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第二章 生きるために
第十五話 ~空蝉~
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「ん...」
ここは…
どうやら気を失っていたようだ。
辺りは暗く、月明かりだけが俺を照らす。
ゴブリンと遭遇する前、サヤとスキルの話をした少し開けた広場に俺は寝かされていたようだ。
隣にはサヤが静かに寝息をたてて寝ている。
ここまで連れてきてくれたんだな。
距離もそこそこあったし俺を連れてくるなんて、さぞ大変だっただろう。
何より、またゴブリンに遭遇したらという不安もあったはずだ。
「ありがとう。サヤ。」
寝ているサヤの頭を起きないように優しく撫でてみる。
こんな出会い方…したくなかったな。
「イテテ...」
まだ少しだけ痛みが残る体を起こし辺りを見渡す。
風が木々を揺らす音だけが聞こえる。
この場所はゲーム上、セーフゾーンになっているのか?
「これからどうしようか。」
ここから動いてまたゴブリンみたいな強い敵が現れたら、次は死んでしまうかもしれない。
今度はサヤが狙われるかもしれない。
それならいっそここから動かない方がいいのか。
これからのことを考えても悪い考えしか浮かばない。
「そうだ。ステータス。」
あのゴブリンを2匹も倒したんだ。
道中ウサギも倒しているし何かスキルを覚えていないか確認しよう。
左手の甲に右手の手のひらを重ねる。
目の前には文字が浮かび上がってくる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プレイヤー:楠木 優(くすのき ゆう)
ステータス
HP :70/150
スタミナ:130
攻撃力 :120
防御力 :150
特性
平凡(スタンダード):平均的なステータスを持つ
スキル
【アイテム】
・霊刀~空蝉(うつせみ)~
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータスは少しだけ上がってるんだな。
HPはダメージを受けている表記になっているな。
何か回復手段を探さないといけないか。
ん?アイテムに何か増えてるな。
「うつせみ...?」
口に出した途端手のひらが光りだし突如としてあの木刀が現れる。
この木刀、空蝉(うつせみ)って名前だったのか。
「ただの木刀のくせに大した名前だな。」
見た目と名前のギャップに少し気が緩んでニヤついてしまう。
「ユウ...く…ん?」
今の光でサヤを起こしてしまったのかもしれない。
「あぁ。起こしたか。ごめんサ…」
ドサッ
突然抱き着いてきたサヤに押され再び芝生に寝そべる形になる。
顔は見えないが泣いているのは分かる。
「ユウくん…よかった…本当によかった…
もしユウくんがこのまま目が覚めなかったらって思ったら私…わたし…」
「もう大丈夫だよ。心配させてごめんな。」
サヤを抱きしめ返し頭を撫でてやる。
そのまま少しの間サヤは泣きっぱなしだった。
その時間が経つにつれ、サヤを守りたい気持ちが強くなる。
「サヤ。俺サヤを守るよ。一人になんてさせない。もう心配させないくらい強くなるよ。」
「私も…もう見てるだけじゃなくてユウくんを守れるようになりたい。」
「サヤ。」
抱きしめる力が強くなる。
まるで二人の覚悟を表してい
「何してんだ?お前ら。」
「「え?」」
ガタイの良い男が呆れた顔でこちらに話しかけてきた。
ここは…
どうやら気を失っていたようだ。
辺りは暗く、月明かりだけが俺を照らす。
ゴブリンと遭遇する前、サヤとスキルの話をした少し開けた広場に俺は寝かされていたようだ。
隣にはサヤが静かに寝息をたてて寝ている。
ここまで連れてきてくれたんだな。
距離もそこそこあったし俺を連れてくるなんて、さぞ大変だっただろう。
何より、またゴブリンに遭遇したらという不安もあったはずだ。
「ありがとう。サヤ。」
寝ているサヤの頭を起きないように優しく撫でてみる。
こんな出会い方…したくなかったな。
「イテテ...」
まだ少しだけ痛みが残る体を起こし辺りを見渡す。
風が木々を揺らす音だけが聞こえる。
この場所はゲーム上、セーフゾーンになっているのか?
「これからどうしようか。」
ここから動いてまたゴブリンみたいな強い敵が現れたら、次は死んでしまうかもしれない。
今度はサヤが狙われるかもしれない。
それならいっそここから動かない方がいいのか。
これからのことを考えても悪い考えしか浮かばない。
「そうだ。ステータス。」
あのゴブリンを2匹も倒したんだ。
道中ウサギも倒しているし何かスキルを覚えていないか確認しよう。
左手の甲に右手の手のひらを重ねる。
目の前には文字が浮かび上がってくる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プレイヤー:楠木 優(くすのき ゆう)
ステータス
HP :70/150
スタミナ:130
攻撃力 :120
防御力 :150
特性
平凡(スタンダード):平均的なステータスを持つ
スキル
【アイテム】
・霊刀~空蝉(うつせみ)~
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ステータスは少しだけ上がってるんだな。
HPはダメージを受けている表記になっているな。
何か回復手段を探さないといけないか。
ん?アイテムに何か増えてるな。
「うつせみ...?」
口に出した途端手のひらが光りだし突如としてあの木刀が現れる。
この木刀、空蝉(うつせみ)って名前だったのか。
「ただの木刀のくせに大した名前だな。」
見た目と名前のギャップに少し気が緩んでニヤついてしまう。
「ユウ...く…ん?」
今の光でサヤを起こしてしまったのかもしれない。
「あぁ。起こしたか。ごめんサ…」
ドサッ
突然抱き着いてきたサヤに押され再び芝生に寝そべる形になる。
顔は見えないが泣いているのは分かる。
「ユウくん…よかった…本当によかった…
もしユウくんがこのまま目が覚めなかったらって思ったら私…わたし…」
「もう大丈夫だよ。心配させてごめんな。」
サヤを抱きしめ返し頭を撫でてやる。
そのまま少しの間サヤは泣きっぱなしだった。
その時間が経つにつれ、サヤを守りたい気持ちが強くなる。
「サヤ。俺サヤを守るよ。一人になんてさせない。もう心配させないくらい強くなるよ。」
「私も…もう見てるだけじゃなくてユウくんを守れるようになりたい。」
「サヤ。」
抱きしめる力が強くなる。
まるで二人の覚悟を表してい
「何してんだ?お前ら。」
「「え?」」
ガタイの良い男が呆れた顔でこちらに話しかけてきた。
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