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呪われてるから婚約破棄!?私を捨てると神様も捨てることになりますが、よろしいでしょうか。<後>

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 …醜い痣、か。

 でもこの痣、私には見えないのよね。
 私だけじゃない、この家の使用人や、周りの人たちにも見えていない。

 見えているのは、彼とその愛人だけの様だった。
 あの女も、私の顔を見た時ひどおどろいた顔をしていたっけ。

 それにしても、痣くらいで何だと言うのよ。
 大事なのは見てくれではなく、その人の心、中身よ。

 それをいつまでも醜いだの呪いだの…あげく一方的に婚約破棄を言い渡すなんて。

 もういいわ、私もいい加減かげんイヤになっちゃった。

「分かりました、そんなに言うなら婚約破棄しましょう。」

「それでいい、さっさと出て行け!」

「…やはりあなたとの縁は悪縁だったわね、神様の言った通りだわ。」

「神様だと…?」

「そうだよ、この子には神の加護かごがある。」

「だ、誰だお前は!?いつの間に屋敷やしきに入った!」
 
※※※

「私は#隣_となり__#の領地りょうちの守り神だ、この子をむかえに来たんだよ。」

「神…迎えに?」

「君もおろかな男だね。神の加護を受けた娘を婚約者にできるチャンスだったのに、それをみずかぼうに振って。このあざは、みにくい心を持った者にしか見えないんだ。愛人を作り、容姿ようしで人を判断はんだんするお前の様な者にしかね。もうお前には不幸しか訪れないよ、今日限りで彼女との縁が切れてしまうからね。」

「ま、待ってくれよ!」

「お前はこの先幸せで居たいなら、彼女との縁を大事にするべきだった。もう遅いけどね、じゃあ彼女はもらっていくよ。」

 神様は私を抱きしめると、そのまま彼の屋敷から姿を消した─。

※※※

「神様、迎えに来てくれてありがとう。それで、ここは…?」

「ここは俺の住む神殿しんでんだ。…俺は、君を一目見た時からずっと好きだったんだ。どうかここで、一緒に暮らしてくれないだろうか。」

「神様と、ここで…?」

「必ず大事にする、俺のそばに居て欲しい。」

「…私、今まで悩み事や困った事があると、かならずあなたに祈りに来てました。ずっと昔から、私はあなたを心の支えとしていたんですね。分かりました、ふつつかな娘ですがどうぞよろしくお願いいたします。」
 
 私の言葉に神様は微笑ほほえむと、そっとひたいに口づけを落とした。

 額が温かい…あの時と同じだわ。
 そういえばこの額、神様の目の色とそっくり─。

 私には、額に痣など見えなかった。
 私に見えていたのは、綺麗きれいな色をしたしるしの様なもの…きっと、これが神様の加護なのね。

 私はこの先も、こうやってこの方に愛され加護をさずけられるのだろう。
 私の命が続く限り、ずっと─。
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