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第101話 停戦
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ルーズベルト大統領が死亡したニュースは、敵味方関係なく即座に全世界へと広まった。
ヒトラーは喜び、チャーチルは悲しみ、ムッソリーニはほくそ笑み、スターリンは苦い顔をする。反応も人それぞれだ。
そんな中、大日本帝国はというと、一九三八年十二月二十日付けで天皇陛下から弔電がアメリカに送られた。当然直通ではないため、スイス経由での送信となったが。
それと同時に、米内総理も大日本帝国の行政長として弔電を送った。当然、ただの弔電ではない。
『アメリカ政府、ホワイトハウスの皆さま。この度はルーズベルト大統領の訃報に大変驚いています。我が国と貴国は宣戦布告し合い、敵同士でもありますが、国家元首の死去の際には共にいることを約束しましょう。ところで、現在貴国の状況は大変芳しくないのは把握しています。先日はハワイ諸島奪還のために派遣した第8艦隊が拿捕され、乗組員は捕虜となっています。これだけの捕虜ですから収容できる施設も存在せず、ハワイ島にて野ざらし状態となっています。一方我が国は、貴国の要求通り大陸から手を引き、真の独立国を手助けしています。さらに、我が国の気高き意志に呼応するように、英仏蘭が植民地を放棄して、独立国にすべく動いています。現在、英領マレー、仏印、蘭印に対して我が軍が進駐しているのは知っているでしょう。貴国も我が国を攻撃するのは難しい状況であることは重々承知です。そこで提案をいたします。停戦はいかがでしょう? 停戦をしていただけるのなら、捕虜となっている兵士及び拿捕されている艦艇を全てお返ししましょう。ハワイ諸島に関しては、別途交渉の必要が出てきますが、停戦までの間は我が国の統治下になります。良い返事が聞けることを心待ちにしています』
以上のような弔電を送ったのだ。もはや弔電に見せかけた外交にしか見えないだろう。
すでに英仏蘭の植民地に対して日本軍が進駐を行っており、現地の協力も取り付けた上で、独立の準備が進められている。
これを受け取ったトルーマン副大統領改めトルーマン大統領は、ほぼ即決した。
「日本と停戦をする」
これを聞いたホワイトハウスの職員や軍人が、一斉に反対する。
「それは駄目です! ここまでの努力が無駄になります!」
「そうです! 国民感情も日本側に寄ってしまい、支持率の低下を招く可能性もあります!」
「こうなるなら最初から宣戦布告などしなかったでしょうし、仮に停戦したとしてこれまでの軍事費はどうなります? もはや中小国家なら傾くレベルですよ?」
そのような言葉が降りかかるも、トルーマンは考えを改めなかった。
「これ以上戦争してどうする? 確かに日本は我々の要求通りにしたし、戦線を拡大しようともしていない。東南アジアの植民地に進駐しているのは少々難しい問題だが、それはさしたる問題ではないだろう」
「ハワイはどうなるんです!? 基地が破壊された上、占領までされているんですよ!?」
「戦略上仕方のないことだろう。これからの外交があれば、返還される可能性があるんだ。今は我慢の時ではないか?」
「しかし……!」
「えぇい、つべこべ五月蠅い! 日本がやる気になれば、本土爆撃だって可能なんだぞ!?」
トルーマンの発言に、陸軍士官が反論する。
「そんなこと、万が一にもあり得ません!」
「いえ、それがあり得るのです」
そういって執務室に入ってきたのは、カーラ・パドックである。
「日本にいる転生者から、極秘の情報を入手しました。『潜水空母と呼ばれる兵器なら、アメリカ本土を爆撃可能』との証言を貰っています」
「そんな情報、どうやって……」
トルーマンは、パドックの横に並ぶ。
「彼女はこうして、他国の転生者と連絡を取り合うことができる。我々の知らない情報すら、簡単に手に入れることができるのだ。これ以上戦争して、何の意味がある?」
「ですが……」
「まだ反論したいようだな? だが、この状況でどうしろというのだ? 海軍戦力の何割かを拿捕されている状況では、太平洋に出ることすら叶わないのだぞ?」
その言葉に、軍人は黙ってしまう。
「それに、彼女ら転生者は、全員戦いたくないと言っている。ここで武器を下ろすのも、一つの手ではないだろうか?」
その言葉に、執務室は静まり返ってしまう。
それが決定打になった。
「アメリカは、日本と停戦する」
かくして、一九三八年十二月二十八日。ハワイ諸島、オアフ島。
ホノルルにて、日米の代表団が参列し、停戦調停を行った。調停国として、ノルウェーの代表団が来てくれた。
事務次官レベルの話し合いも行われ、最終的には停戦条約に署名することができた。
『停戦できて良かったわ』
ホノルルにて、宍戸とパドックは初めて面と向かって会う。
『そうだな。こっちも最初の一年が正念場って言われてたくらいだったからな。今回の停戦は渡りに船だよ』
『それで、ハワイはどうなるのかしら?』
『さぁ。今の所は日本の統治下に置かれるらしい。十年か二十年かしたら、返還されるかもね』
『そうだったら……いいな』
そんな話をしているところに、一人の女性がやってくる。スペインの転生者、イザベル・ガルシアだ。
『あなたがカーラ・パドックね。初めまして!』
『初めまして、ガルシア。ところでその服装、一体どうしたの?』
ガルシアは、いわゆる大正モダンな女子学生の服装をしていた。
『日本で二十年くらい前に女子学生が着ていた制服なんだって! 日本はこの頃からカワイイのが多いのね!』
