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第一部
3・真夜中の出来事
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慌てて服装を整えて出て行くと、ゼクスは何故か憂い顔。
「ど、どうしたの? 誰かに見つかったら大変だよ?」
「……おまえさ、なんかおかしな事なかった?」
……大ありですけど、何でゼクスが知ってるの??
「おまえが多分レイアークの生まれだっていう事は、おまえの髪の色で分かってた。でも、おまえはこういう話嫌がるから、今まであまり詳しく話した事はなかった」
いきなり核心に触れて来る。こんな所で王子さまと小間使いが密会……なんて、誰かに見つかったら、もう会えなくなってしまうかも知れない。だから時間がないんだ。
「おまえの周囲は、ただの噂話で、おまえの本当の親は、レイアークの弱小貴族だろう、なんて言ってるらしいが、そんな筈はない。うちの国では、ほんの上層部しか知らない話だけど……銀の髪の子どもは、レイアークの王族か、せいぜいそれに連なる位の高い貴族にしか生まれないそうだ。それに、その色は神の祝福の証だと言われていて、不義の子に表れる事もない筈だ」
「ええー……」
「? なんだその嫌そうな顔は」
やっぱり、あの騎士さまの話は嘘ではなさそうだ、と思うと頭が痛くなる。
「まあいい。俺は……おまえを小間使いよりもっと上の立場に引き上げてやる事も出来た。でも、そうすると、レイアークの事情に詳しい人間の目に留まる可能性が高くなる。そうなると、場合によっては、そいつがおまえを利用しようとして、おまえは良からぬ企みに巻き込まれる事になるかも知れない。おまえは今の暮らしで充分満足だっていつも言ってたし、おまえが城の色んな人間の目に触れて有名になっちまうと、今みたいにこっそり会う時間を作るのも難しくなると思って、俺は……。その、こんな大事な話を今まで黙っていてすまん。おまえは何も知らない方が安全だと思って……」
「いいよ、謝らないで。だって、私の安全の為にそうしてくれたんでしょ?」
「まあそうだけど……」
「それで、何故それをいま?」
次に会える時の約束はあったので、その時でも良かった筈なのに、何を焦ってこんな時にこんな所で?
「あのさ、レイアークの騎士が、こっそり潜入して動いてる、って情報が入ったんだ。レイアークとは、国境沿いにエルヴァン山脈があって、貿易とか活発な交流はあんまりないけど、友好国だ。でも最近、レイアークの国内情勢は色々ときな臭いらしい。友好国なのに、正式な令状もなしに、騎士が潜入してるって、おかしいだろ? うちの国へ何か仕掛けるつもりじゃないか、って言われてるけど……俺は、もしかして、おまえを連れ戻しに来たんじゃないかって心配になって」
はい、その通りです。
私はあの怪しい騎士の事を全部話そうと思った。
でもその時、
「そこにいるのは誰だ?」
遠くから聞こえる声。
「まずいよ、ゼクス。早く帰って。それと、ありがと。とりあえず、ゼクスの心配は当たってる、って言っとくね。でも私、絶対ここから離れないから!」
「そうか……分かった、用心しろよ。絶対一人になるな。早く奴を見つけ出して捕まえるから。またな!」
そう言ってゼクスは走り去る。
ゼクスの影が建物の向こうに消えるのと同時に、声をかけた人物がやって来る。同じ厨房で働く男だ。
「なんだ、リエラか。こんな時間に、逢引きか? そうだなあ、もうおまえも成人になるんだもんなあ」
二つ年上のこの男は、子どもの頃は私を苛めていたけど、最近はあまり接する機会もない。背ばっかり高くって痩せて目つきの悪い男だ。
「こうやって月の光の下で見ると、おまえの髪ってきれいだよな。なあ、俺とおまえが結婚したら、こんな髪の色の子どもが出来るかな?」
「はあ? 何言ってんの? どうでもいいでしょ」
「……どうでもよくねーよ。おまえももう成人になるんだしよ、その前に経験しとくのも悪くないと思うぜ?」
「何を?」
「何を……って鈍いねえ。ガキの頃は二つ年下の女に喧嘩で負けて悔しかったけど、もう俺の方が流石に力は強いと思うぜ?」
「なんなの、もう! そこどいてよ、私もう寝る!」
苛々して男の横を通ろうとしたら、男はがしっと私の腕を掴んだ。
「離してよ! まだ何か用?」
「そっちこそ、まだわかんねーのかよ? 折角の機会だから俺が頂いてあげます、って言ってんだよ!」
腕を振りきろうとしたけど、男はにやつきながら顔を近づけ、私を草むらに押し倒す。
「ちょ、ちょっと! 冗談やめてよ、人を呼ぶわよ!」
「誰がこんな時間に気が付くかよ。俺はたまたま遅番で片づけして居残ってただけだ。もう誰も通らねーよ」
う、うそでしょ……。
でも確かに、大人の男に組み伏せられて、私は身動きが取れない。子どもの頃は投げ飛ばしてやったのに!
