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学園祭
学園祭
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道行く木々が少しずつ色を変え始めようとしている9月下旬。
秋の空気は春とは違い、何故か寂しさを感じさせてしまう。
今日は三日間行われる学園祭の最終日。
この学校の学園祭は、初日と二日目が特に盛り上がる。
外部から来る人もとても多く、特に出店なんかを出店してるサークルの一年生は売り子として大忙しだった。
俺も所属してる小説サークルの売り子を二日間ずっとやらされていた。
最終日の今日、俺は解放され、やっと自由な時間を与えられた。
「智也!たこ焼きうまいぞ!」
潤も同じ状況だったらしく、俺と潤は初めての大学の学園祭を堪能していた。
「智也!クレープ食べようぜ!」
「潤は食べてばかりだな。太るぞ。焼きそばなら野菜も入ってるからヘルシーだ。焼きそば行くぞ。」
「焼きそばは絶対ヘルシーじゃないぞ!焼きそばは家でも食べられるじゃんか。綿あめ行こうぜ!」
「クレープはどこいった。こういうところで食べる焼きそばは美味しいんだぞ?騙されたと思って食べてみてくれよ。」
「まあ、智也がそこまで言うなら。じゃあ半分くれよ!」
テニスサークルが出店していた出店から焼きそばを調達し、ベンチに座って潤と焼きそばを分け合う。
「うまっ!家で食べるのと全然違う!」
「だろ?豚肉にキャベツにもやし。ごく普通の具材なはずなのに、何故か祭りで食べる焼きそばは他よりも美味しいんだ。」
「後でもう一回買いに行こうぜ!」
「ああ。いいぞ。」
「お、智也!そろそろだぞ。焼きそば食べたら行こうぜ!」
「明日香のライブだな。行こうか。」
今日は明日香のバンドがライブをする日だ。
俺たちは親友がステージに立つ姿を見に体育館へと向かった。
体育館へ行くと既に体育館も半分ほどが埋まるくらいの人がいた。
体育館は椅子は置かれておらず、ライブハウスのスタンディングのように、幕が降りているステージの前に集まった人がごった返している。
「うわ。智也。すごい人数だぞ。」
「そうだな。今から前に行っても揉みくちゃにされるだけだし、あの辺でいいか?」
「ああ!そこにしようぜ!」
俺たちは体育館の中央辺り、ステージ前の群衆から少し離れた位置から見ることにする。
そして間もなくライブ開始のアナウンスと共にステージの幕が上がる。
照らし出されたステージの中央にはギターを構えた明日香の姿があった。
「なあ、智也。明日香ってギター弾けたのか?」
「どうだろうな。俺も何も知らなかった。」
明日香は簡単なバンド紹介をし、さっそく一曲目の演奏を始める。
一曲目は最近流行っている有名な曲のカバーをした曲だった。
明日香はというと、ギターボーカルだったようで、いつもの明日香とは思えないほど力強く、でも繊細に歌っていた。
当日のお楽しみだよと言っていた明日香の期待通り、俺と潤は普段の明日香のギャップに見入ってしまう。
「なあ、智也。あれ本当に明日香か?」
「あ、ああ。多分、明日香だと思う。」
ステージの上の明日香はギターを自分の身体の一部のように扱い、一生懸命歌う姿は、今世界で一番輝いているように思えた。
その後の二曲目は一曲目とは違う曲のカバーだった。
そして三曲目に入る前、明日香のMCが入る。
「みなさーん!今日はありがとうございました!!次の曲で最後の曲になります!」
観客が盛り上がっている中、とうとう来たかと身構えてしまう。
「この曲は…」
一言小さく言うと明日香は少しだけ俯いて続ける。
「この曲は今日この日のために私の大切な人が歌詞を書いてくれました!
