桜に酔いし鬼噺

末千屋 コイメ

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第五話

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◆◇◆◇◆◇
「おやまぁ、こりゃあ立派な金蒔絵の長櫛でありんすなぁ」
 錦姉様に小焼様からの贈り物を見せる。桜の金蒔絵が施された綺麗な長櫛。花吹雪まで綺麗に金で描かれているの。とても綺麗……。でも、ウチより錦姉様に似合いそうやの。姉様の髪は黒くて艶々してるから、こんなに立派な櫛でも似合うと思うの。
「で、どうして泣いていんす? 明日の昼にはお披露目だ。泣いてちゃいけねぇさ」
「ウチ、こんな立派な櫛を貰っても小焼様の女房になられへんもん……。昨夜だって、ウチ、姉様に教えられたこと全然できへんかったの……。ウチ、悪い子やの……」
「いいや。景一は悪くないざんしょ。良い子だから、坊ちゃまも忙しいのにわざわざ薬と櫛を持ってきてくれたのさ。今すぐには無理でも、年季が明けたら迎えに来てくれるさね」
 錦姉様はウチをぎゅうっと抱き締めてくれる。胸の谷間に埋まって、心地良い。落ち着くの。姉様は肌が柔らかくて、吸い付くような心地がする。婀娜っぽい声は沢山の男の人を喜ばせてると思う。
「そんなにわっちの胸が好きかい?」
「うん……。錦姉様の胸、柔らかいの……」
「そうさねぇ。わっちの胸にまらを挟まれちゃ、男共はすぐ気を出しちまうくらいでありんす」
「ウチにもできる?」
「あっはっはっは。景一のちっこい胸だと挟めないんじゃないかねぇ」
「アッ!」
「おや? いっちょまえに感じるようになっちまったかい?」
 姉様に胸を触られて、甲高い声が出てしまった。昨夜の房事ぼうじを思い出して、脚の間がずきずき疼く。
 蜜が溢れて太腿を湿らせてる。脚をもじもじ擦り合わせる。むずむずするの。
「小焼様また来てくれるかなぁ……」
「廻船問屋の若旦那様だから、荷を届けに時はありんす。客としてはどうだろうねぇ……。櫛をくれるくらいだから、お前さんに惚れてるかもねぇ」
「惚れて……」
「『小焼様の事を考えるだけで、これだけ濡れてしまいんした』って言って、ぼぼを見せてやっても良いんじゃないかい?」
「ふぇっ、や、あああっ!」
 姉様の手が脚の間に入り、硬くなってしもたさねを摘ままれて、ぐりぐり押されて、下唇を噛んでいても、甘い声が抑えられなくなる。抵抗しようにも力が入らない。
「そんなに可愛い声でよがり泣かれちゃ黙ってらんないよ。客はお前さんの慣れない仕草と上品じょうぼんのぼぼで大喜びだろうねぇ。今にわっちよりも売れっ子になるさ」
「ねえさま、や、も、堪忍してっ、あっ、や――っ!」
 ぐちゅぐちゅっ、音を鳴らしながら蜜壺の中を指が擦る。
 全身が痺れたようになって、ウチは海老のように背を反る。お腹がぎゅうぅうと締まる感じがした。
「ふふっ、そんなに良かったかい?」
「はうぅ……。う、ううう」
「まあ、これだけ濡れるなら擦り切れないざんしょ。明日から大忙しさ」
「う、うん……」
「痛い時はちゃんと『痛い』って言いなさんし。傷つけられて困るのは客じゃなくて景一だからねぇ。それともうできてるから、言わなくても良さそうだが、責めに責められて、耐えられなくなった時に声を漏らしな。お前さんはおとなしいから、派手に声をあげてよがるよりそっちのが向いてるだろ」
「ウチ、声出すん恥ずかしいやの……」
「あっはっは。その恥ずかしがってる姿を見て、客は喜ぶのでありんす」
 錦姉様はそう言いながら、ぬらぬらに光ってる指をウチに見せてから紙で拭いてた。
 ウチは恥ずかしくなって俯く。むずむずする。なんか、欲しい。身体が疼いてしもてる。でも……。
「さてと、わっちはもうひと眠りするかねぇ。景一も寝なさんし。ほら、こっちおいで」
「は、はい、やの」
 姉様は布団に入って手招きをする。ウチは呼ばれるままに布団に入る。あったかい。ウチもいつかこんな布団を貰えるようになるんかな。錦姉様にぎゅうって抱き締められて、胸に埋まって、ウチは目を閉じた。

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