結果好調だった事業は他人の手に渡り、やがて彼は財産も奪われ家から追い出される事に─。
今は田舎の療養所で、ひっそりと余生過ごしているそうだけど…その命の灯も、長くはないだろう。
元々彼は、私なしでは人の半分も生きられなかった。
彼は今、本来の運命を辿っているのだ。
愛の誓いを破り私を捨て、あんな死神のような悪女を選ぶから…それとも、こうなる事があなたの運命だった?
だとしたら、自業自得ね─。
そんなあなたは、今まさにその誓いを破ろうとしている。
「あいつにこんな美しい妹が居たとは…もっと早く知ってれば、あいつと婚約などしなかった。」
「お姉様が私の美しさを妬み虐めるから…そのせいで私は家を出された。でも、やっとこの地へ帰って来た。それはあなたと出会い、あなたに愛される為だったのよ。」
「可愛い事を…!」
婚約者は妹抱き締め、そっとベッドに押し倒した。
「お姉様なんて捨てて?私がお姉様の分まであなたを愛すから…いいでしょう?」
「あぁ、あいつとは婚約破棄だ。そして俺は、君を新たな婚約者に迎える。」
…これで誓いは破られた。
私を捨て妹を選ぶなど…そんな愛しかない女では、あなたには役不足よ─。
※※※
「…そういう訳で、もうこの家から出て行って欲しいんだ。」
「お姉様がいては私たちは結ばれない、あなたは邪魔者なの!」
「…分かったわ。彼とはもう婚約破棄します。でも…どうなっても知らないから。」
そう言って、あいつは家を出て行った。
「何だあの態度は…せっかく慰謝料を渡してやったのに!」
「ただの嫉妬よ…別れた女の事など、もう気にしないで。」
それもそうだ、今は目の前に居る彼女を大事にしなければ─。
ところがそれから暫くし、俺は自身の身体の異変に気付いた。
体重が落ち、肌の張りや艶もなくなり…何だか、昔の自分に戻ったようだ。
俺は子供の頃、体が弱かった。
それがいつの間にやら健康体になり、病弱だった自分などもう遠い過去の事…今の今まで忘れていたくらいだ。
その後も体はやせ細っていき、その変化に妹も気づいたようだ。
「あなたの身体に、いくら治療費がかかってるの?私はあなたがお金持ちだから近づいたのに…どんどん財産が減って行って!それに私は、逞しい男が好きなの…こんなひ弱な男、好みじゃない!」
妹は俺を見捨て家を出て行き、俺はこの家に一人きりになった。
その間にも体が弱って行くのが止められず、俺はとうとうベッドの上で一日を過ごす事に。
そんな中、俺はある事を思い出していた。
『あの子はあなたにぴったりの婚約者よ、生命力たっぷりで神に愛された娘…あの子を傍に置けば、あなたは幸せになれる。』
『誓いを立てれば、神のご加護が─。』
亡き母と、俺が捨てた元婚約者の言葉だ。
…だからあいつが俺の婚約者で、俺はあいつに誓いを…そしてここまで元気になれたのか。
そんな彼女を、俺は…!
「お邪魔してます。」
※※※
「お前…どうしてここに?もしや、俺と復縁を!?妹と別れた今なら、お前とやり直せるぞ!」
「復縁…?私はただ、妹を迎えに来ただけです。居ないなら…もうここに用はないわ。」
「迎えにって…また虐める為か!?」
「違いますよ、妹を修道院に送る手筈が整いましたので…。簡単に逃げてしまえるような追放先は駄目です、もっと厳しい場所に置かねば。あの子は私と違い、人の命を縮めるという厄介な力がある。そしてそれを自覚しながら、何も対処せず自由に生きている。むしろ、嫌いな人間に近づきわざと命を縮めたり…そんな悪女、野放しに出来ません。」
「もしや、俺の身体も…!?」
「私との誓いを破り神の加護を失った上に、そんな妹を傍に置くから…。偽りの愛しか持たないあの子では、あなたに役不足…むしろあの子は、あなたにとって一番選んではならない相手だった。」
「ならば、お前と復縁し、もう一度誓いを立てる。それで俺を─」
「それは無理です。私はもう、あなたの事をこれっぽっちも愛していないので。それに、一度裏切った者に救いの手を伸ばす程、神は都合のいい存在ではありません。」
「そんな…!」
その後逃げた妹は無事見つかり、修道院の地下に幽閉された。
厳重な監視の元、彼女はもう逃げる事は出来ない。
病に臥せっていた彼は一命を取り留めたものの、病の後遺症か天罰か…廃人同然となってしまった。
結果好調だった事業は他人の手に渡り、やがて彼は財産も奪われ家から追い出される事に─。
今は田舎の療養所で、ひっそりと余生過ごしているそうだけど…その命の灯も、長くはないだろう。
元々彼は、私なしでは人の半分も生きられなかった。
彼は今、本来の運命を辿っているのだ。
愛の誓いを破り私を捨て、あんな死神のような悪女を選ぶから…それとも、こうなる事があなたの運命だった?
だとしたら、自業自得ね─。
49
お気に入りに追加
12
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります
柚木ゆず
恋愛
婚約者様へ。
昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。
そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?

