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第二章 生きるために

第十四話 ~紡ぐもの~

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ドサッ



木に打ち付けられた俺の体が地面に落ちた。



腹部と木に打ち付けられた背中が痛みが走り、呼吸すらままならないほど苦しい。

俺は何にやられたんだ?ゴブリンを蹴ろうとしただけなのに。

霞む視線を正面に向けゴブリンの居た方を確認する。



視線の先にはゴブリンがもう一匹いた。

コイツか。コイツがこん棒で俺を吹き飛ばしたようだ。

2匹目のゴブリンの後ろにはサヤが泣きそうになりながら口を押さえ立っているのが見える。

1匹目のゴブリンはまだ捕まえていてくれているようだ。





2匹目のゴブリンはこちらを見据え歩いて寄ってくる。

幸いにも2匹目のゴブリンは俺を標的にしているみたいだ。

サヤの殴られる姿なんて見たくないからな。



俺は激痛が走る体を無理やり上体を起こし後ろへ後ずさる。

心なしかニヤついているように見える。

いたぶって楽しんでいるつもりなのだろうか。





ゴンッ





俺の体が後ろの障害物に当たり、後ろへ進めなくなる。



その姿、追い詰められ恐怖に満ちた俺の顔を見てなのか、2匹目のゴブリンは一番のニヤつきを見せたかと思うと、こん棒を振りかぶりながら一気に走ってこちらへ向かってくる。







もう、ダメなのか。





「ユウくん!!!」







サヤの声だ。

そうだ。ここで俺が諦めたらサヤを守れないじゃないか!!







俺は背中に当たった障害物へ後ろ向きに右手を伸ばし、『それ』を掴んだ。







これが何なのかは分からないが今は助けてくれ!



『それ』を目前まで迫ってきた2匹目のゴブリンへ向ける。





グシャァ!





走ってきたゴブリンが俺に衝突したのだろう。

先ほどのこん棒で殴られた時ほどではないが再び後ろの障害物に体を当てられる。





ゴブリンは...俺のすぐそばに倒れている。胸に木刀が刺されている状態で。





そう、俺の背中にあったのはゴブリンに遭遇する前に見つけた宝箱だった。

最初に背中に当たった時、一瞬確認した宝箱は蓋が開いており棒状の何かが飛び出していた。

ゴブリンが走ってきた時、俺が直前に向けた木刀に自ら刺されにいった形になった。





間もなくゴブリンは光を発し消えていった。

俺はキツい体に鞭を打ち立ち上がり、木刀を拾いサヤを見る。



サヤは先ほどのポーズと表情を変えずこちらを見ていた。

ここからでも見えるほどにサヤは泣いていた。





残ったゴブリンも倒さなきゃな。







俺はふらつく足で1匹目のゴブリンの元へ行き、全体重を乗せてゴブリンの頭へ木刀を突き刺した。





そのまま俺も倒れた。



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