副会長様の秘め事

紅音

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食欲と、

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「……あなたの番ですって?」

「ああそうだ。」

「……あなたも少しくらい、″飲めない″苦しみというものを知った方がよいのでは?

幸い、あなたは半吸血鬼ダンピールなのですから、ヒトの食事でも腹は満たされるでしょう?」

「チッ。元気になったと思ったらすぐこれか。

てめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞ。」

乱雑にワイシャツのボタンを外され、真っ白な肩や鎖骨がむき出しになる。

蘭生は間髪入れずに雫の首に牙を立てた。

チクリとした痛みとともに、かっ、と一瞬全身が熱くなり、体の力が抜けていく。

ゴク、ゴクと蘭生の喉が上下し、やがて、満足したのかゆっくりと離れていく。

「……んっ、ちょっ、と……!!」

「はっ、顔真っ赤。久々に吸われて感じちまったか?」

「う、うるさいっ!これは、不可抗力です…!

…用は済みましたので、…もう帰ります。」

ムッとしながら雫は立ち上がり、身だしなみを整えると、荷物を持ってそさくさと部屋を出ていこうとした。

「そうかそうか。……ああそうだ。雫。」

「何ですか。」

「……今回のアレはただの事故ってことで見逃してやる。


だが、………次俺以外の男にキスでもされてみろ。

ぶち犯すからな。」


その口ぶりは、おふざけでも、冗談でもなく、本気だった。

「……次なんて、あるわけ無いでしょう。私を何だと思っているんですか?」

「あ"?今のてめぇはただのクソビッ」


「死にたいんですか?」

「…………悪かった。……また明日な。」

「はい、また明日。」

軽く頭を下げてから蘭生の部屋を出た。

雫の部屋は、蘭生の部屋のすぐ真横にあるのだが、……自分の部屋の扉を前にして、雫は固まった。


「………なぜ、あなたがここに?」

それはポツンと、雫の部屋の前に佇んでいたのだった。
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