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第二章 自分の居場所を作りたい!
セクシーなおしり
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「魔力8か……魔力8じゃな……いくらレベルが上がってても、そこまで増えてなさそうだしな……」
アレンはしゃがみ込むと、ぶつぶつ言いながら私を見つめる。
「……なに?」
少し怖くなってミルフェ先輩にしがみつくと、ミルフェ先輩はよしよし、と私を撫でてくれた。
ちなみにミルフェ先輩の服は、デ●ルマンのように体毛がプライベートゾーンを覆っている。
コモンドールとかのモップ犬みたいに、腰から下は、上の方から伸びた毛がふさっと広がって、ボディラインに沿ったドレスとか、タヒチアンダンスの腰みのっぽい。
服っていうか、毛だな。
山羊の姿の時は長毛種じゃないのに不思議。
「よし、平竈はより魔力のいらない直火タイプのものにしよう」
「危なくないか?」
「炎そのものの魔力が溜まったら消えるものにすればいいだろ」
ロイとアレンの会話がよくわからなくて首を傾げる。
炎そのものにも魔力があるのか。
それって火力発電みたいな?
「それとパムを潰す道具な。作ってやるよ」
「ほんと? わぁい!」
力だけはあるからね。
道具さえあれば、潰すのはそんなに苦にならないと思うんだ。
「あ。ついでに、ろったをつぶせるどうぐも、つくってくれたら、うれしい!」
ムシュトみたいにペースト状にした食べ物があるんだから、そのための道具もあるかもしれないと思ったのに、またアレンをきょとりとさせてしまった。
「ロッタを潰す……?」
「ムシュトみたくしたいの」
ムシュトそのものも機会があったら作ってみたいけどね。
「お前、よくそんなことを思い付くな。よっぽど食い意地が張ってるのか……?」
呆れた顔をされてしまったけど、芋を潰すのくらい普通に思いつくものじゃないの?
すでにムシュトで豆とナッツは潰してるんだしさ。
「あぁいう、潰したり練ったりするものは大体魔力持ちの料理人が下働きの時にやるもんだ。庶民でも手作業で真似たりはするらしいが、わざわざ道具を用意してというのは聞かないな」
なるほど把握。
魔力のある世界だから、あまり道具は発達してない……か、王族であるところのアレンはそういった道具を知らないのかもしれない。
「うん。道具があれば、魔力の乏しい庶民でもムシュトが食べられるようになるな」
「おぉ。むしゅとは、こうきゅうりょうりか」
「庶民の料理にも似たようなものはあるけどな。ムシュトは滑らかさを競うんだ」
「ほー」
感心していると、事態が解決したからか、ロイが深い溜息を吐いた。
「アレン、相手が子供だからって侮っているから変態呼ばわりされるんだ。チーロは案外賢いぞ?」
「むー。あんがいって、どういうひょうかなんですかねー?」
唇を尖らせる私にアレンは手を伸ばして、片手で両頬を掴んだ。
「むー! あにしゅるにょ!」
「ふはは、おもしれ―顔になってんぞ」
抗議の声を上げる私を笑うあたり、本当にガキだなこの王子さま。
「ミルフェもそろそろ戻っていいよ。ただアレンが無神経だっただけみたいだし」
「はーい」
ぼふ、っと音を立てて、ミルフェ先輩が美女から山羊に戻った。
おおおおおお、イリュージョン!
「なんで、みるふぇせんぱい、ひとがたになったの?」
変身は凄いので見られて嬉しいけど、人型も美人さんで眼福だったのに。
「山羊の姿の方が本来の姿に近いんだけど、私やチーロに何かあった時や、必要な時は人型になれるようになっているんだ」
「ふーん、こっちのほうがらくなのか」
魔獣の踊り食い(?)も、人型でやったら恐ろしいものがあるしな……。
そのあたりは山羊の姿でよかったかもしれない。
「人型を保つのにはより多くの魔力が必要らしいよ」
「へえー」
「べええええ」
そうよ、というみたいにミルフェ先輩は一声鳴くと、颯爽と戸口から出ていった。
あんな美女になるかと思うと、山羊のおしりもセクシーに見えるね。
「やれやれ。私はまた仕事に戻るけど、こんな騒ぎはもうごめんだよ?」
「ごめんね、ろい」
仕事の邪魔しちゃったな。
「いや、チーロに言ったわけじゃないよ。むしろ、服の中に手を突っ込まれたとか、勝手に連れ去られそうな時は、大きな声で助けを呼んで。今回も叫んで大正解」
「しってるひとでも、ゆだんしない!」
「そうそう。例え姿が私でも、本当に私だとは限らないから、嫌なことをされそうになったら助けを求めるんだ」
「おおおおおお……いっけんろいでも、うたがってかかる……」
他人の姿を偽装できるような魔法もあるのか。
山羊が人に化けるぐらいだもんね。
さすが異世界。
油断ならないな。
アレンはしゃがみ込むと、ぶつぶつ言いながら私を見つめる。
「……なに?」
少し怖くなってミルフェ先輩にしがみつくと、ミルフェ先輩はよしよし、と私を撫でてくれた。
ちなみにミルフェ先輩の服は、デ●ルマンのように体毛がプライベートゾーンを覆っている。
コモンドールとかのモップ犬みたいに、腰から下は、上の方から伸びた毛がふさっと広がって、ボディラインに沿ったドレスとか、タヒチアンダンスの腰みのっぽい。
服っていうか、毛だな。
山羊の姿の時は長毛種じゃないのに不思議。
「よし、平竈はより魔力のいらない直火タイプのものにしよう」
「危なくないか?」
「炎そのものの魔力が溜まったら消えるものにすればいいだろ」
ロイとアレンの会話がよくわからなくて首を傾げる。
炎そのものにも魔力があるのか。
それって火力発電みたいな?
