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私から美形の婚約者を奪った美人の幼馴染ですが…そのせいで、美貌を失い破滅しました。
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「彼、もうあなたの傍に居たくないんだって。」
「可愛くもないお前にベタベタされるのは、もううんざりだ…お前とは婚約破棄する。」
「そういう事だから、あなたも早く別の相手を見つけて幸せになりなさいよ。」
美人の幼馴染が、私の婚約者を奪った。
彼は、この国一の美形と評判の人物だ。
あの子は、昔から美形の男ばかりを恋人にしていたけど…まさか、幼馴染である私の婚約者にまで目を付けるなんて。
でも…彼のあの姿は…。
あれは、所詮は幻のようなもの…きっと、後悔する事になるわよ─?
※※※
あれから私と彼は、隣の領地に逃げて来ていた。
だってあそこに居たら、あの女が未練がましく彼を追いかけてくるかもしれないでしょ?
こんな美形、あの子には勿体ないわ…復縁などさせてやるものですか!
そして私たちは、彼の持つ別荘で熱い一夜を過ごした。
駆け落ちし、山奥の別荘で二人きり…盛り上がらない訳がないわ。
その翌朝…目が覚ました私は、隣で眠る彼の顔を覗き込んだ。
これから毎日、あの美しい顔を見る事が出来…え!?
こ、この顔は一体…!?
そこには、とんでもなく醜い男がいびきをかいて眠っていた。
私は叫び声を上げ、ベッドから飛び起きた。
「一体どういう事…あなた誰?彼は…あの美形は、どこへ行ったの!?」
「誰って…俺はずっと君の傍に居たじゃないか。」
「じゃあ、本人なの?だって顔が…。」
「俺の本当の顔は、この顔だよ。」
嘘…この化け物のようなおぞましい顔が?
これが、本当の顔ですって…?
「俺の一族の男はある呪いを受けて居て…稀に、こんな不気味な顔で生まれてくるんだ。でも…魔力で顔などどうとでも出来る。だから俺は、あの魔力持ちの婚約者の女に、顔を美しく変えて貰って居たんだ。」
あの子…好きでこの男と居ると思ってたら…まさかそんな事情があったなんて─!
「でも、顔を美しくしてくれるのはいいが…好みでもない女を傍に置くのは、嫌だったんだよ。そしたら、君が俺に迫って来て…俺は君のような美人が好きだったから、本当に嬉しかったよ。君は言ってくれたよね?あなたの全てが好きだと…それって、俺の本当の顔も好きって事だろう?」
「ち、違うわ!全てって言うのは、顔と財力と地位と…とにかく!こんな顔と知ってたら、誰があなたなど好きになるもんですか!」
私は堪らず、元の領地に逃げ帰ろうとした。
「あなたとは、今日限りでお別れよ!」
そう言って、私は彼に背を向けたのだが…何故か急に身体に力が入らなくなり、私はその場に崩れ落ちた─。
「目が覚めたか?」
「…私、どうしたの?」
訳が分からないといった私に、彼が渡したのは…手鏡?
「な、何よこの顔…!」
そこには、彼と全く同じ顔になった私がこちらを見ていた。
「俺たち一族の男はその呪いにより、交わった者を同じ顔に変えてしまうんだ。でもそれこそが、君が俺のものになった証さ。美醜にこだわる君の事…こんな顔じゃあ、もうどこにも行けないはず。だから俺たち…もうこれで、ずっと一緒に居られるね。」
そ、そんな…私は死ぬまでこの顔で、この男と運命を共にしないといけないのいけないの…?
余りのショックに、私はその場に泣き崩れた─。
※※※
「─そういえば、隣の領地に住む知人から聞いたんだが…最近、その地の山奥で怪物が出るらしい。」
「え…。」
「山の中にある別荘でね、そこに住む男女がそう言われているらしいが…とても醜い容姿をしているから、そう言われているそうだ。」
「…まぁ、怖い。一体、どこの誰なのかしらね。でも…そこで二人静かに暮らしているならいいんじゃない?そっとしておいてあげればいいわ。」
何て、素知らぬ振りをしてみたけど…その二人というのは恐らく、駆け落ちした元婚約者と私の幼馴染だわ。
あの辺りで、私の魔力が完全に消えた気配がしたから。
そしてどうやらあの女は、彼と交わり同じ顔に変えられてしまったようね。
私は、私を好きでもない癖に、私の魔力だけ利用しようとするあの男が大嫌いだった。
家同士の約束で婚約させられたとはいえ、いつか必ず婚約破棄しようと思って居たくらいに─。
そこを、美形が大好きの幼馴染が奪って行ってくれるんですもの…本当に助かったわ。
あの子は、人の恋人を奪う事が大好きな性悪女だったけれど…時にはそれが、人の役に立つ事もあるのね。
おかげで私は、こんなに優しくて素敵な殿方と出会い…更には婚約までして、幸せになれたんですもの─。
「可愛くもないお前にベタベタされるのは、もううんざりだ…お前とは婚約破棄する。」
「そういう事だから、あなたも早く別の相手を見つけて幸せになりなさいよ。」
美人の幼馴染が、私の婚約者を奪った。
彼は、この国一の美形と評判の人物だ。
あの子は、昔から美形の男ばかりを恋人にしていたけど…まさか、幼馴染である私の婚約者にまで目を付けるなんて。
でも…彼のあの姿は…。
あれは、所詮は幻のようなもの…きっと、後悔する事になるわよ─?