そんな感じで、転生者同士仲良く話す。
そして、ホノルル停戦条約は即日発効となった。ひとまず、日本とアメリカの戦争は終了したのである。
ヒトラーは喜び、チャーチルは悲しみ、ムッソリーニはほくそ笑み、スターリンは苦い顔をする。反応も人それぞれだ。
そんな中、大日本帝国はというと、一九三八年十二月二十日付けで天皇陛下から弔電がアメリカに送られた。当然直通ではないため、スイス経由での送信となったが。
それと同時に、米内総理も大日本帝国の行政長として弔電を送った。当然、ただの弔電ではない。
『アメリカ政府、ホワイトハウスの皆さま。この度はルーズベルト大統領の訃報に大変驚いています。我が国と貴国は宣戦布告し合い、敵同士でもありますが、国家元首の死去の際には共にいることを約束しましょう。ところで、現在貴国の状況は大変芳しくないのは把握しています。先日はハワイ諸島奪還のために派遣した第8艦隊が拿捕され、乗組員は捕虜となっています。これだけの捕虜ですから収容できる施設も存在せず、ハワイ島にて野ざらし状態となっています。一方我が国は、貴国の要求通り大陸から手を引き、真の独立国を手助けしています。さらに、我が国の気高き意志に呼応するように、英仏蘭が植民地を放棄して、独立国にすべく動いています。現在、英領マレー、仏印、蘭印に対して我が軍が進駐しているのは知っているでしょう。貴国も我が国を攻撃するのは難しい状況であることは重々承知です。そこで提案をいたします。停戦はいかがでしょう? 停戦をしていただけるのなら、捕虜となっている兵士及び拿捕されている艦艇を全てお返ししましょう。ハワイ諸島に関しては、別途交渉の必要が出てきますが、停戦までの間は我が国の統治下になります。良い返事が聞けることを心待ちにしています』
以上のような弔電を送ったのだ。もはや弔電に見せかけた外交にしか見えないだろう。
すでに英仏蘭の植民地に対して日本軍が進駐を行っており、現地の協力も取り付けた上で、独立の準備が進められている。
これを受け取ったトルーマン副大統領改めトルーマン大統領は、ほぼ即決した。
「日本と停戦をする」
これを聞いたホワイトハウスの職員や軍人が、一斉に反対する。
「それは駄目です! ここまでの努力が無駄になります!」
「そうです! 国民感情も日本側に寄ってしまい、支持率の低下を招く可能性もあります!」
「こうなるなら最初から宣戦布告などしなかったでしょうし、仮に停戦したとしてこれまでの軍事費はどうなります? もはや中小国家なら傾くレベルですよ?」
そのような言葉が降りかかるも、トルーマンは考えを改めなかった。
「これ以上戦争してどうする? 確かに日本は我々の要求通りにしたし、戦線を拡大しようともしていない。東南アジアの植民地に進駐しているのは少々難しい問題だが、それはさしたる問題ではないだろう」
「ハワイはどうなるんです!? 基地が破壊された上、占領までされているんですよ!?」
「戦略上仕方のないことだろう。これからの外交があれば、返還される可能性があるんだ。今は我慢の時ではないか?」
「しかし……!」
「えぇい、つべこべ五月蠅い! 日本がやる気になれば、本土爆撃だって可能なんだぞ!?」
トルーマンの発言に、陸軍士官が反論する。
「そんなこと、万が一にもあり得ません!」
「いえ、それがあり得るのです」
そういって執務室に入ってきたのは、カーラ・パドックである。
「日本にいる転生者から、極秘の情報を入手しました。『潜水空母と呼ばれる兵器なら、アメリカ本土を爆撃可能』との証言を貰っています」
「そんな情報、どうやって……」
トルーマンは、パドックの横に並ぶ。
「彼女はこうして、他国の転生者と連絡を取り合うことができる。我々の知らない情報すら、簡単に手に入れることができるのだ。これ以上戦争して、何の意味がある?」
「ですが……」
「まだ反論したいようだな? だが、この状況でどうしろというのだ? 海軍戦力の何割かを拿捕されている状況では、太平洋に出ることすら叶わないのだぞ?」
その言葉に、軍人は黙ってしまう。
「それに、彼女ら転生者は、全員戦いたくないと言っている。ここで武器を下ろすのも、一つの手ではないだろうか?」
その言葉に、執務室は静まり返ってしまう。
それが決定打になった。
「アメリカは、日本と停戦する」
かくして、一九三八年十二月二十八日。ハワイ諸島、オアフ島。
ホノルルにて、日米の代表団が参列し、停戦調停を行った。調停国として、ノルウェーの代表団が来てくれた。
事務次官レベルの話し合いも行われ、最終的には停戦条約に署名することができた。
『停戦できて良かったわ』
ホノルルにて、宍戸とパドックは初めて面と向かって会う。
『そうだな。こっちも最初の一年が正念場って言われてたくらいだったからな。今回の停戦は渡りに船だよ』
『それで、ハワイはどうなるのかしら?』
『さぁ。今の所は日本の統治下に置かれるらしい。十年か二十年かしたら、返還されるかもね』
『そうだったら……いいな』
そんな話をしているところに、一人の女性がやってくる。スペインの転生者、イザベル・ガルシアだ。
『あなたがカーラ・パドックね。初めまして!』
『初めまして、ガルシア。ところでその服装、一体どうしたの?』
ガルシアは、いわゆる大正モダンな女子学生の服装をしていた。
『日本で二十年くらい前に女子学生が着ていた制服なんだって! 日本はこの頃からカワイイのが多いのね!』
そんな感じで、転生者同士仲良く話す。
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