「折角優しく口説いてやろうと思ったのに、生意気な態度とるおまえが悪いんだからな」
「いや!! やめて、誰か来て!!」
「は、お呼びでございますか」
…………。
姿は見えないけど、私の後ろで男の声がする。
「その方は、アー……リエラさまの恋人ではなく、狼藉者……と認識してよろしいでしょうか?」
「あんたジークなんとか? ばかじゃないの、この状況でどこが恋人に見えるってのよ?!」
かつてないピンチに、思わず騎士さまに向かって言葉を荒げてしまう。
「え、何で騎士さまがこんな所に……?」
戸惑う男に、
「では、狼藉者という事で……」
と、騎士は剣を抜く。
「ちょ、殺したりしないでよ! あとが面倒に……」
杞憂だった。気合の声と共に騎士は剣の束で男の鳩尾を打ち、男は声も上げずに草むらに倒れてしまった。
「アークリエラさま、やはりここは危のうございます。わたくしがお守りしますから、どうか一緒に……」
「っていうか、見てたんなら、さっさと助けなさいよ!」
そう言いつつ、ふと、彼はゼクスの事も見てたんだろうか、と気になったけれど、こちらから話題にはしたくない。
「いえその、わたくしは恋愛ごとには全く疎いもので……いくら下働きの男と言えど、もし王女殿下が心から愛されているのならば、逢引きを阻止するのも申し訳ないものかと思い……。勿論、あの、その、清らかでいて下さらなければならないとは思いますが」
心から愛するどころか、名前もよく覚えてないんだけど。どういう目で見たらあの様子が、心から愛し合ってるように見えるというのだ。
「……また見かけたら、即通報しようと思ってましたけど、まあ助けて貰ったから今はよしておきます。でも私を連れて行くのは諦めて、さっさと国に帰って下さい。潜入してるの、もうばれてますし?」
「そうでしたか……教えて頂きありがとうございます。私は剣には覚えがありますが、潜入などは不得手で……。一応この国の人間に見えるようにしていたつもりでしたが……まずいな」
なら、何でもっと適任者を寄越さなかったんだろう。そんなにレイアークは人材が不足しているのだろうか。
騎士さまは私に、
「あの、ならば尚更、今すぐ一緒に来て頂ければ、これ以上波風は立たず国へ帰れるのですが……」
なんて言う。
「だから、冗談じゃない、って言ってますでしょ?! 私は貧しくても女でいたいんです。暗殺されるかも知れないような危険な場所で、生涯男として暮らすなんて真っ平です!」
「しかし、貴女さまは我が国にとって必要な方なのです! 治世が落ち着けば、いつか女性に戻れる日も来るかも知れません! どうか……」
「レイアークがどうなろうと、私には関係ない。私を捨てた国、私を捨てた親。そんなものの為に、なぜ私の人生を犠牲にしないといけないのですか?!」
「そ、それは違います! 捨てたのではなく……」
「もういいです! 今度見かけたら通報しますからね!」
……後から思えば、この時彼は、私を力づくで連れ去る事も出来た筈だった。何しろ、大の男を一撃で気絶させる騎士なのだから。でも、彼は私の意思を尊重してくれた。そういう事を、私はもっと考えなければいけなかったのに、この頃の私は、自分とゼクスの事しか考えていなかった。
「ど、どうしたの? 誰かに見つかったら大変だよ?」
「……おまえさ、なんかおかしな事なかった?」
……大ありですけど、何でゼクスが知ってるの??
