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第八話

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 いつものように部屋に案内される。
 「いつもいつもご贔屓にどうもどうも」と言われることすら恥ずかしい。
 ここは、女を買う町なのに、どうして私が……。
 胸の辺りが痛い。私が女なら、全て丸く収まったのか……?
「おにぃ! はやくはやく!」
「手だけですよ」
「あい!」
 いや、そもそも、手だけでもおかしな話なんだ。
 どうして私が夢夏の陰茎へのこを扱いてやらなきゃいけないんだ。
 夢夏は人懐こい犬のような笑顔を浮かべながら、褌を外した。紫色雁高のまらが目に入る。顔に似合わない。母様が見れば「上まら!と言うはずだ。
 母様は「まらにも色々種類があるやの」と言っていた。
 私は「中まら」らしい。悪くはないが特別良くもない。父様の逸物が最高だと言っていた。……惚れてるから贔屓だと思う。
 手につばきをつけてから、夢夏のまらを掴む。他人のまらなんて扱かないから、力加減や良いところがわからない。あまり強く握ると痛いだろうから、ほどほどにしてやるか。それとも強く握ってこらしめてやるか?
 いや、それだと私が「下手」なようで嫌だ。
「うぅっ、千歳、痛いぃ!」
「すみません」
 強過ぎたか。
 卵を持つぐらいに力を緩めて、上下に扱いてやる。
「ァッ、……きもちぃ……! ねぇ、口吸いしよ?」
「手だけという約束です。私に触らないでください」
「えー! 触りたいー! おれ、千歳おにぃに触りたいー!」
「駄目」
「いだぁあぁあい!」
 夢夏に触られたらおかしくなってしまうので、伸びてきた手を掴んで捻り上げた。悲痛な叫び声があがる。
 やられっぱなしの恨みを晴らす時が来たかもしれない。
 彼の帯で両手首を縛ってやった。これで手は使えない。
 ざまあみろ。
「あー! おにぃずるい!」
「お前も私にしたでしょうが」
「ヒッ、ぁーっ……あぁっ、ぃ、きもち、ぃ! 千歳、きもちい! それ、すきぃ」
 こいつに恥ずかしさは無いのか? 先走り液が手にまとわりついて、手技が捗る。
 夢夏は「気持ち良い」を連呼して、気をやった。
 私の手に白濁がまとわりつく。濃い精の匂いがする。腹がきゅっと縮こまり、乳が尖っている。気が悪くなってきた。
 手についた白濁を舌で掬い、味わう。まずい。にがい。
 何でこんなものを口に入れたんだ私は!
「っは、ぁ……千歳が……おれの精汁舐めた……」
「こんなにまずいの、いつもよく舐めますね……?」
「精汁は薬のようなもんだから、苦いと腎力がつくし、甘いと風邪をひきにくいんだ」
「はぁ……?」
 薬師の夢夏が言うから、間違いないとは思うが、いまいち信じ難い。
 母様の淫水が労咳を治したという噂話もあるくらいだが……さすがに母親の淫水は飲めない。
 さて、夢夏は勃起おやかしたままだ。
 まだ相手をしてやる必要があるか……。舐めたほうが、良いか? 夢夏はいつも私のまらを舐めるし……。
「えっ! 千歳! まっ、ぁっ! ひ……!」
 精汁は苦いが、陰茎へのこは少ししょっぱい気がする。
 口淫のやり方はよく知らないが、いつも夢夏が私にしているようにやれば良いはずだ。
 亀頭を口に含んで、鈴口を舌先でつつく。いつもより高くて甘い声が聞こえる。棹を扱きつつ、雁を舐めてやる。
「アッー! きもちぃい! 千歳、きもちぃ! もっと……、もっとして……ぁあぁ!」
「こうですか?」
「きもちぃ! ぉれ、おかしくなっちゃうぅ!」
「本当に気持ち良いんですか?」
 演技ではないかと疑うくらいに声を出して喘ぐから、嘘っぽい。
 妓楼の姉さん方がよく喘ぐのと同じくらいに喘いでいる。
 母様は逆に「本当に気持ち良い時に、声を漏らした方が男は興奮するやの」と言っていた。
 汁は出ているが……、私と比べたら少ない気がする。
 汁が出る量は人によるのか? それとも、私が下手なのか? それだと悔しい。母様に口淫の技を教えてもらーー……何で私がまらのしゃぶりかたなんぞを教わらないといけないんだ? 成らぬ堪忍するが堪忍と言うが、これは堪忍することなのか?
「千歳ッ、あ、――いっ、ク! もうっ、出るぅ!」
「んぐっ! げほっ、けほんっ……!」
 口に苦味が広がる。喉に引っかかって、思わず吐いた。鼻が痛い。目が痛い。碌なことが無い。
「ご、ごめん! 千歳おにぃ大丈夫?」
「ばか! ばかぁっ!」
 もういったい私はどうしたら良いんだ。情けなくなってきて、瞳から涙がぼたぼた落ちた。恥ずかしい。ああ恥ずかしい。顔から火が出ていそうなくらいに顔が熱い。
 床紙を取って吐き出したものを拭う。
「おにぃ、これ! これ取って!」
 そういえば手首を結んだままだった。
 夢夏の手を自由にしてやる。いたずらっぽく笑った後、私の肩を掴んで押し倒した。
「手だけって……、言ったのに……」
「だって、千歳があんまりにも綺麗だから、おれ、触りたくなっちまったんだ。あと、おれのまら美味しそうにしゃぶるんだもんっ!」
「そんな理由聞きたくない……っ、あ」
「えへへ。やっぱり乳かたくしてる。おれのまら舐めて、気が悪くなったの?」
「っ、ちが、……わないですけどっ、ヒッ! ぃ、あーーッ!」
 乳を吸われて腰が震える。褌が、汚れた。
 何処かで洗わないと。母様に気付かれないように洗わないと。
 夢夏は嬉しそうにしながら私の褌を取り去る。薄い布に白濁がこびり付いて、シミを拡げていた。
「千歳、かわいい」
「かわいくっ、ないぃ!」
「……こっち、しても良い?」
「っ、あ……!」
 おいどを撫でられて、再びまらが震える。
 漏らしたように濡れてしまっていて恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。どうしてこんなことに。手で顔を隠したらそうっと退けられた。
「顔、隠さないで。おれ、千歳の顔好き」
「顔だけ、ですか?」
「ぜんぶ! 全部好き! そういうこと言うのも好きぃ! で、こっちしても良い?」
 しても良いかって尋ねるなら、触らないで欲しい。指先がもう入ってるのに。
 全身が痺れて動けなくなる。きもちよくて、涙が勝手に出てくる。
 まらと菊座を同時に擦られて、それだけで気をやりそうになってしまう。息があがってきて、答えられない。首を縦に振る。
 夢夏はお天道様のように眩しい笑顔を見せた後、容赦なくまらを突き立ててきた。腹の中を搔き乱される。臓物を押し上げられて、頭が揺れる。
「ぉ、くっ、イッ……! あ、ああっ……ーーは、ぁ……んっ! おくっ、ぁ!」
「ん。奥もっとする」
「ひぃっ! あ、ちが、ゥ! おく、やだ! やら、やらぁ! アアッ! ひぁ、あーーは、ああ、ぃ、ゆめ、あ、ゆめぇ!」
「大丈夫大丈夫。いっぱい気持ち良くなって。おれ、千歳がれろれろになっても面倒見るから! 責任とるから! 一緒になって! 好きだよ!」
 口吸いをする。舌を絡めて、すぱすぱ吸って、頬を舐められる。恥ずかしい。顔、見られたくない。夢夏の背中に腕を回す。こうすれば、顔が見えなくなる。
 でも、肌がぴったりくっついて、更に気が悪くなってしまって、夢夏を絞めつけてしまったようだ。少し高い唸り声を出して、腰を震わせていた。奥に押し付けてくる。
 孕む訳無いのに、奥に押し付けて、孕ませようとしてくる……。
 こういうことを早くおももにしてやれば良いのに。
 そう思いつつ、私は意識を手放した。


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