お妃様に魔力を奪われ城から追い出された魔法使いですが…愚か者達と縁が切れて幸せです。

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お妃様に魔力を奪われ城から追い出された魔法使いですが…愚か者達と縁が切れて幸せです。

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「あなたが居るから、私は王に愛されないの…あなたなど、城から追い出してやるわ!それも、役立たずの無能にしてね─。」

 城付きの魔法使いの私は、ある日お妃様に呼び出され…逆恨みされた挙句あげく、城からの追放を言い渡された。

「妃の私が魔力を持てば、もうあなたなど必要ない。これを使えばね、他人から魔力を奪う事が出来るそうよ。そして、私でも魔法が使えるようになるの!」

 妃が手にしているのは、城に出入りしている商人から買ったであろう魔道具だ。

「いけませんお妃様、それは─」

「大人しく言う事を聞きなさい!」

 お妃様…そんなおろかな事をしてまで、私から魔力を─。
 そんなにも、あの男を愛しているのね…。

 そして私は、その魔道具によって魔力を奪われ…身一つで城を出された─。
 
※※※

 やったわ…これで王に振り向いて貰える─!

 王はいつからか、私より若くて可愛い魔法使いのあの女を可愛がる様になった。
 私はそれが許せず、あの女に陰で意地悪をしてきたのだが…あの女は中々城を出て行かない。

 そしてある日、あの女に嫌味を言っているのを王に聞かれてしまい…私は後で酷く怒られた。
 
 …よくも妃である私に、恥をかかせてくれたわね。
 おまけにそのせいで、王の心は更に離れて行ってしまったし…!

 でもこの魔道具があれば…これからは全て私の想い通りになる─。

 そう、思っていたのに…王はとんでもない事を言い出した。

「新しい魔法使いを、城に迎える…?」

「お前が勝手な事をしてくれたからな。でもな、俺の愛する女は他にも居るんだ。愛人の一人が中々の魔力持ちでな、魔法も色々と使えて─」

「王…あなた、他に女が…?ま、魔法なら私だって使えます!」

「…お前はしゃしゃり出る必要はない!お前は不美人なんだから表に出て来るな、引っ込んでろ!」

 私は余りのショックと怒りにブルブルと体を震わせ…魔道具をギュッと抱きしめた。

 すると、魔道具が黒い光を放ち…それは王の身体を包み込んだ。
 王は苦しみその場に倒れてしまい、私はあわてその光を押さえようとしたが…どうにも出来なかった。

 その光はやがて私自身、そして城をも包み込んで行った─。
 
※※※


「…それで、私は王に黒魔法をかけ呪った悪女として、城から追放されたわ。しかも…こんなみにくい姿になってしまって…!一体どうしてなの!?」

 ある日、私の店に元お妃様がやって来て一部始終を語った。

「噂は本当だったんですね。黒魔法によって王が死に、城が破壊され…そして妃が罰を受けたというのは─。あの魔道具は魔力を悪い魔力に代え、黒魔法を発動するものでした。きっとあなたの負の感情が余りに強く、暴走してしまったのでしょう。その醜く変化した容姿は、黒魔法で王を呪った代償です。」

「私、そんなつもりはなかったのに…!でも…あなた私に魔力を奪われたはずよね?なのにどうしてこんな店を開けてるの?」

 城を追い出された私は、魔法具や魔法薬を売るお店を開き繁盛させていた。

「私は…生きてさえいればどんどん魔力がいて来る身体でしてね。その為、普段からこの腕輪で魔力を押さえているくらいです。ですので、逆にあなたに魔力を奪って貰って助かりました。」

「そ、そんな…私は妃の座を失った上に、こんな顔になってしまったというのに…あなたはこうして幸せに暮らしてるなんて…!」

「えぇ、今は本当に幸せですよ。嫉妬深い意地悪なあなたに逆恨みされ虐められ…辛い毎日を送ってましたから。あら…そろそろ私の愛する人が帰ってくる時間ね。もうお引き取り下さいます?」

「愛する人って…あなたは、王が好きなんじゃ…?」

「私には、その気は全くありませんでした。なのにあの男は王である立場を利用し、しつこく迫って来て…好きでもない男にそんな事をされ、ただ苦痛なだけでしたよ。こうしてあなた達の様な愚か者と縁が切れ…私は清々しています─。」

※※※

 帰って来た婚約者と私の仲睦なかむつままじい様子を見せられ、元妃は号泣し店を飛び出して行った。

 そして彼女は、醜くなってしまった顔を誰にも見られない様、今は辺境の地で一人寂しく暮らしているそうだ。

 本来ならあなたは妃として、私を虐めたりあんな悪巧みをするのではなく、色々な女に手を出す王をいさめるべきだった。
 こんな事になったのも、自業自得ね。

 でも、そのおかげで私は城を出て夢だった自分のお店を持て…お客様としてやって来た彼と結ばれる事になったのだから、それは感謝してるわ─。
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