「それとパムを潰す道具な。作ってやるよ」
「ほんと? わぁい!」
力だけはあるからね。
道具さえあれば、潰すのはそんなに苦にならないと思うんだ。
「あ。ついでに、ろったをつぶせるどうぐも、つくってくれたら、うれしい!」
ムシュトみたいにペースト状にした食べ物があるんだから、そのための道具もあるかもしれないと思ったのに、またアレンをきょとりとさせてしまった。
「ロッタを潰す……?」
「ムシュトみたくしたいの」
ムシュトそのものも機会があったら作ってみたいけどね。
「お前、よくそんなことを思い付くな。よっぽど食い意地が張ってるのか……?」
呆れた顔をされてしまったけど、芋を潰すのくらい普通に思いつくものじゃないの?
すでにムシュトで豆とナッツは潰してるんだしさ。
「あぁいう、潰したり練ったりするものは大体魔力持ちの料理人が下働きの時にやるもんだ。庶民でも手作業で真似たりはするらしいが、わざわざ道具を用意してというのは聞かないな」
なるほど把握。
魔力のある世界だから、あまり道具は発達してない……か、王族であるところのアレンはそういった道具を知らないのかもしれない。
「うん。道具があれば、魔力の乏しい庶民でもムシュトが食べられるようになるな」
「おぉ。むしゅとは、こうきゅうりょうりか」
「庶民の料理にも似たようなものはあるけどな。ムシュトは滑らかさを競うんだ」
「ほー」
感心していると、事態が解決したからか、ロイが深い溜息を吐いた。
「アレン、相手が子供だからって侮っているから変態呼ばわりされるんだ。チーロは案外賢いぞ?」
「むー。あんがいって、どういうひょうかなんですかねー?」
唇を尖らせる私にアレンは手を伸ばして、片手で両頬を掴んだ。
「むー! あにしゅるにょ!」
「ふはは、おもしれ―顔になってんぞ」
抗議の声を上げる私を笑うあたり、本当にガキだなこの王子さま。
「ミルフェもそろそろ戻っていいよ。ただアレンが無神経だっただけみたいだし」
「はーい」
ぼふ、っと音を立てて、ミルフェ先輩が美女から山羊に戻った。
おおおおおお、イリュージョン!
「なんで、みるふぇせんぱい、ひとがたになったの?」
変身は凄いので見られて嬉しいけど、人型も美人さんで眼福だったのに。
「山羊の姿の方が本来の姿に近いんだけど、私やチーロに何かあった時や、必要な時は人型になれるようになっているんだ」
「ふーん、こっちのほうがらくなのか」
魔獣の踊り食い(?)も、人型でやったら恐ろしいものがあるしな……。
そのあたりは山羊の姿でよかったかもしれない。
「人型を保つのにはより多くの魔力が必要らしいよ」
「へえー」
「べええええ」
そうよ、というみたいにミルフェ先輩は一声鳴くと、颯爽と戸口から出ていった。
あんな美女になるかと思うと、山羊のおしりもセクシーに見えるね。
「やれやれ。私はまた仕事に戻るけど、こんな騒ぎはもうごめんだよ?」
「ごめんね、ろい」
仕事の邪魔しちゃったな。
「いや、チーロに言ったわけじゃないよ。むしろ、服の中に手を突っ込まれたとか、勝手に連れ去られそうな時は、大きな声で助けを呼んで。今回も叫んで大正解」
「しってるひとでも、ゆだんしない!」
「そうそう。例え姿が私でも、本当に私だとは限らないから、嫌なことをされそうになったら助けを求めるんだ」
「おおおおおお……いっけんろいでも、うたがってかかる……」
他人の姿を偽装できるような魔法もあるのか。
山羊が人に化けるぐらいだもんね。
さすが異世界。
油断ならないな。
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