桜に酔いし鬼噺

末千屋 コイメ

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第四十七話

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◆◇◆◇◆◇
 手と手絡めて夜を過ごした。首がヒリヒリ痛むんは汗の所為。小焼様には轡の代わりに先日客から土産で貰った肥後芋茎を噛ませてみたの。茹でて醤油で食べたいって言うてた。四目屋で売ってるって聞いたから陰茎へのこに巻き付けて使うものやと思うんやけど……小焼様は食いしん坊やの。今度は口に噛ませんと、巻き付けて使ってもらおっかな? でも、小焼様のまら、おっきいから……うちのぼぼが裂けてしまいそうやの。やめとこっと。
 涎を垂らしながら無防備に寝てる姿を見るのは何回目やろ。年よりも幼く見える寝顔に思わず笑みが零れてまう。可愛らしいの。
「小焼様なら、きっと治るの」
 だって、小焼様は鬼やもん。
 ウチは小焼様に縋りつく。汗の匂いが鼻を通っていく。あ、どないしよ……。したくなってしもた。小焼様はもう寝てるのに……。他の客も廻り終わってるし……ちょっとぐらいええかな。
 小焼様の下半身に手を伸ばして、まらを上下に扱く。少し呻いたけど起きる気配は無いの。
「小焼様、悪戯されても文句言われへんの」
 ちょっと心配になってしもた。もしかしたら寝ている間に誰かに釜を抜かれてへんかな……。ウチは唾をたっぷりつけて、小焼様の菊座に指を押し入れる。固い手応えやからそういう悪戯はされてないようやの。まらが鎌首をもたげてる。菊座を弄られるんもええんかな? 張形を突っ込んだらどうなるんやろ? って思ったけど、小焼様が男を欲しがる身体になってしもたら大変やからやめとこ。指を抜いて紙で拭う。
 まらはすっかり屹立してる。ウチは小焼様の身体を仰向けに転がして上に乗っかる。
 小焼様の顔に背を向けて、ぼぼにまらをゆっくり埋めていく。顔を見てへんからいつ起きるかわからへんくてすごくドキドキするの。窓から吹き込んだ風で鏡にかけてた布が落ちた。身体を反らせたら繋がってるとこがよく見えてお腹がきゅんきゅんしてまう。変に興奮してもうてる。
「あああぁっ!」
「一人で何してるんですか」
「あ、小焼様、いつから起きてぇ、ああんっ!」
「そりゃ菊座に指を突っ込まれたら起きますよ。……撞木しゅもくぞりですか」
 抜けそうで抜けないぎりぎりのところで、もっかい差す。やっぱり顔を見ながらした方が良かったかも。小焼様はウチの手を掴んで身体を仰け反らせたままにする。深いところに当たらへんから、もどかしくなってきた。繋がってるとこが鏡に映ってる。じゅぶじゅぶ、蜜が溢れてる。小焼様のがぐちゃぐちゃにウチを掻き乱してる。ぼぼが強い刺激を求めてひくついてるんがわかるの、恥ずかしい。
「この手だとお前の好きな奥に当たらないですね?」
「うんっ、当たらへんのぉ」
「それならどうしてこの手にしたんだか……」
 ごもっともやの。
 小焼様はウチを寝かせると、足を抱えて自分の肩の上に置く。一気に奥まで入ってきて、抜き差しを繰り返す。この手は深山みやまやの。小焼様に繋がってるとこ丸見えになってて恥ずかしい。目尻から涙が零れた。
「あっ、あっ、きもちいの」
「これだと……入ってる所がよく見えますね。こんなにしととに濡らして……すごく滾ります」
「ひゃうっ! いっそ良いのっ! もっと、もっとしてぇ!」
 なんて言うて、三番もしてもうた。もう今夜だけで五番もしてもうた。どろどろになったぼぼを拭きつつ小焼様を見る。伏し目がちになってるんは眠たいのと、ウチを噛んでしもたからやと思う。肩が疼く。肉を食い千切るような勢いではないから……まだ大丈夫やの。怖くない。本当に怖いのは、小焼様がウチを食べたいと思って噛みついてくる時。今は猫と同じで、じゃれて噛んでるようなもの。痛いんは痛いけど、この痛みには耐えられるの。小焼様がウチを好いてくれてるってことやもん。
「小焼様気にせんといて。ウチなら大丈夫やの。平気やの」
 ぎゅっと抱き締める。力が抜けていくんを感じる。あ、寝てしもたの。そのまま布団に寝かせて、ウチも隣に寝る。暑いけど、くっついてたい。腕の中に潜り込んで、顔を胸に寄せる。とくんっ、とくんっ、規則正しい鼓動が聞こえる。この音をいつまでも聞いていたいの。止まらないで欲しいの。
 ウチは稽古中に深川ちゃんがこもに包まれて運ばれていくのを見てた。他の女郎は見送りもしてあげてなかったけど、ウチは手を合わせて、なむあみだぶつって唱えてあげた。苦界から早く出られて良かったんかもしれへんの。ウチも早く苦界から出たいの。小焼様の女房になりたいの。小焼様だけに御開帳してたいの。
 小焼様の体温を感じながらウチは目を閉じる。明日は、今日よりも良くなってますように。
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