秘密の姫は男装王子になりたくない

青峰輝楽

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第二部

18・戦場

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 斥候の報告では、ソマンド王国は大軍を投入してきた訳ではないようだった。

 ソマンドはいくつかの氏族が国王の下で分割統治している国なのだけど、その氏族間の権力争いが激しいのだそうで、情報では、その内のひとつの氏族が功名の為にレイアークをおとそうと先走ったらしい。つまり国を挙げての侵攻ではない。ただ、ソマンドとレイアークは隣国同士であっても友好を結んではいないので、もしこの侵攻が成功しそうだと思われたら、王国軍が動く可能性が高いということ。だから、緒戦でレイアークの運命は決まる、と思ったほうがいい。



 侵攻軍は既に国内に入り込んでいる。ジークは、国境から街道を北上した広い谷地で迎え撃つ事を決める。



「敵は、我々の内紛に乗じて攻め込んできた。つまりレイアークの国軍が二分してすぐに戦力を出せないと侮っているのだ。しかし幸い枢機卿とすぐに協力体制が整ったことで、こちらには多くの傭兵がついている。だから、まずはわたしの率いる騎士団本隊が敵を引きつける。敵は、それが急遽迎え撃てる我々の最大戦力と思い、これを潰せば勝利と攻めかかってくるだろう。その時、傭兵と騎士の混成で組んだ遊撃隊が左右側面から奇襲する。背後に兵は割かなくてよい。敵をソマンドに逃げ帰らせる事が目的なのだから。敵は大軍ではないから、勝算はある」



 谷地近くの幕営に集まった皆はジークの作戦に頷いた。



「僕はどうすればいい、ジーク」

「リオンさまはここでお待ちください。ここまで同行された事で既に皆の気持ちは王家の元に固まっております。どうかゼクスさまとここに。決して敵を踏み込ませはしません」

「でも」

「リオン、ジークの言う通りにしよう」



 とゼクスが口を挟む。確かに、戦闘の中に私がいたら、ジークの足手まといになってしまう。わかったと言うしかなかった。



「絶対無事で戻ってくれ」

「そのつもりです」



 覚悟していた筈だけど、心配でどうかなりそうだ。流れ矢に当たったりしたら……。

 するとゼクスが言った。



「生きて帰って来なければ、『彼女』は私が貰うからな! 嫌ならば絶対戻って来るんだぞ!」



 幕営を出ようとしていた人々は軽くどよめいた。女っ気なしと思われていたジークが、ゼクスとまさかの三角関係、と誰もが一瞬思っただろう。

 けれど、ジークは頭を下げてただ、



「もしもの時は、『彼女』をよろしくお願いします」



 と言ったのだった。



―――



 どうして、彼女は渡さない、って言ってくれないのだろう……。私は不安で泣きたくなるのを堪えてゼクスとじっと待つしかない。遊撃隊を指揮する為にエリスも行ってしまった。どうか、どうか、誰も死なずに無事で戻って来て……。



 長いような短いような時間。距離はあるけれど戦いの声や物音は聞こえてくる。いまこの瞬間にもジークが深手を負っていたりしたら……悪い想像ばかりして、私は頭を抱え込んだ。



 突然、わあっと歓声のようなものが聞こえた。



「ど、どうなった?」

「見て来ます!」



 と幕営に残った騎士が慌てて出て行く。帰りを待つのが酷く長く感じたけれど、



「リオンさま! 勝利です! ソマンド軍は撤退したということです!」



 騎士の喜色を含んだ報告に、私はへたり込みそうになる。



「ジークは? 皆は?」

「大きな損害はないそうです。閣下もご無事です」



「ああ、ゼクス!」

「よかったな」



 ゼクスも心から喜んでくれているよう。幕営には戦勝ムードがたちこめた。



 ――だけど。



 早くみんなの無事な姿が見たいと待ち焦がれるのに、いっこうに誰も戻って来ない。どころか、なんだかまた争っているような物音が聞こえて来た。



「どうしたんだ、誰か見て来て!」

「はい!」



 騎士はさっきより早く戻って来て、今度は青ざめていた。



「リオンさま、一大事です。ソマンドの撤退を見極めた途端、傭兵が裏切りました」

「なんだって!!」

「最初から枢機卿に含まれていたようです。遊撃隊の騎士らを倒し、閣下率いる本隊を挟撃しています」

「そんな。折角協力して外敵を払ったのに」



 甘かった……傭兵を借りなければ戦力不足だったとはいえ、まさか時を置かずにこちらを攻撃して来るなんて。



「リオンさま、どうなさいます。閣下の伝令は、すぐに王都へ引き返すよう、伝言を運んで来ています」

「皆を見捨てて逃げるなんて出来るか。僕も出る。残っている者皆、ついて来てくれ!」

「はいっ!」



「もしかしたら、ジークはこれを見越して、もしもの時、と言ったのかも知れないな」



 慌ただしく装備を整える中でゼクスが唇を噛んで言う。



「ゼクスはここに残って欲しい。危険だから」

「ばか言うな、危険だから来たんじゃないか。おまえがあいつを助けに行くなら、俺は危険からおまえを護るだけだ。ジークの頼みはおまえを王都に連れ帰る事だったのかも知れないけど、おまえは止まらないんだろ?」

