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私を婚約破棄させる事に執着した義妹は、愛する人からすっかり嫌われた上に幸せを逃しました。
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私には、血の繋がらない義妹が居る。
彼女はこの家に来た時から、姉である私を目の敵にしていた。
そして彼女は、今は私を婚約破棄させる事に執着している─。
「…彼が良いと言うけど、あなたにだって婚約話が来てるじゃない。ろくに話も聞かず断るなんて、勿体ないわ。」
「あなたには関係ない…余計なお世話よ!」
そう言って、義妹は家を飛び出して行ってしまった─。
※※※
「…じゃあ、姉のあの顔は見せかけだと?」
「以前お姉様は、神殿で加護を受けました。その加護によって、美しく見えているだけ…本当は醜い傷を持った、バケモノのような顔なの!」
「…バケモノ、か。」
「そしてその傷は…昔、私を階段から突き落そうとして失敗した傷なの。子供の悪戯だと、お姉様は忘れちゃったみたいだけど…本当は、そういう意地悪な女なんです!それに…今だって、密かにその虐めは続いてて─。」
私は、腕に出来た傷を彼に見せた。
「これは…。」
彼は眉をしかめ、私の傷を見ている。
…もう一押しだわ。
「あんな人と結ばれては、あなたの一生の汚点となるわ!どうか婚約を破棄し、新しい婚約者にこの私を─」
「それはお断りだ。」
「…え?」
彼は私の腕を取ると、その傷を指で擦った。
「やはり…偽物の傷じゃないか。きっと化粧道具を使い、赤く傷ついたように見せかけたんだろう?」
彼の指は赤く染まり、私の腕からは傷がすっかり消えていた。
「こ、これはですね…あなたに心配して貰いたくてちょっと大げさに…でも、ちゃんと痛みはあって─」
「君は…あの頃と何も変わってないな。」
「あの頃…?それって、どういう─?」
「俺は幼い頃、君とあるパーティーで出会っている。君は顔に傷を負った俺を見て、バケモノの子だとからかった。そしてわざと花瓶を割り…このバケモノの仕業だと騒ぎ立てた。俺は大人たちに酷く怒られ、会場から追い出され…その様子を、君は笑って見ていた。」
「あ…あの時の男の子が、あなた?」
「今はもう傷がないから、君が俺に気付かなかったのは仕方ないね。だけど、自分が過去に陥れた相手に愛を乞うなど…それはちょっと、みっともないんじゃないかな?しかもそんな嘘まで付き、こんな汚いやり方で─。」
私は冷や汗を流し、彼を見た。
「彼女の顔が、加護がなくても美しい事は知っている。むしろ…彼女のその加護のおかげで、いつも傍に居る俺は顔の傷を消す事が出来たんだ。本来の俺は、君が馬鹿にしたような傷持ちの男さ。」
「私、そんなつもりで言ったんじゃ…!」
「俺は、意地悪な嘘つき女は大嫌いだ。もう、俺の前に現れないでくれ。もし破れば、ただでは済まない─!」
私は彼に嫌われた挙句に絶縁宣言までされ、家から叩き出されてしまった。
嘘でしょう…こんな偶然ある─!?
私は、泣きながら家路に着いた。
すると、父が怒った顔で私を待ち構えてていた。
「お前、どこに行ってたんだ!婚約話を破棄したと言うのは本当か!?」
「あぁ…用事を済ます前にこの話を持って来た方の所へ出向き、断っておきました。それが何か?」
「何と愚かな事を─。実は…お前の婚約相手は、隣国の第三王子でな。美しいお前に一目惚れをし、どうしても妃に迎えたいと言って下さっていたんだ。」
「何ですって!?お、お父様…お相手が王子なら、私─」
「だけどこうもあっさり断られ、その恋心もすっかり冷めたそうだ。もうお前に、何の未練もないとの事だから…今更どうにも出来ん。」
私はショックな事続きで体から力が抜け、ガクリとその場に崩れ落ちた。
※※※
「だから言ったじゃない、勿体ないと。」
「お、お姉様…私、彼に嫌われた上に王子まで逃して…。こんなチャンス、もう一生ないのに~!」
義妹はその場に突っ伏して号泣し、大後悔したが…結局、どちらの男も手に入れる事は出来ないままに終わった。
その結果、義妹は悪いイメージが付いてしまい、未だに誰とも婚約出来ないままだ。
王子の求婚を蹴った高飛車な傲慢女、姉の婚約者を奪おうとした意地悪女など、その噂は様々だが…訂正しようにも、どれも本当なのだから困ったものね。
お父様は、そんな義妹を家の恥だと言って…彼女を近く、田舎の貧乏領主の訳アリご子息の元へ送り出そうと考えているらしい。
きっとこれは…事実上の縁切りでしょうね。
私としては、もっと早くあの子を追い出して欲しかったけど…今回の事で彼との縁が完全に切れたから、本当に良かったと思っているわ─!
