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第134話 西部戦線
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一九三九年四月十八日。オルレアン・フランス、シェルブール。
史実でのノルマンディー上陸作戦では、激戦の一つとなった湾港都市のシェルブール。この世界では最重要地点の一つになっていたため、ドイツ軍との猛攻を繰り広げた上で奪取に成功していた。湾港機能もそれなりに残っており、西部戦線再構築の起点となるべく、様々な物資が運び込まれていた。
その中で最も多いのが、アメリカ陸軍の新型戦車であるM4中戦車シャーマンである。この日のために開発設計、そして製造まで、昼夜問わずに工場をフル稼働させていた。そのため、すでに五百輌という数を生産することに成功したのだ。正直、このようなごり押しした上での物量作戦は、アメリカでなければ失敗していただろう。
それに次いで多いのが、イギリス陸軍のクロムウェル巡航戦車だ。史実では第二次世界大戦の真っ只中に開発された戦車であるが、この世界ではすでに生産出来ているようだ。
こうして、シャーマン二百輌とクロムウェル五十輌による、西部戦線の再構築が始まった。
とはいっても、あくまで主力は歩兵である。当然ながら、そのためのトラックや装甲車も用意されている。
その主力として期待を寄せられているのがジープであった。第二次世界大戦中に開発された中でも最も優秀とも言われた、あのジープだ。これがシェルブールの郊外にズラリと並べられていた。やはりアメリカの生産能力はすさまじい。
こうしてアメリカ陸軍とイギリス陸軍の機甲師団が、ドイツ軍と敵対することになる。
それを援護するように、アメリカ海軍の爆撃機が空を飛び交う。
「いよいよ本格的な反攻作戦か……」
現場を視察に来ていた、陸軍大将の階級を付けた男性。アイゼンハワー大将はそのように呟く。
「東部ではソ連とロシア、そして日本が戦っている。実に不思議なものだ。半年前までは敵同士だった日本と、場所は違えど共同戦線を張ることになるのは」
「アイゼンハワー閣下、そろそろ時間です。ここは連合国軍が奪取したとはいえ、まだドイツ軍の勢力下です。早く海上司令部へ」
「分かっている」
そういってアイゼンハワーは、アメリカ海軍第1艦隊と行動を共にする強襲揚陸艦に設置された、西部戦線臨時司令本部へと戻る。
「戦車隊、前進!」
シェルブールから、次々と戦車が進む。それと同時に、すでに上陸して戦線を保持している連合国軍のための非装甲車両が、フランス沿岸部をどんどん進んでいく。
コタンタン半島からは、ドイツ軍が出てくるような気配はない。機甲師団は横一列の状態で、文字通り戦線を上げていく。
変化があったのは、翌日の明け方であった。コタンタン半島の根元にほど近い、バイユーという街に差し掛かった時だ。
街の郊外を走っていると、第一五五戦車大隊の隊長が、あるものを発見する。それはろうそくにしては小さすぎる光であった。
「あれは……」
その方向を見ようと、双眼鏡を覗きこんだときである。隣を走っていたシャーマンから、被弾した音が響く。そのシャーマンは、直後にエンジンから火災を起こし、停車してしまった。
大隊長はとっさにキューポラの中に入り、砲手に怒鳴る。
「敵戦車からの攻撃だ! 戦闘用意!」
操縦手は直ちに戦車を停車させ、エンジンの回転数を抑える。音で位置がバレる可能性があるからだ。
砲手は砲塔を旋回させ、敵のいるであろう方向に砲を向ける。
そして車長である大隊長は、キューポラの窓から敵の居場所を探る。
わずかに空が白んでいる時間帯。夜目が効いているのか、簡単に敵を発見することができた。
その戦車は、今まで見てきたどのドイツ戦車の形とも合致しない。
「あれは新型戦車か……!」
当然、ドイツも黙っているわけではない。新型戦車の開発・生産を行っていた。それがⅣ号戦車である。
こちらが照準を定める前に、Ⅳ号戦車群が先に砲撃する。それにより、味方の二輌が破壊された。
「なんていう貫徹力だ……!」
圧倒的な攻撃力の高さに、大隊長は驚愕する。これまでの戦車の中でも、走攻守のバランスが取れた性能を持つシャーマンだが、それを上回るほどの攻撃力なのだ。
しかし、これで負けたとは思っていない大隊長。
「総員、発砲炎が見えた方向に砲撃!」
シャーマンには、標準装備として最新の無線機が装備されていた。これにより、個別に連絡が取れるようになっていたのだ。
その無線の連携により、Ⅳ号戦車群に向けて砲弾が集中する。
どうやら砲弾の一つが貫通したようで、Ⅳ号戦車内部で爆発が起きた。それにより、砲塔が吹き飛んで落下する。
それでも、Ⅳ号戦車が強いのは事実だ。現に、味方のシャーマンがすでに六輌もやられている。
それでも第一五五戦車大隊は、無線による相互通信で連携を取り、次第にⅣ号戦車を追い詰めていく。
そんなⅣ号戦車は、街中を走り抜けて撤退しようとしていた。
「後退か。そう簡単に行くかね?」
そのように大隊長が呟く。Ⅳ号戦車を待ち受けていたのは、街角に潜むクロムウェルであった。巡航戦車という名がついている通り、シャーマンのことを追い抜かして、この街へ先回りしていたのである。
さすがにⅣ号戦車と言えども、側面からの攻撃には耐えられない。だが、装甲を貫通するものの、炸薬が入っていない初期型の六ポンド砲では、完全な撃破には至らなかった。
