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17 文化祭、すれ違いと告白と。<後>

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「ルーインの望みを叶えれば、俺の望みが叶わない…?ルーインの望みって「世界せかい!クラスの方が呼んで見えます!」…ルーイン、今行く。」

 ルーインに呼ばれ俺は教室に戻った。
 七夕の時ルーインに自身の願いを尋ねたら、言葉をにごしていた。
「せ、世界。あんまり見つめられると、その照れますわ。」
「ご、ごめん。」
「あの…真理愛まりあちゃんと何かあったのでは?それに夢有ゆうりちゃんも。」
「…大丈夫だよ。」

♡♡♡

「それにしても、小道具修理で時間取られたな。ルーイン、文化祭回る時間が少なくなってごめん。どこ行きたい?」
「では、あそこに。」
 お、お化け屋敷…魔王様がお化け屋敷ってなんか面白い。
 俺がクスクス笑うと、ルーインは笑顔でこう言った。
「世界が笑ってくれました!最近笑顔が少なかったから…世界が笑ってくれて嬉しいです。」
「…ルーインが頑張るのは、いつだって俺の為だね。それは、俺と契約してるから?」
「それはそうですが…私、世界の笑った顔が好きです。それを見られるなら、いくらでも頑張ります。」
 そう言ってルーインはお化け屋敷に駆けて行った。
 君の為に俺は頑張り、君は俺の為に頑張る、…同じなんだな、俺たちは。

♡♡♡

「世界…大丈夫です?怖かったら私につかまって下さい。何なら引き返しても…。」
 忘れてた、俺グロいの苦手だった…このお化け屋敷、血やら臓物ぞうもつやら、やたらリアルなんだけど!よくこんなの再現できたな。
「いや…頑張る。でも、ちょっと手引っ張ってもらえる?」
「私の前では無理に頑張らないで…私、どんな世界でも好きで…あ、あの今のは!」
 …ル、ルーイン俺のこと好きって言った?
「あの…今私が言ったことは気になさらず。世界が真理愛ちゃんを好きなのは知ってます。私は世界の望みを叶える者ですから。」

 どうか、あの子の望みを叶えて?例え…貴方の望みが叶わなくても-。
 
 そうか…さっき先導せんどうさんが言ったのはこういう意味か。
 俺がルーインの気持ちを受け入れたら、俺が真理愛ちゃんと付き合うことはない… それはルーインの望みが叶い、俺の望みが叶わなくなるということだ。
「世界は自分の気持ちを大切にしてくださいね。…さあ行きましょう、あまり立ち止まっては後ろの方にご迷惑です。」
 答えを返せないでいる俺の腕をルーインは優しく引き、それ以上話すことなく前を歩いた。
 ルーイン、今どんな顔してる…?
 俺も君の笑った顔が好きだ、でも今は…それとは真逆の顔をさせているんだろう、きっと-。
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