彼女はこの家に来た時から、姉である私を目の敵にしていた。
そして彼女は、今は私を婚約破棄させる事に執着している─。
「…彼が良いと言うけど、あなたにだって婚約話が来てるじゃない。ろくに話も聞かず断るなんて、勿体ないわ。」
「あなたには関係ない…余計なお世話よ!」
そう言って、義妹は家を飛び出して行ってしまった─。
※※※
「…じゃあ、姉のあの顔は見せかけだと?」
「以前お姉様は、神殿で加護を受けました。その加護によって、美しく見えているだけ…本当は醜い傷を持った、バケモノのような顔なの!」
「…バケモノ、か。」
「そしてその傷は…昔、私を階段から突き落そうとして失敗した傷なの。子供の悪戯だと、お姉様は忘れちゃったみたいだけど…本当は、そういう意地悪な女なんです!それに…今だって、密かにその虐めは続いてて─。」
私は、腕に出来た傷を彼に見せた。
「これは…。」
彼は眉をしかめ、私の傷を見ている。
…もう一押しだわ。
「あんな人と結ばれては、あなたの一生の汚点となるわ!どうか婚約を破棄し、新しい婚約者にこの私を─」
「それはお断りだ。」
「…え?」
彼は私の腕を取ると、その傷を指で擦った。
「やはり…偽物の傷じゃないか。きっと化粧道具を使い、赤く傷ついたように見せかけたんだろう?」
彼の指は赤く染まり、私の腕からは傷がすっかり消えていた。
「こ、これはですね…あなたに心配して貰いたくてちょっと大げさに…でも、ちゃんと痛みはあって─」
「君は…あの頃と何も変わってないな。」
「あの頃…?それって、どういう─?」
「俺は幼い頃、君とあるパーティーで出会っている。君は顔に傷を負った俺を見て、バケモノの子だとからかった。そしてわざと花瓶を割り…このバケモノの仕業だと騒ぎ立てた。俺は大人たちに酷く怒られ、会場から追い出され…その様子を、君は笑って見ていた。」
「あ…あの時の男の子が、あなた?」
「今はもう傷がないから、君が俺に気付かなかったのは仕方ないね。だけど、自分が過去に陥れた相手に愛を乞うなど…それはちょっと、みっともないんじゃないかな?しかもそんな嘘まで付き、こんな汚いやり方で─。」
私は冷や汗を流し、彼を見た。
「彼女の顔が、加護がなくても美しい事は知っている。むしろ…彼女のその加護のおかげで、いつも傍に居る俺は顔の傷を消す事が出来たんだ。本来の俺は、君が馬鹿にしたような傷持ちの男さ。」
「私、そんなつもりで言ったんじゃ…!」
「俺は、意地悪な嘘つき女は大嫌いだ。もう、俺の前に現れないでくれ。もし破れば、ただでは済まない─!」
私は彼に嫌われた挙句に絶縁宣言までされ、家から叩き出されてしまった。
嘘でしょう…こんな偶然ある─!?
私は、泣きながら家路に着いた。
すると、父が怒った顔で私を待ち構えてていた。
「お前、どこに行ってたんだ!婚約話を破棄したと言うのは本当か!?」
「あぁ…用事を済ます前にこの話を持って来た方の所へ出向き、断っておきました。それが何か?」
「何と愚かな事を─。実は…お前の婚約相手は、隣国の第三王子でな。美しいお前に一目惚れをし、どうしても妃に迎えたいと言って下さっていたんだ。」
「何ですって!?お、お父様…お相手が王子なら、私─」
「だけどこうもあっさり断られ、その恋心もすっかり冷めたそうだ。もうお前に、何の未練もないとの事だから…今更どうにも出来ん。」
私はショックな事続きで体から力が抜け、ガクリとその場に崩れ落ちた。
※※※
「だから言ったじゃない、勿体ないと。」
「お、お姉様…私、彼に嫌われた上に王子まで逃して…。こんなチャンス、もう一生ないのに~!」
義妹はその場に突っ伏して号泣し、大後悔したが…結局、どちらの男も手に入れる事は出来ないままに終わった。
その結果、義妹は悪いイメージが付いてしまい、未だに誰とも婚約出来ないままだ。
王子の求婚を蹴った高飛車な傲慢女、姉の婚約者を奪おうとした意地悪女など、その噂は様々だが…訂正しようにも、どれも本当なのだから困ったものね。
お父様は、そんな義妹を家の恥だと言って…彼女を近く、田舎の貧乏領主の訳アリご子息の元へ送り出そうと考えているらしい。
きっとこれは…事実上の縁切りでしょうね。
私としては、もっと早くあの子を追い出して欲しかったけど…今回の事で彼との縁が完全に切れたから、本当に良かったと思っているわ─!
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