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6.出立(第一部 完結)

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「さて、アルの服も買えたことだし、行きますかー!」

ミリアさんに、びっくりするほどたくさんの服を買って貰った後、僕等は人気のない路地裏にいた。

「そうね。……ていうことで。レオン、お願い。」

「はあ…。まったく、ミリアは人使いが荒いな。お前だって使えるだろう。」

「だって、は魔力消費が凄いんだもの。そんなの使ったら一瞬でへとへとよ。」

「それを今お前は他人にやらせようとしてるんだぞ。」

「ファルコン、貴方は端っこね。
さぁ、アル。私の手をしっかり握っててね。絶対離しちゃダメよ?」

「え?あ、はい」

ミリアさんに握られた手をしっかりと握り返し、僕はこくりと頷く。―と、反対からもぎゅっと手を握られ、見上げると、少し不満そうな顔をしたレオンさんがいた。

「俺の手だって、絶対離すんじゃないぞ。」

握られた手に少し力がこもって、ただでさえカッコいい顔が眩しい笑顔で僕にそんなことを告げるから恥ずかしくなる。

同じ男同士なのに、レオンさんだとなぜか意識してしまってダメだ。



「ミリア、あとで魔力回復薬をくれ。さすがにしんどい。」

「分かったわ。じゃあ、アル。私が良いよって言うまで目を瞑っててね。」


頷き、言われた通り目を瞑る。

すぐ横で、レオンさんが何かを唱える声が聞こえた。

途端、感じたことのない浮遊感に襲われる、が、それも一瞬で終わった。

「アル、もう目を開けていいわよ。」

ミリアさんの言葉に、ゆっくりと目を開く。


「!綺麗……。」

先程の路地裏のから一遍して、目の前には、青くて大きい海が広がっている。

海なんて、小学生の頃以来だ。


「うっ…、ミリア、回復薬…」

「はいはい。どうぞ。」

真っ青な顔をしているレオンさんにミリアさんは小瓶を投げた。

レオンさんはそれをしっかりとキャッチして、ごくごくと、中身の液体を飲み干していく。






「ふぅ。…ここから旅を始めよう」
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