王子に婚約破棄され生贄になった私ですが、人外愛されスキルで神様の花嫁になれました。

coco

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王子に婚約破棄され生贄になった私ですが、人外愛されスキルで神様の花嫁になれました。<後>

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 あの後私は、神様が住むという屋敷やしきに連れて来られた。

「神様は、私のどこを好きになってくれたのです?」

「気になるか?」

「はい、私は昔から不思議ふしぎなものに好かれるたちでして─。」

 私は自分の人外愛じんがいあいされスキルについて、神様にお話しした。

「…そうだったか。すまない、それは私が原因げんいんだ。」

「神様が?」

「あれは私がまだ生まれたての、神として未熟みじゅくな時の事だった。あの国に降り立った私は、しかけられた魔法陣まほうじんにうっかりとららえられてしまった。逃げ出そうともがき傷ついていた私を、君がすくい出してくれたんだ。私は感謝かんしゃあかしに、君にこっそり加護かごを授けたんだ。」

「あ…あの時の子犬みたいなのが神様だったの!?」

「そうだよ。」

「その加護の力で、私は不思議なものに好かれていた…。」

普通ふつうの人間たちはその神気しんきえられず、おのずと君をけていたんだ。すまない、さぞかし嫌な目にっただろう。でも私は、どうしても君を自分のものにしたかったんだ。」

「いいんです、私はあなたにえらばれて幸せです。」

「そうか…ではこれからも、私の愛をしみなく捧げるとここにちかおう。」

 神様は私を抱きしめると、そっと口づけを落とした─。

※※※

 神に見捨てられた国は、それからあっという間に衰退すいたいしていった。

 王子は国を追放ついほうされた末に辺境へんきょうの地でやまいに倒れ、その命を落とした。
 聖女は国を衰退させた責任せきにんを取る為に捕らえられ、やがて処刑しょけいされた。

 そしてついに、あの国は滅んだ。

 神様の言葉にうそはなかったのだ。

 私はあれから、神様の花嫁はなよめとして幸せな日々を過ごしている。

 毎日愛を与えられ加護を授けられ…惜しみなく愛を捧げるって神様は言ってくれたから、私の人外愛されスキルはまだまだ向上こうじょうしちゃうわね─。
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