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来る転校生
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理事長室を出て、雫は真っ先に生徒会室へと向かった。
ロックを解除するため、扉に設置された機械にカードをかざすと、ピッ、という音が鳴り、生徒会室の扉が開いた。
「…おや、3人ともいらしたんですか。」
生徒会室には、よく知る顔が三つ。
おかしい、本来ならまだ授業中なはずだが。
「あ、雫ちゃんおかえり~」
「「おかえりー!!」」
「っと。光、輝、二人とも、急に飛び付かないでください。びっくりするじゃありませんか。
それと晴喜先輩も、ちゃん付けはやめて下さいと、何度も言っていますよね。」
「えぇー、いいじゃん~。」
「「そんなことよりしーちゃん!」」
「言ったそばから…。…もう、…なんですか。」
ずいっと顔を近づけてくる双子に、小さくのけぞる。
「「転校生、どうだった!!?」」
「……………、どう、と言われましても。」
「そのカンジ、あんまよくなかったんでしょ~」
雫の表情を見て、にぃと笑う彼は、この学園の二年生であり生徒会会計でもある御山 晴喜先輩だ。
そして、いまだに雫の腰から離れないのが一年生で庶務の双子、七海 光と輝。
「…まあ、…さすがはこんな時期に転校して来るだけあるというか、これから面倒くさくなるだろうなとは思いましたけど。」
そう、今は入学式を終え、春もそろそろ過ぎるかといった5月になったばかりなのである。
まだ高校に入学したばかりの1年生が、それも自分の叔父が理事長を務めるこの御咲学園に転校してきたのだ。
何かあると思ってはいたが…。
モサモサしたマリモ頭の瓶底眼鏡をかけた転校生は、雫の唇を奪った挙句、なんの断りもなく呼び捨てにした。
プライドがどうとか以前に、自分はこうして当たり前、自分のしたことは全て受け入れてもらえると思っていそうなあの態度が心底気に入らなかった。
「なるほどねぇ。うちの雫ちゃんを怒らせちゃったかぁ。」
「うちのって、…はぁ。そんなことより、3人ともどうして生徒会室にいるんですか。」
「「それはねー」」
「「しーちゃんが心配だったから!」」
「心配していたのなら、私の代わりに案内役をしてくれてもよかったのでは…?」
「「ええーやだやだ。だって僕達りじちょー室がどこか知らないもん。」」
そう堂々と胸を張って答える光と輝に、雫は再度ため息をついた。
ロックを解除するため、扉に設置された機械にカードをかざすと、ピッ、という音が鳴り、生徒会室の扉が開いた。
「…おや、3人ともいらしたんですか。」
生徒会室には、よく知る顔が三つ。
おかしい、本来ならまだ授業中なはずだが。
「あ、雫ちゃんおかえり~」
「「おかえりー!!」」
「っと。光、輝、二人とも、急に飛び付かないでください。びっくりするじゃありませんか。
それと晴喜先輩も、ちゃん付けはやめて下さいと、何度も言っていますよね。」
「えぇー、いいじゃん~。」
「「そんなことよりしーちゃん!」」
「言ったそばから…。…もう、…なんですか。」
ずいっと顔を近づけてくる双子に、小さくのけぞる。
「「転校生、どうだった!!?」」
「……………、どう、と言われましても。」
「そのカンジ、あんまよくなかったんでしょ~」
雫の表情を見て、にぃと笑う彼は、この学園の二年生であり生徒会会計でもある御山 晴喜先輩だ。
そして、いまだに雫の腰から離れないのが一年生で庶務の双子、七海 光と輝。
「…まあ、…さすがはこんな時期に転校して来るだけあるというか、これから面倒くさくなるだろうなとは思いましたけど。」
そう、今は入学式を終え、春もそろそろ過ぎるかといった5月になったばかりなのである。
まだ高校に入学したばかりの1年生が、それも自分の叔父が理事長を務めるこの御咲学園に転校してきたのだ。
何かあると思ってはいたが…。
モサモサしたマリモ頭の瓶底眼鏡をかけた転校生は、雫の唇を奪った挙句、なんの断りもなく呼び捨てにした。
プライドがどうとか以前に、自分はこうして当たり前、自分のしたことは全て受け入れてもらえると思っていそうなあの態度が心底気に入らなかった。
「なるほどねぇ。うちの雫ちゃんを怒らせちゃったかぁ。」
「うちのって、…はぁ。そんなことより、3人ともどうして生徒会室にいるんですか。」
「「それはねー」」
「「しーちゃんが心配だったから!」」
「心配していたのなら、私の代わりに案内役をしてくれてもよかったのでは…?」
「「ええーやだやだ。だって僕達りじちょー室がどこか知らないもん。」」
そう堂々と胸を張って答える光と輝に、雫は再度ため息をついた。
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