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第三十九話

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 とん、とん、とん。階段を上がる足音が聞こえる。襖がしずしず開いた。
「ちぃにいさま。ただいま帰りましたなの」
「おかえりなさい」
 おももはにっこり笑う。少し眩暈がした。妹にあてられるなんてどうかしてる。白い肌にむしゃぶりつきたいと思ってしまう自分を恥じたい。
 どうやらおももは着物を取りに来たようだ。箪笥を開いてごそごそしていた。髪には見慣れない簪が差さっていた。母様が玄人時代に使っていたものかもしれない。素人女がするような簪ではなさそうだ。
 そういえば、父様はおももに「めかしてこい」と言っていた気がする。おめかししたからこうなっているのか。元から可憐な顔をしているのに白粉を塗り紅をひいているから、更に美しく見える。ほのかに甘い匂いをさせているのは元からかそれとも香り袋か。どちらだろう?
 それよりも、褌の中で捻れたものが痛い。おももに伸びそうになった手を戻す。駄目だ。兄妹で間違いがあったら……、いけない。早く、部屋から出て欲しい。早く。
 身体を丸めて耐える。こうしていれば、勃起おやかしていることに気付かないはずだ。
「ちぃにいさま? お腹痛いなの?」
「ぃ、いぇ。大丈夫です」
 少し不審に思われたようだが、おももは自分の着物を持って部屋から出て行った。微かに薬草の匂いが部屋に残った。あいつの匂いだ。熱が上がる。おかしくなっている。
 おかしくなっても面倒を見てくれるという約束は、守らないんだ。破られたんだ。
 褌を脱ぐ。屹立したまらの先からたらりたらりと透明な汁が垂れている。鈴口を手のひらで撫で回す。気持ち良い。濡れた指を菊座に挿す。菊座を弄りながら陰茎へのこを扱く。きもちい。
「アッ! ぁあっ、……ん……、ぁ……、……、ん」
 襖が再び開いた。だが、手を止められない。もっと刺激が欲しい。もっと、もっと。
「腹痛と聞いたんですが……」
 おももは、父様に私が腹痛で苦しんでると伝えたのかもしれない。優しい妹だと思う。それは見当違いだけど。
 恥ずかしい。恥ずかしいのに、手を止められない。父様の赤い瞳が鈍く光る。また、欲しくなってしまう。
「と、さまっ……! とと、さま……ほし……ぃ」
「……私も若くないんですから、そうすぐに勃ちませんよ。まったく」
「ひぁっ! はぁ、ンああぁっ! ぁ……! ぁあっ!」
 まらを掴まれて、扱かれ、すぐに達してしまった。精汁が肌にべたつく。でも、まだ足りない。欲しい。菊座がひくついている。
 中に、欲しい。こんなの、男がやることじゃない。恥ずかしい。でも、欲しい。腹が疼く。
 父様の指が菊座に差される。指の腹で良いところを撫でられる度に腰がへこへこ跳ねる。
「玄人明けの女のようですね。……母親似なら仕方ないか。入れますよ」
「ひぁっ、あー、ぁっ、ァッ! と、さま! ぁっ! ととさまっ!」
 脚を抱えられて、貫かれた。
 腑をごりごり上げられる圧迫感が心地良い。
 父様に口吸いしようとしたら、手で口を押さえ込まれた。息ができない。視界が滲んでくる。気持ち良い。頭がぼうっとして、気持ち良い。
「口吸いは特別な相手にするものです」
 口に指を入れられて、ぐちゃぐちゃにされる。口の中、擦られて気持ち良い。
 怖いくらいに美しく赤い瞳と視線が交わる。赤い、目。赤い。
「ゅめっ……」
「忘れるんでしょうが」
「ぃっ! ぁぐ! はぁっ……、ぁっ、あー、ぁっアッ!」
 また気をやってしまった。奥をずんずん突かれる度に、身体が震える。
 口吸いは、できない。父様はそこまで付き合ってくれない。中をめちゃくちゃに犯すけれど、口吸いはしてもらえない。
 後取りか側位ですれば良かった。女のように抱かれると、目が合ってしまう。自分がどんな顔で実の父親に抱かれているかなんて知りたくない。見られたくもない、のに。
 女のような甘い声が我慢できずに出てしまう。誰かに聞かれてるかもしれない。これでまた男色のものに戯れつかれるかもしれない。
「っ、千歳、そろそろ……っ!」
「はぁ、ぁっ……ぁ、ぉくっ、ぉく! ぁっ、ァッ! ィッ! ィグ!」
 ぎゅうっと、縋りついて、気をやった。肩が痛い。父様に噛みつかれた。父様は獣のような息を吐きながら、腰をガクガク震わせて、私の中から出ていく。あつい。
 赤い目がぬらりと光る。
「と、さま……」
「もう、これっきりにしなさい。……どうせ、忘れられないんですから」
 父様は吐き捨てるようにそう言って、部屋を出て行った。母様の声が聞こえる。……母様に、私は叱られるかな。父様を、誘ってしまっているから……。
 身体が重くて動かない。忘れられない。
 どうしようか……。






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