「もちろん。それに、ここでジークを失ったらもうおしまいだよ。そういうこと、わかってないんだから!」



 なんでも、自分一人が危険を引き受ければ済むと思ってて腹が立つ。私だけでなくみんながジークを必要としてるんだから。顔を見て文句を言わなきゃ済まされないよ……絶対、無事な顔を見るんだから。



 デュカリバーを下げて馬を飛ばした。残っていた二十騎ほどの騎士とゼクスが私を囲んでいる。

 剣戟の音、怒声、悲鳴が近づいて来た。怖いけれど、怖がっている暇はない。



「ジーク! どこ?!」

「王太子だぞ、討ち取れ!」



 傭兵たちの一部がこっちに向かって来る。

 ああ、どうして争わなければならないんだろう。傭兵と言っても殆どは同じレイアークの民だというのに。彼らは枢機卿に騙されている。金銭が目的ではあるだろうけれど、枢機卿が王家を貶めている事も彼らが私たちの敵になる大きな一因なのだ。



「リオンさま、下がってください!」

「ここまで来て下がってどうする。突っ込む!」

「大丈夫か、リオン!」

「平気!」



 血の臭い。振るわれる剣の煌めき。本当は気を失いそうなくらい怖い。でも、私はこの国を護るとリオンに誓った。私は王子なのだから皆の為に戦わなければならない。そして、私は秘密の姫だから愛しい人の為に戦わなければならない!



 騎士たちに護られながら私は戦闘の中に馬を乗り入れる。頬の傍をなにかがかすめる。思わず目を瞑りそうになるとゼクスが手綱を引いてくれる。ゼクスだってこんなこと初めてで怖くない訳ないのに、必死で私を護って刃を防いでくれている。



「誇り高きレイアークの騎士たち、頑張れ! 傭兵たち、王家に対して弓引くとは何事か! 恥を知り剣を納めればこの場は見逃すぞ!」



 私は虚勢を張ってデュカリバーを振りかざして叫んだ。ここに来て私が出来ることは、王家は決して誰も見捨てたりはしないと示す事だけだ。

 そのとき――。



「リオン! なにをしてる!」



 大事なひとの声が耳を打った。よく通る声でリオンの名を叫びながら、群がる敵を打ち倒しつつジークが愛馬を駆って近づいてくる。銀の髪から血が滴っていて心配だけど、その姿勢は揺らいでいない。



「撤退しろと伝えたのが伝わらなかったか!」



 ああ、また怒ってる。でも、今度は私は悪くない。ここで私が逃げ出せば、王家は確実に敗北する。



「リオン、ゼクス、どうして来た?!」

「どうしてって、ここで総戦力で立ち向かわないと、どのみち破滅だよ!」

「……って姫君が仰るからさ」



 とぼそっと傍でゼクスが呟くのが聞こえた。



 私とジークが並んだことで、騎士たちは失いかけた戦意を取り戻した様子だった。私のさっきの叫びもいくぶん効いているならいいのだけど。



「リオンさまをお守りしろ!」

「閣下の為に道を作れ!」

「王太子を逃がすな!」

「騎士団長の首を取れ!」



 敵味方入り乱れてどっちへ向かえばいいのかもわからない。私が加勢を連れて来た事でこちらの方が幾分押し気味になったような気もするけれどわからない。ジークとゼクスは左右から私を護る位置に馬を寄せて来てくれる。けど、その隙間から突然、



「王太子の命を頂く!」



 という叫びと共に私目がけて剣が振り下ろされた。

 私の身体は咄嗟に、いつもの剣の稽古で身についていた動きをとった。デュカリバーで防いで、そして――。



「うああっ!」



 血を噴いて倒れる兵士。私のデュカリバーは、剣を跳ね返してそのまま兵士のからだを貫いたのだ。



「あ――」



 動揺してる場合じゃない。ここは戦場なんだから。そう思っても、初めて人を刺した感覚に私の意識は飛びそうになる。私はよろめいて、デュカリバーを手放しそうになった。



「リオン!」



 ジークが気が付いて、落馬しかけた私の身体を引き寄せる。そして私の手に大きな手を重ねて、デュカリバーを空中で拾い上げた。



「あっ!!」



 そのとき、戦場の敵も味方も、動きを止めた。



「ジーク、こ、これって」

「……」



「聖剣が……」

「そうだ、おふたりは国難を退けたぞ」

「伝説の通りじゃないか」



 私とジークの重なり合った手の中で、デュカリバーは不思議な光を放っていた。眩しくはないのだけれど、それは戦場の隅々にまで届くような……。



「伝説の聖王」



 という囁きが、戦闘音の代わりに盆地を埋めていった。



―――



 傭兵の半数は戦意を失って投降し、残りの半数は数的に勝てないと悟って逃げて行った。

 戦闘の終わった戦場で、私はジークと一緒に負傷者を見舞って回った。



「聖王さま」



 そう呼ばれる度に私は曖昧に笑って誤魔化した。

 もしも聖王だなんて事があるとしたら、私でなくジークに決まっている。だけど王太子は今の所ジークではなく私だ。もしも聖王だなんて事があるとしたら、自分ではなく私だとジークは言うに決まっている。