「おまえが多分レイアークの生まれだっていう事は、おまえの髪の色で分かってた。でも、おまえはこういう話嫌がるから、今まであまり詳しく話した事はなかった」
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「おまえの周囲は、ただの噂話で、おまえの本当の親は、レイアークの弱小貴族だろう、なんて言ってるらしいが、そんな筈はない。うちの国では、ほんの上層部しか知らない話だけど……銀の髪の子どもは、レイアークの王族か、せいぜいそれに連なる位の高い貴族にしか生まれないそうだ。それに、その色は神の祝福の証だと言われていて、不義の子に表れる事もない筈だ」
「ええー……」
「? なんだその嫌そうな顔は」
やっぱり、あの騎士さまの話は嘘ではなさそうだ、と思うと頭が痛くなる。
「まあいい。俺は……おまえを小間使いよりもっと上の立場に引き上げてやる事も出来た。でも、そうすると、レイアークの事情に詳しい人間の目に留まる可能性が高くなる。そうなると、場合によっては、そいつがおまえを利用しようとして、おまえは良からぬ企みに巻き込まれる事になるかも知れない。おまえは今の暮らしで充分満足だっていつも言ってたし、おまえが城の色んな人間の目に触れて有名になっちまうと、今みたいにこっそり会う時間を作るのも難しくなると思って、俺は……。その、こんな大事な話を今まで黙っていてすまん。おまえは何も知らない方が安全だと思って……」
「いいよ、謝らないで。だって、私の安全の為にそうしてくれたんでしょ?」
「まあそうだけど……」
「それで、何故それをいま?」
次に会える時の約束はあったので、その時でも良かった筈なのに、何を焦ってこんな時にこんな所で?
「あのさ、レイアークの騎士が、こっそり潜入して動いてる、って情報が入ったんだ。レイアークとは、国境沿いにエルヴァン山脈があって、貿易とか活発な交流はあんまりないけど、友好国だ。でも最近、レイアークの国内情勢は色々ときな臭いらしい。友好国なのに、正式な令状もなしに、騎士が潜入してるって、おかしいだろ? うちの国へ何か仕掛けるつもりじゃないか、って言われてるけど……俺は、もしかして、おまえを連れ戻しに来たんじゃないかって心配になって」
はい、その通りです。
私はあの怪しい騎士の事を全部話そうと思った。
でもその時、
「そこにいるのは誰だ?」
遠くから聞こえる声。
「まずいよ、ゼクス。早く帰って。それと、ありがと。とりあえず、ゼクスの心配は当たってる、って言っとくね。でも私、絶対ここから離れないから!」
「そうか……分かった、用心しろよ。絶対一人になるな。早く奴を見つけ出して捕まえるから。またな!」
そう言ってゼクスは走り去る。
ゼクスの影が建物の向こうに消えるのと同時に、声をかけた人物がやって来る。同じ厨房で働く男だ。
「なんだ、リエラか。こんな時間に、逢引きか? そうだなあ、もうおまえも成人になるんだもんなあ」
二つ年上のこの男は、子どもの頃は私を苛めていたけど、最近はあまり接する機会もない。背ばっかり高くって痩せて目つきの悪い男だ。
「こうやって月の光の下で見ると、おまえの髪ってきれいだよな。なあ、俺とおまえが結婚したら、こんな髪の色の子どもが出来るかな?」
「はあ? 何言ってんの? どうでもいいでしょ」
「……どうでもよくねーよ。おまえももう成人になるんだしよ、その前に経験しとくのも悪くないと思うぜ?」
「何を?」
「何を……って鈍いねえ。ガキの頃は二つ年下の女に喧嘩で負けて悔しかったけど、もう俺の方が流石に力は強いと思うぜ?」
「なんなの、もう! そこどいてよ、私もう寝る!」