※※※
あれから私と彼は、隣の領地に逃げて来ていた。
だってあそこに居たら、あの女が未練がましく彼を追いかけてくるかもしれないでしょ?
こんな美形、あの子には勿体ないわ…復縁などさせてやるものですか!
そして私たちは、彼の持つ別荘で熱い一夜を過ごした。
駆け落ちし、山奥の別荘で二人きり…盛り上がらない訳がないわ。
その翌朝…目が覚ました私は、隣で眠る彼の顔を覗き込んだ。
これから毎日、あの美しい顔を見る事が出来…え!?
こ、この顔は一体…!?
そこには、とんでもなく醜い男がいびきをかいて眠っていた。
私は叫び声を上げ、ベッドから飛び起きた。
「一体どういう事…あなた誰?彼は…あの美形は、どこへ行ったの!?」
「誰って…俺はずっと君の傍に居たじゃないか。」
「じゃあ、本人なの?だって顔が…。」
「俺の本当の顔は、この顔だよ。」
嘘…この化け物のようなおぞましい顔が?
これが、本当の顔ですって…?
「俺の一族の男はある呪いを受けて居て…稀に、こんな不気味な顔で生まれてくるんだ。でも…魔力で顔などどうとでも出来る。だから俺は、あの魔力持ちの婚約者の女に、顔を美しく変えて貰って居たんだ。」
あの子…好きでこの男と居ると思ってたら…まさかそんな事情があったなんて─!
「でも、顔を美しくしてくれるのはいいが…好みでもない女を傍に置くのは、嫌だったんだよ。そしたら、君が俺に迫って来て…俺は君のような美人が好きだったから、本当に嬉しかったよ。君は言ってくれたよね?あなたの全てが好きだと…それって、俺の本当の顔も好きって事だろう?」
「ち、違うわ!全てって言うのは、顔と財力と地位と…とにかく!こんな顔と知ってたら、誰があなたなど好きになるもんですか!」
私は堪らず、元の領地に逃げ帰ろうとした。
「あなたとは、今日限りでお別れよ!」
そう言って、私は彼に背を向けたのだが…何故か急に身体に力が入らなくなり、私はその場に崩れ落ちた─。
「目が覚めたか?」
「…私、どうしたの?」
訳が分からないといった私に、彼が渡したのは…手鏡?
「な、何よこの顔…!」
そこには、彼と全く同じ顔になった私がこちらを見ていた。
「俺たち一族の男はその呪いにより、交わった者を同じ顔に変えてしまうんだ。でもそれこそが、君が俺のものになった証さ。美醜にこだわる君の事…こんな顔じゃあ、もうどこにも行けないはず。だから俺たち…もうこれで、ずっと一緒に居られるね。」
そ、そんな…私は死ぬまでこの顔で、この男と運命を共にしないといけないのいけないの…?
余りのショックに、私はその場に泣き崩れた─。
※※※
「─そういえば、隣の領地に住む知人から聞いたんだが…最近、その地の山奥で怪物が出るらしい。」
「え…。」
「山の中にある別荘でね、そこに住む男女がそう言われているらしいが…とても醜い容姿をしているから、そう言われているそうだ。」
「…まぁ、怖い。一体、どこの誰なのかしらね。でも…そこで二人静かに暮らしているならいいんじゃない?そっとしておいてあげればいいわ。」
何て、素知らぬ振りをしてみたけど…その二人というのは恐らく、駆け落ちした元婚約者と私の幼馴染だわ。
あの辺りで、私の魔力が完全に消えた気配がしたから。
そしてどうやらあの女は、彼と交わり同じ顔に変えられてしまったようね。
私は、私を好きでもない癖に、私の魔力だけ利用しようとするあの男が大嫌いだった。
家同士の約束で婚約させられたとはいえ、いつか必ず婚約破棄しようと思って居たくらいに─。
そこを、美形が大好きの幼馴染が奪って行ってくれるんですもの…本当に助かったわ。
あの子は、人の恋人を奪う事が大好きな性悪女だったけれど…時にはそれが、人の役に立つ事もあるのね。
おかげで私は、こんなに優しくて素敵な殿方と出会い…更には婚約までして、幸せになれたんですもの─。
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