家族に【用済み】だと言われ追放された私は、姉の婚約予定の王子様に求婚されました
海原とまと
恋愛
家族に追放され貴族という身分を失った私は、ある事をきっかけに姉の婚約予定だった王子様に求婚されました。私のことを追放した家族に復讐して幸せになる物語。


〖完結〗婚約者の私よりも、ご自分の義妹ばかり優先するあなたとはお別れしようと思います。
藍川みいな
恋愛
婚約者のデイビッド様は、とても誠実で優しい人だった。義妹の、キルスティン様が現れるまでは。
「エリアーナ、紹介するよ。僕の義妹の、キルスティンだ。可愛いだろう?」
私の誕生日に、邸へ迎えに来てくれたはずのデイビッド様は、最近出来た義妹のキルスティン様を連れて来た。予約していたレストランをキャンセルしたと言われ、少しだけ不機嫌になった私に、 「不満そうだね。キルスティンは楽しみにしていたのに、こんな状態では一緒に出かけても楽しくないだろう。今日は、キルスティンと二人でカフェに行くことにするよ。君は、邸でゆっくりすればいい」そう言って、二人で出かけて行った。
その日から、彼は変わってしまった。私よりも、義妹を優先し、会うこともなくなって行った。
彼の隣に居るのは、いつもキルスティン様。
笑いかけてもくれなくなった彼と、婚約を解消する決意をする。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。感想ありがとうございました。
嬉しい感想や、自分では気付かなかったご意見など、本当にいつも感謝しております。
読んでくださり、ありがとうございました。

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい

傲慢な婚約者、我儘な義妹が貰ってくれるそうです。喜んで差し上げますわ!!
久遠りも
恋愛
_実は傲慢な婚約者は、我儘な義妹が貰ってくれるそうです。
とっても嬉しいことです、喜んで差し上げますわ!!
一話完結です。
ゆるゆる設定です。


わたくしは、すでに離婚を告げました。撤回は致しません
絹乃
恋愛
ユリアーナは夫である伯爵のブレフトから、完全に無視されていた。ブレフトの愛人であるメイドからの嫌がらせも、むしろメイドの肩を持つ始末だ。生来のセンスの良さから、ユリアーナには調度品や服の見立ての依頼がひっきりなしに来る。その収入すらも、ブレフトは奪おうとする。ユリアーナの上品さ、審美眼、それらが何よりも価値あるものだと愚かなブレフトは気づかない。伯爵家という檻に閉じ込められたユリアーナを救ったのは、幼なじみのレオンだった。ユリアーナに離婚を告げられたブレフトは、ようやく妻が素晴らしい女性であったと気づく。けれど、もう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる