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第十二話
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意識の無い男を動かすのがどれほど大変なことか。救急隊員でさえも四苦八苦していた。手間取っている間にも、血が広がっている。
――どうして気付かなかったんだろう。
藍洙は雨泽の手を握る。冷たい手だ。とても、冷たい。
手当ての邪魔になるから、と退けられる。雨涵は既に車に運ばれていた。二人を一緒に運ぶことはできそうになかった。すぐにもう一台来るから、と隊員は言う。すぐにっていつだろう。本当にすぐ来てくれないと、もう、手遅れになる。そうして何人も帰らぬ人になった。事務手続きの為に医療現場を訪問しているとそんな場面に遭遇することが多かった。
助かる者から助ける。
暗黙の了解だ。死んでる人や死にそうな人を助けるのは時間の無駄、という考え方が根底にある。この国では、それが普通。人口が多いのだから、減った方が良いという考え方だ。そうしたほうが、食糧問題や貧困問題も解決する。それが裏社会の人間なら尚更、死んだ方が良いと思われるんだろう。
鴉が悲痛な叫びをあげている。不気味だ。それがまた救急隊員達を諦めさせる原因となっているようにも思えた。
――表の病院に連絡せずに、裏の病院に連絡すれば良かったんだ。
しかし、藍洙は知らなかった。何処に連絡すれば良いか、引き継ぎされていない。せめて、会社に連絡すれば良かったのかもしれない。そうすれば、きっと、誰かが知っていたはずだ。営業部のデスクに連絡すれば、きっと。
考える前に行動していた。藍洙は仕事用の携帯電話を手に、営業部のデスクに連絡をする。三コール目できっちりと繋がった。幸いにも、部長が出てくれた。彼女は説明をする。営業先の店主が傷だらけで、血だらけになっている。見たままに説明する。部長はその思いに応えるように、彼女に指示を出してくれた。
「雨泽さん、脱がしますよ」
意識が無いので、反応は全く無い。電話を地面に置き、スピーカーで通話したままにしておいた。藍洙は雨泽の服を脱がせる。ボタンを外し、前を開いた。右腕、よりも横、胸に穴が開いている。銃創だ。軽く火傷の痕もある。これは、料理中にでも負った傷だろうか。銃創からは血があふれている。部長の指示通りに傷の周りをタオルで拭き取り、白鴉に置いてあったテープで閉じていく。縫うのはさすがにできなかった。車の通る音も、救急車のサイレンの音も聞こえない。きっと、これは、そういうことなんだろう。
藍洙の知る限りでは、彼はただの料理人だ。特殊な食材を使って料理する。それだけのことなのに、どうして裏の人間の扱いをされるのかが、彼女にはわからなかった。だから、彼女は部長に聞いたのだった。
彼は何故裏側にいるのか、と。
部長は少し迷ったようだった。言葉が詰まる。長く細い溜息が聞こえた。また息を呑む音。それからスピーカーから聞こえてきたのは「彼は――雨泽は、人間を好んで食べる男だ」に付け足すように、「彼の『食べたい』は、性的な意味ではない。本当に、食べたいんだ」と言う声。藍洙の手が震える。
それなら、先程自分に向かって「おいしーね」と言ったのは――……。
恐怖が身体中を駆け巡り、思わず吐いてしまった。どろどろになった未消化の吐瀉物が広がる。鴉が鳴く。鳴きながら、飛んできた。怖い。後ずさる。血で滑った。鴉が自分の吐瀉物を突いている。怖い。
あたしも、あんな風に、食い散らかされるの? 頭を過った恐怖が身体を硬直させた。何もできない。この人を助けて、良いのだろうか。この人を助けたら、また、誰かが食われるんじゃないか。それならいっそ、このまま――……。
「カア!」
「あ痛ッ!」
藍洙の頭を突いたのは、包帯をぐるぐる巻きにされ、地面をぴょこぴょこ跳ねる、一番大きな鴉の静だった。雨泽の元に彼女の弁当箱を届けたのも彼だった。きっと、一番心配しているのだろう。手当てを続けるように急かす意味で彼女を突いているのだ。
「痛い! 痛いってば! もう嫌!」
想像よりも大きな声が出ていたらしい。吐瀉物を突いていた鴉達が驚いて飛び去った。既に片付けられていて、吐いた跡はあまり残っていない。食い散らかっているが、地面と溶け合っていてわかりにくい。
食べられたくない。きっと、あの子も、食べられたんだ。あの人も、食べられたんだ。食べられたくない!
彼女の頭はもうそのことだけでいっぱいだった。地面に置いていた携帯電話を拾う。部長の声が聞こえる。
「これから戻ります」
そう告げて通話を終了した。
店内に置きっぱなしにしているカバンを取る。雨泽の近くには静がいた。小さく悲しそうに「カア」と鳴いている。
もうここにいる必要は無い。裏側にいたくない。早く異動願を出そう。なんなら退職届でも良い。どちらでも良いから、平穏な生活に戻りたい。裏を見たくない。やばい仕事に関わりたくない。
そんなことを考えていたからだろうか、彼女は気付いていなかったのだ。雨泽の手がぴくり、と動いたことに。
静がもう一度小さく鳴く。藍洙はその声を無視して、通り過ぎようとした。が、通り過ぎれなかった。足を掴まれ、バランスを失い、ろくに受け身も取れずに、顔面を強打した。鼻血が流れる。口も少し切れた。起き上がったところに、静が目をめがけてくちばしを下ろす。ぐちゃんっ、気味の悪い音と彼女の絶叫が静かな空気を切り裂いた。目玉を抉り取った彼は、雨泽の口の上にそれを下ろす。子に餌を与えるように、慈愛に満ちた行動に見えた。藍洙は片目を押さえながら、地面を転がっていた。激痛で何がなんだかわからない。見えなくなった右目。見える左目が捉えたものは、自分の目玉が食われる瞬間。恐怖と気味の悪さに吐いた。もう胃酸しか出なかった。黄色い胃液が地面に広く拡がっていく。にゅちゅり、と更に気味の悪い音が聞こえてきた。
「やっぱり……、姐姐は、うまいね」
「ガァ、カアァ!」
「そっか。そう。……今度は、仲良くなれそうだったのにな」
「カァグワァ」
「わかったよ。オレは、姐姐よりも静静のほうが好きだからね」
さきほどまで虫の息だったはずなのに。
雨泽が静と会話をしていた。藍洙には内容がさっぱりわからない。だが、ここにいてはいけないということだけはわかった。彼女は立とうとするが、立てなかった。片目を失った所為でバランス感覚が失われたのかはたまた恐怖で腰が抜けたのか、両方かもしれない。彼女は、動けなかった。
静の瞳がきらりと光る。雨泽は彼女の足を引っ張る。動けるようになったのか、何かが彼を動かしているのかわからないが、彼は藍洙の腹の上に乗り上げた。馬乗りにされては、彼女も動けない。涙が滝のようにあふれていく。
「あーあ、もったいない。塩味が抜けちゃうよ」
間延びしたような声で雨泽は彼女の頬を舐める。身体がビクビク痙攣している。同時に、下が湿っぽくなっているように感じた。どうやら彼女は失禁してしまったようだ。静が頭側から彼女の顔を覗き込む。愛らしい眼で彼女をジーッと見た後、残された片目にくちばしを下ろした。絶叫が響き渡る。
「オレ、お腹空いちゃったや……。もう我慢できないから、藍洙姐姐……。食べるね」
耳元で囁かれ、彼女は意識を失ったようだった。抵抗しようとしていた手がぱたりと地面に落ちる。遠くの方からサイレンが聞こえる。さきほどの救急車とは異なる音だった。裏の病院へ行けるようだ。
「カア!」
「……うん。食材が無くなっちゃったね、残念」
「カアカア?」
「気にしないで。オレね、そういうの慣れてるから。あの人達が来る前に食べとかないとね」
雨泽は笑う。琥珀色の瞳が濡れていた。頬を伝い、藍洙の顔に涙が落ちる。彼女の流した涙と混ざり合い、溶けた。
白い鴉が小さくないていた。
――どうして気付かなかったんだろう。
藍洙は雨泽の手を握る。冷たい手だ。とても、冷たい。
手当ての邪魔になるから、と退けられる。雨涵は既に車に運ばれていた。二人を一緒に運ぶことはできそうになかった。すぐにもう一台来るから、と隊員は言う。すぐにっていつだろう。本当にすぐ来てくれないと、もう、手遅れになる。そうして何人も帰らぬ人になった。事務手続きの為に医療現場を訪問しているとそんな場面に遭遇することが多かった。
助かる者から助ける。
暗黙の了解だ。死んでる人や死にそうな人を助けるのは時間の無駄、という考え方が根底にある。この国では、それが普通。人口が多いのだから、減った方が良いという考え方だ。そうしたほうが、食糧問題や貧困問題も解決する。それが裏社会の人間なら尚更、死んだ方が良いと思われるんだろう。
鴉が悲痛な叫びをあげている。不気味だ。それがまた救急隊員達を諦めさせる原因となっているようにも思えた。
――表の病院に連絡せずに、裏の病院に連絡すれば良かったんだ。
しかし、藍洙は知らなかった。何処に連絡すれば良いか、引き継ぎされていない。せめて、会社に連絡すれば良かったのかもしれない。そうすれば、きっと、誰かが知っていたはずだ。営業部のデスクに連絡すれば、きっと。
考える前に行動していた。藍洙は仕事用の携帯電話を手に、営業部のデスクに連絡をする。三コール目できっちりと繋がった。幸いにも、部長が出てくれた。彼女は説明をする。営業先の店主が傷だらけで、血だらけになっている。見たままに説明する。部長はその思いに応えるように、彼女に指示を出してくれた。
「雨泽さん、脱がしますよ」
意識が無いので、反応は全く無い。電話を地面に置き、スピーカーで通話したままにしておいた。藍洙は雨泽の服を脱がせる。ボタンを外し、前を開いた。右腕、よりも横、胸に穴が開いている。銃創だ。軽く火傷の痕もある。これは、料理中にでも負った傷だろうか。銃創からは血があふれている。部長の指示通りに傷の周りをタオルで拭き取り、白鴉に置いてあったテープで閉じていく。縫うのはさすがにできなかった。車の通る音も、救急車のサイレンの音も聞こえない。きっと、これは、そういうことなんだろう。
藍洙の知る限りでは、彼はただの料理人だ。特殊な食材を使って料理する。それだけのことなのに、どうして裏の人間の扱いをされるのかが、彼女にはわからなかった。だから、彼女は部長に聞いたのだった。
彼は何故裏側にいるのか、と。
部長は少し迷ったようだった。言葉が詰まる。長く細い溜息が聞こえた。また息を呑む音。それからスピーカーから聞こえてきたのは「彼は――雨泽は、人間を好んで食べる男だ」に付け足すように、「彼の『食べたい』は、性的な意味ではない。本当に、食べたいんだ」と言う声。藍洙の手が震える。
それなら、先程自分に向かって「おいしーね」と言ったのは――……。
恐怖が身体中を駆け巡り、思わず吐いてしまった。どろどろになった未消化の吐瀉物が広がる。鴉が鳴く。鳴きながら、飛んできた。怖い。後ずさる。血で滑った。鴉が自分の吐瀉物を突いている。怖い。
あたしも、あんな風に、食い散らかされるの? 頭を過った恐怖が身体を硬直させた。何もできない。この人を助けて、良いのだろうか。この人を助けたら、また、誰かが食われるんじゃないか。それならいっそ、このまま――……。
「カア!」
「あ痛ッ!」
藍洙の頭を突いたのは、包帯をぐるぐる巻きにされ、地面をぴょこぴょこ跳ねる、一番大きな鴉の静だった。雨泽の元に彼女の弁当箱を届けたのも彼だった。きっと、一番心配しているのだろう。手当てを続けるように急かす意味で彼女を突いているのだ。
「痛い! 痛いってば! もう嫌!」
想像よりも大きな声が出ていたらしい。吐瀉物を突いていた鴉達が驚いて飛び去った。既に片付けられていて、吐いた跡はあまり残っていない。食い散らかっているが、地面と溶け合っていてわかりにくい。
食べられたくない。きっと、あの子も、食べられたんだ。あの人も、食べられたんだ。食べられたくない!
彼女の頭はもうそのことだけでいっぱいだった。地面に置いていた携帯電話を拾う。部長の声が聞こえる。
「これから戻ります」
そう告げて通話を終了した。
店内に置きっぱなしにしているカバンを取る。雨泽の近くには静がいた。小さく悲しそうに「カア」と鳴いている。
もうここにいる必要は無い。裏側にいたくない。早く異動願を出そう。なんなら退職届でも良い。どちらでも良いから、平穏な生活に戻りたい。裏を見たくない。やばい仕事に関わりたくない。
そんなことを考えていたからだろうか、彼女は気付いていなかったのだ。雨泽の手がぴくり、と動いたことに。
静がもう一度小さく鳴く。藍洙はその声を無視して、通り過ぎようとした。が、通り過ぎれなかった。足を掴まれ、バランスを失い、ろくに受け身も取れずに、顔面を強打した。鼻血が流れる。口も少し切れた。起き上がったところに、静が目をめがけてくちばしを下ろす。ぐちゃんっ、気味の悪い音と彼女の絶叫が静かな空気を切り裂いた。目玉を抉り取った彼は、雨泽の口の上にそれを下ろす。子に餌を与えるように、慈愛に満ちた行動に見えた。藍洙は片目を押さえながら、地面を転がっていた。激痛で何がなんだかわからない。見えなくなった右目。見える左目が捉えたものは、自分の目玉が食われる瞬間。恐怖と気味の悪さに吐いた。もう胃酸しか出なかった。黄色い胃液が地面に広く拡がっていく。にゅちゅり、と更に気味の悪い音が聞こえてきた。
「やっぱり……、姐姐は、うまいね」
「ガァ、カアァ!」
「そっか。そう。……今度は、仲良くなれそうだったのにな」
「カァグワァ」
「わかったよ。オレは、姐姐よりも静静のほうが好きだからね」
さきほどまで虫の息だったはずなのに。
雨泽が静と会話をしていた。藍洙には内容がさっぱりわからない。だが、ここにいてはいけないということだけはわかった。彼女は立とうとするが、立てなかった。片目を失った所為でバランス感覚が失われたのかはたまた恐怖で腰が抜けたのか、両方かもしれない。彼女は、動けなかった。
静の瞳がきらりと光る。雨泽は彼女の足を引っ張る。動けるようになったのか、何かが彼を動かしているのかわからないが、彼は藍洙の腹の上に乗り上げた。馬乗りにされては、彼女も動けない。涙が滝のようにあふれていく。
「あーあ、もったいない。塩味が抜けちゃうよ」
間延びしたような声で雨泽は彼女の頬を舐める。身体がビクビク痙攣している。同時に、下が湿っぽくなっているように感じた。どうやら彼女は失禁してしまったようだ。静が頭側から彼女の顔を覗き込む。愛らしい眼で彼女をジーッと見た後、残された片目にくちばしを下ろした。絶叫が響き渡る。
「オレ、お腹空いちゃったや……。もう我慢できないから、藍洙姐姐……。食べるね」
耳元で囁かれ、彼女は意識を失ったようだった。抵抗しようとしていた手がぱたりと地面に落ちる。遠くの方からサイレンが聞こえる。さきほどの救急車とは異なる音だった。裏の病院へ行けるようだ。
「カア!」
「……うん。食材が無くなっちゃったね、残念」
「カアカア?」
「気にしないで。オレね、そういうの慣れてるから。あの人達が来る前に食べとかないとね」
雨泽は笑う。琥珀色の瞳が濡れていた。頬を伝い、藍洙の顔に涙が落ちる。彼女の流した涙と混ざり合い、溶けた。
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