すごく真っすぐで、でもその言葉一つ一つが私を優しく包んでくれるようで、そこに込められた気持ちがしっかりと伝わってきました…!」
そう言うと明日香は顔を上げ、しっかりとこちらを見る。
「私の…大切な人です!!!」
騒がしかった観衆も静かになり、聞こえてくるのは明日香の声だけ。
まるでここには俺と明日香しかいないように感じた。
秋の空気は春とは違い、何故か寂しさを感じさせてしまう。
今日は三日間行われる学園祭の最終日。
この学校の学園祭は、初日と二日目が特に盛り上がる。
外部から来る人もとても多く、特に出店なんかを出店してるサークルの一年生は売り子として大忙しだった。
俺も所属してる小説サークルの売り子を二日間ずっとやらされていた。
最終日の今日、俺は解放され、やっと自由な時間を与えられた。
「智也!たこ焼きうまいぞ!」
潤も同じ状況だったらしく、俺と潤は初めての大学の学園祭を堪能していた。
「智也!クレープ食べようぜ!」
「潤は食べてばかりだな。太るぞ。焼きそばなら野菜も入ってるからヘルシーだ。焼きそば行くぞ。」
「焼きそばは絶対ヘルシーじゃないぞ!焼きそばは家でも食べられるじゃんか。綿あめ行こうぜ!」
「クレープはどこいった。こういうところで食べる焼きそばは美味しいんだぞ?騙されたと思って食べてみてくれよ。」
「まあ、智也がそこまで言うなら。じゃあ半分くれよ!」
テニスサークルが出店していた出店から焼きそばを調達し、ベンチに座って潤と焼きそばを分け合う。
「うまっ!家で食べるのと全然違う!」
「だろ?豚肉にキャベツにもやし。ごく普通の具材なはずなのに、何故か祭りで食べる焼きそばは他よりも美味しいんだ。」
「後でもう一回買いに行こうぜ!」
「ああ。いいぞ。」
「お、智也!そろそろだぞ。焼きそば食べたら行こうぜ!」
「明日香のライブだな。行こうか。」
今日は明日香のバンドがライブをする日だ。
俺たちは親友がステージに立つ姿を見に体育館へと向かった。
体育館へ行くと既に体育館も半分ほどが埋まるくらいの人がいた。
体育館は椅子は置かれておらず、ライブハウスのスタンディングのように、幕が降りているステージの前に集まった人がごった返している。
「うわ。智也。すごい人数だぞ。」
「そうだな。今から前に行っても揉みくちゃにされるだけだし、あの辺でいいか?」
「ああ!そこにしようぜ!」
俺たちは体育館の中央辺り、ステージ前の群衆から少し離れた位置から見ることにする。
そして間もなくライブ開始のアナウンスと共にステージの幕が上がる。
照らし出されたステージの中央にはギターを構えた明日香の姿があった。
「なあ、智也。明日香ってギター弾けたのか?」
「どうだろうな。俺も何も知らなかった。」
明日香は簡単なバンド紹介をし、さっそく一曲目の演奏を始める。
一曲目は最近流行っている有名な曲のカバーをした曲だった。
明日香はというと、ギターボーカルだったようで、いつもの明日香とは思えないほど力強く、でも繊細に歌っていた。
当日のお楽しみだよと言っていた明日香の期待通り、俺と潤は普段の明日香のギャップに見入ってしまう。
「なあ、智也。あれ本当に明日香か?」
「あ、ああ。多分、明日香だと思う。」
ステージの上の明日香はギターを自分の身体の一部のように扱い、一生懸命歌う姿は、今世界で一番輝いているように思えた。
その後の二曲目は一曲目とは違う曲のカバーだった。
そして三曲目に入る前、明日香のMCが入る。
「みなさーん!今日はありがとうございました!!次の曲で最後の曲になります!」
観客が盛り上がっている中、とうとう来たかと身構えてしまう。
「この曲は…」
一言小さく言うと明日香は少しだけ俯いて続ける。
「この曲は今日この日のために私の大切な人が歌詞を書いてくれました!
すごく真っすぐで、でもその言葉一つ一つが私を優しく包んでくれるようで、そこに込められた気持ちがしっかりと伝わってきました…!」
そう言うと明日香は顔を上げ、しっかりとこちらを見る。
「私の…大切な人です!!!」
騒がしかった観衆も静かになり、聞こえてくるのは明日香の声だけ。
まるでここには俺と明日香しかいないように感じた。
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