苛々して男の横を通ろうとしたら、男はがしっと私の腕を掴んだ。
「離してよ! まだ何か用?」
「そっちこそ、まだわかんねーのかよ? 折角の機会だから俺が頂いてあげます、って言ってんだよ!」
腕を振りきろうとしたけど、男はにやつきながら顔を近づけ、私を草むらに押し倒す。
「ちょ、ちょっと! 冗談やめてよ、人を呼ぶわよ!」
「誰がこんな時間に気が付くかよ。俺はたまたま遅番で片づけして居残ってただけだ。もう誰も通らねーよ」
う、うそでしょ……。
でも確かに、大人の男に組み伏せられて、私は身動きが取れない。子どもの頃は投げ飛ばしてやったのに!
「折角優しく口説いてやろうと思ったのに、生意気な態度とるおまえが悪いんだからな」
「いや!! やめて、誰か来て!!」
「は、お呼びでございますか」
…………。
姿は見えないけど、私の後ろで男の声がする。
「その方は、アー……リエラさまの恋人ではなく、狼藉者……と認識してよろしいでしょうか?」
「あんたジークなんとか? ばかじゃないの、この状況でどこが恋人に見えるってのよ?!」
かつてないピンチに、思わず騎士さまに向かって言葉を荒げてしまう。
「え、何で騎士さまがこんな所に……?」
戸惑う男に、
「では、狼藉者という事で……」
と、騎士は剣を抜く。
「ちょ、殺したりしないでよ! あとが面倒に……」
杞憂だった。気合の声と共に騎士は剣の束で男の鳩尾を打ち、男は声も上げずに草むらに倒れてしまった。
「アークリエラさま、やはりここは危のうございます。わたくしがお守りしますから、どうか一緒に……」
「っていうか、見てたんなら、さっさと助けなさいよ!」
そう言いつつ、ふと、彼はゼクスの事も見てたんだろうか、と気になったけれど、こちらから話題にはしたくない。
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「……また見かけたら、即通報しようと思ってましたけど、まあ助けて貰ったから今はよしておきます。でも私を連れて行くのは諦めて、さっさと国に帰って下さい。潜入してるの、もうばれてますし?」
「そうでしたか……教えて頂きありがとうございます。私は剣には覚えがありますが、潜入などは不得手で……。一応この国の人間に見えるようにしていたつもりでしたが……まずいな」
なら、何でもっと適任者を寄越さなかったんだろう。そんなにレイアークは人材が不足しているのだろうか。
騎士さまは私に、
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なんて言う。
「だから、冗談じゃない、って言ってますでしょ?! 私は貧しくても女でいたいんです。暗殺されるかも知れないような危険な場所で、生涯男として暮らすなんて真っ平です!」
「しかし、貴女さまは我が国にとって必要な方なのです! 治世が落ち着けば、いつか女性に戻れる日も来るかも知れません! どうか……」
「レイアークがどうなろうと、私には関係ない。私を捨てた国、私を捨てた親。そんなものの為に、なぜ私の人生を犠牲にしないといけないのですか?!」
「そ、それは違います! 捨てたのではなく……」
「もういいです! 今度見かけたら通報しますからね!」
……後から思えば、この時彼は、私を力づくで連れ去る事も出来た筈だった。何しろ、大の男を一撃で気絶させる騎士なのだから。でも、彼は私の意思を尊重してくれた。そういう事を、私はもっと考えなければいけなかったのに、この頃の私は、自分とゼクスの事しか考えていなかった。
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