最終的にⅣ号戦車のことを追いかけてきたシャーマンが、とどめの一撃を刺すことで完全に撃破することに成功する。
こうして連合国軍は、わずか数日でコタンタン半島全域を解放した。
史実でのノルマンディー上陸作戦では、激戦の一つとなった湾港都市のシェルブール。この世界では最重要地点の一つになっていたため、ドイツ軍との猛攻を繰り広げた上で奪取に成功していた。湾港機能もそれなりに残っており、西部戦線再構築の起点となるべく、様々な物資が運び込まれていた。
その中で最も多いのが、アメリカ陸軍の新型戦車であるM4中戦車シャーマンである。この日のために開発設計、そして製造まで、昼夜問わずに工場をフル稼働させていた。そのため、すでに五百輌という数を生産することに成功したのだ。正直、このようなごり押しした上での物量作戦は、アメリカでなければ失敗していただろう。
それに次いで多いのが、イギリス陸軍のクロムウェル巡航戦車だ。史実では第二次世界大戦の真っ只中に開発された戦車であるが、この世界ではすでに生産出来ているようだ。
こうして、シャーマン二百輌とクロムウェル五十輌による、西部戦線の再構築が始まった。
とはいっても、あくまで主力は歩兵である。当然ながら、そのためのトラックや装甲車も用意されている。
その主力として期待を寄せられているのがジープであった。第二次世界大戦中に開発された中でも最も優秀とも言われた、あのジープだ。これがシェルブールの郊外にズラリと並べられていた。やはりアメリカの生産能力はすさまじい。
こうしてアメリカ陸軍とイギリス陸軍の機甲師団が、ドイツ軍と敵対することになる。
それを援護するように、アメリカ海軍の爆撃機が空を飛び交う。
「いよいよ本格的な反攻作戦か……」
現場を視察に来ていた、陸軍大将の階級を付けた男性。アイゼンハワー大将はそのように呟く。
「東部ではソ連とロシア、そして日本が戦っている。実に不思議なものだ。半年前までは敵同士だった日本と、場所は違えど共同戦線を張ることになるのは」
「アイゼンハワー閣下、そろそろ時間です。ここは連合国軍が奪取したとはいえ、まだドイツ軍の勢力下です。早く海上司令部へ」
「分かっている」
そういってアイゼンハワーは、アメリカ海軍第1艦隊と行動を共にする強襲揚陸艦に設置された、西部戦線臨時司令本部へと戻る。
「戦車隊、前進!」
シェルブールから、次々と戦車が進む。それと同時に、すでに上陸して戦線を保持している連合国軍のための非装甲車両が、フランス沿岸部をどんどん進んでいく。
コタンタン半島からは、ドイツ軍が出てくるような気配はない。機甲師団は横一列の状態で、文字通り戦線を上げていく。
変化があったのは、翌日の明け方であった。コタンタン半島の根元にほど近い、バイユーという街に差し掛かった時だ。
街の郊外を走っていると、第一五五戦車大隊の隊長が、あるものを発見する。それはろうそくにしては小さすぎる光であった。
「あれは……」
その方向を見ようと、双眼鏡を覗きこんだときである。隣を走っていたシャーマンから、被弾した音が響く。そのシャーマンは、直後にエンジンから火災を起こし、停車してしまった。
大隊長はとっさにキューポラの中に入り、砲手に怒鳴る。
「敵戦車からの攻撃だ! 戦闘用意!」
操縦手は直ちに戦車を停車させ、エンジンの回転数を抑える。音で位置がバレる可能性があるからだ。
砲手は砲塔を旋回させ、敵のいるであろう方向に砲を向ける。
そして車長である大隊長は、キューポラの窓から敵の居場所を探る。
わずかに空が白んでいる時間帯。夜目が効いているのか、簡単に敵を発見することができた。
その戦車は、今まで見てきたどのドイツ戦車の形とも合致しない。
「あれは新型戦車か……!」
当然、ドイツも黙っているわけではない。新型戦車の開発・生産を行っていた。それがⅣ号戦車である。
こちらが照準を定める前に、Ⅳ号戦車群が先に砲撃する。それにより、味方の二輌が破壊された。
「なんていう貫徹力だ……!」
圧倒的な攻撃力の高さに、大隊長は驚愕する。これまでの戦車の中でも、走攻守のバランスが取れた性能を持つシャーマンだが、それを上回るほどの攻撃力なのだ。
しかし、これで負けたとは思っていない大隊長。
「総員、発砲炎が見えた方向に砲撃!」
シャーマンには、標準装備として最新の無線機が装備されていた。これにより、個別に連絡が取れるようになっていたのだ。
その無線の連携により、Ⅳ号戦車群に向けて砲弾が集中する。
どうやら砲弾の一つが貫通したようで、Ⅳ号戦車内部で爆発が起きた。それにより、砲塔が吹き飛んで落下する。
それでも、Ⅳ号戦車が強いのは事実だ。現に、味方のシャーマンがすでに六輌もやられている。
それでも第一五五戦車大隊は、無線による相互通信で連携を取り、次第にⅣ号戦車を追い詰めていく。
そんなⅣ号戦車は、街中を走り抜けて撤退しようとしていた。
「後退か。そう簡単に行くかね?」
そのように大隊長が呟く。Ⅳ号戦車を待ち受けていたのは、街角に潜むクロムウェルであった。巡航戦車という名がついている通り、シャーマンのことを追い抜かして、この街へ先回りしていたのである。
さすがにⅣ号戦車と言えども、側面からの攻撃には耐えられない。だが、装甲を貫通するものの、炸薬が入っていない初期型の六ポンド砲では、完全な撃破には至らなかった。
最終的にⅣ号戦車のことを追いかけてきたシャーマンが、とどめの一撃を刺すことで完全に撃破することに成功する。
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