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22 さよならなんて、できない。
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机の上を見て下さいね-。
ルーインの言葉が気になって、俺はすぐに家に引き返した。
「世界どうしたの、何で帰ってきたの!?」
「母さん、ルーインが…いなくなったんだ!」
「ルーイン…誰、それ?そんな名前初めて聞いたわ。」
「嘘だろ、なんで…?」
私がこの世界からいなくなれば、お母様は元に戻りますのでどうぞ安心を-。
…そうか、ルーインが居なくなったから、母さんの中からルーインが消えたのか。
俺は急いで自分の部屋に向かった。
壁の向こうにあったルーインの部屋が、無くなっている。
そこにはただ、真っ白な壁があるだけだった。
俺は、その場に座り込んだ。
何もかも消えてしまった…これだと先導さん以外、学校の皆もルーインのことを覚えていないだろう。
俺はそっと机に目を向けた。
するとそこには、可愛らしくラッピングされた包みが2つと封筒が置いてあった。
手紙?…ルーインが書いたのか!
俺は早速その封筒を開け、中を読んだ。
『世界へ
世界がこの手紙を読む時、私はもうこの世界に居ないでしょう。
私から世界に、贈り物があります。
1つ目は手作りのバレンタインチョコレートです。
バレンタインは2月14日ですが、私はもうその時にはここに居ないので、今お渡ししますね。
少し早くなってしまって、ごめんなさい。
2つ目は手編みのマフラーです。
世界、去年マフラーを無くして、まだ買っていないと言ってたでしょう?
温かくして、風邪をひかないようにしてくださいね。
私、好きな人にこうして普通の女の子のようにプレゼントを贈ることができて、とても幸せです。
世界に出会えてよかった、世界を好きになってよかった。
短い間でしたが、本当にありがとう。
そして、さようなら。
ルーイン』
…本当に最後の最後まで、俺のことを考えてばかりだ、君は。
※※※
俺はラッピングを解いて、チョコレートとマフラーを取り出した。
チョコレートにはベリーのドライフルーツがトッピングされていた…ルーインの赤い瞳の色みたいだ。
俺を優しく見つめるルーインの瞳を思い出し、俺は思わず涙がこぼれそうになった。
マフラーも、いつから編んでいたんだろう…自分が居なくなる時期を見越して編み始めたのか?
何も知らなかった、気づけないでいた俺はバカだ!
さようなら、世界-。
嫌だ、無理だ…俺は君とさよならなんて、できない!
その時、俺はあることを思いついた-。
ルーインの言葉が気になって、俺はすぐに家に引き返した。
「世界どうしたの、何で帰ってきたの!?」
「母さん、ルーインが…いなくなったんだ!」
「ルーイン…誰、それ?そんな名前初めて聞いたわ。」
「嘘だろ、なんで…?」
私がこの世界からいなくなれば、お母様は元に戻りますのでどうぞ安心を-。
…そうか、ルーインが居なくなったから、母さんの中からルーインが消えたのか。
俺は急いで自分の部屋に向かった。
壁の向こうにあったルーインの部屋が、無くなっている。
そこにはただ、真っ白な壁があるだけだった。
俺は、その場に座り込んだ。
何もかも消えてしまった…これだと先導さん以外、学校の皆もルーインのことを覚えていないだろう。
俺はそっと机に目を向けた。
するとそこには、可愛らしくラッピングされた包みが2つと封筒が置いてあった。
手紙?…ルーインが書いたのか!
俺は早速その封筒を開け、中を読んだ。
『世界へ
世界がこの手紙を読む時、私はもうこの世界に居ないでしょう。
私から世界に、贈り物があります。
1つ目は手作りのバレンタインチョコレートです。
バレンタインは2月14日ですが、私はもうその時にはここに居ないので、今お渡ししますね。
少し早くなってしまって、ごめんなさい。
2つ目は手編みのマフラーです。
世界、去年マフラーを無くして、まだ買っていないと言ってたでしょう?
温かくして、風邪をひかないようにしてくださいね。
私、好きな人にこうして普通の女の子のようにプレゼントを贈ることができて、とても幸せです。
世界に出会えてよかった、世界を好きになってよかった。
短い間でしたが、本当にありがとう。
そして、さようなら。
ルーイン』
…本当に最後の最後まで、俺のことを考えてばかりだ、君は。
※※※
俺はラッピングを解いて、チョコレートとマフラーを取り出した。
チョコレートにはベリーのドライフルーツがトッピングされていた…ルーインの赤い瞳の色みたいだ。
俺を優しく見つめるルーインの瞳を思い出し、俺は思わず涙がこぼれそうになった。
マフラーも、いつから編んでいたんだろう…自分が居なくなる時期を見越して編み始めたのか?
何も知らなかった、気づけないでいた俺はバカだ!
さようなら、世界-。
嫌だ、無理だ…俺は君とさよならなんて、できない!
その時、俺はあることを思いついた-。
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