 けど……そもそも聖王だなんていう程の事をしていない。今回のソマンドの侵攻は、国難ではあったけれども歴史に残るほどの苦汁をなめたという訳ではない。建国王から伝わる聖剣が歴史上初めての奇跡を起こすような凄いことをしたとは思えない、と私もジークも思っている。少ししか話していないけれど、私と同じように思っているのは表情を見ていればわかる。



 しかし、聖剣の奇跡がなかったら、勝っていたかも知れなくても死傷者は倍以上になっていただろう。それを思うと、いえ聖王ではありません、とは言えない。投降して来た傭兵は皆レイアークの者で、聖王が間違う訳がないから枢機卿が間違っていたのだ、と解釈している。それを、いえ違いますと訂正したら失望され元に戻るだけだ。



「なんでそんな複雑そうな顔してるんだよ。ひとまず良い事の方が多いだろ」



 負傷した腕を手当てされたゼクスが明るい顔で言う。ソマンドを退け枢機卿の罠も退けた。国が滅ぶかも知れなかった事を考えれば万々歳なんだろう。でも、起こった事を考えれば最小限だったとは言え、死傷者は出てしまった。ほんとに聖王なら、被害なんか出なかったんじゃないか、なんて思ってしまう。



「そうですね。枢機卿が本格的に宣戦布告して来たのは、ソマンドとの戦闘で疲弊した騎士団と王太子をここで全滅させ、一気に王宮を制覇する計算だったのでしょう。そして、リオンさまがゼクスさまと来て下さらなかったら、その計算は成っていたかも知れません。突然の裏切りに、戦勝の喜びに冷水を浴びせられて騎士たちは戦意を喪失しかけていましたから。どうして来たんだなど言ってしまいすみません。感謝しています」

「謝らないで。僕たちを心配して言ってくれた言葉だってわかっているから」

「リオンさま。ご立派な態度でした。あなたの勇気を聖剣は認めたのかも知れません」

「そ、そんな大したことはしてないよ。ただ、夢中で」

「……早く王都に戻らなくては。ここで敗北した枢機卿は、あとがないと思い、残った手勢で一気にしかけて来るかも知れません……」



 そう言いながらも、ジークの足元がふらついた。



「ジーク?!」

「閣下、閣下はまだ傷の手当てを……」



 エリスが駆け寄って来たけれど、ジークは私の方に倒れ込んで来た。思わず背中に回した手にべっとりと血がついて、私は悲鳴を上げた。



「ジーク! しっかりして!」



 私は大して怪我をしていなかったし、ジークが平気だと言うので、血を流しているのを見たのに大丈夫だと思い込んでいた。ジークが傷が辛いとか自分で言う筈ないのに私の馬鹿!



「後頭部に裂傷が。でも深くはなさそうです。早く馬車へ」



 エリスが私より冷静に対処してくれた。そのエリスは頬に白布を当てていて、僅かに血が滲んでいる。顔に傷を負ってしまったのだ。胸が痛いけれど、エリスは死ぬ訳じゃないからと笑ってみせた。



「すみません、大事な時に」

「なに言ってるの、きちんと手当てして休まないと」

「いいえ、そんな暇は」

「ジーク!!」



 と、今度は私が怒った。



「いっつもいっつも自分が我慢することしか考えてないでしょ! この戦いだってジークがいなかったら戦いにすらなってなかった。これからも頑張ってもらわなきゃいけないんだから、身体を大事にしないと駄目でしょう!」

「身体を……大事に」



 何故かジークはびっくりした顔をしている。何も変な事言ってないのに。



「そんなこと……考えたこともなかったな」



 あっそう、やっぱりね! でもこれからは私が付いてて、大事にさせるんだから。ジークの「平気です」も絶対信用しない。



「とにかく、応急処置を受けて王都に着くまで馬車で休まれて下さい。リオンさまもご一緒に」

「え、僕? いや、僕は平気」

「なに言ってるんだ、あんな無茶しやがった癖に」



 とゼクスが口を出す。



「だって大した怪我もしてないのに」

「いいから休んどけ。帰ったらまた色々あるかも知れないだろ」

「そうです。部隊のとりまとめはわたくしが致しますから、おふたりは休まれて下さい」

「俺がエリスを手伝うから、大丈夫だ」



 という感じでエリスとゼクスに説き伏せられて、私は馬車の中に頭に包帯を巻いて横になったジークの隣に座る事になった。

 なんだかちょっと、ジュードに王宮まで送ってもらった時の事を思い出してしまう。そんなに昔でもないのに、随分あの時と私は変わったなあと自分で思う。
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