二人称・短編ホラー小説集 『あなた』

シルヴァ・レイシオン

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~山着~ 第一章 「闇喪」 全十三話

第十二話 禁句

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「なんだか、凄く怖い話ですね」

「僕のその後の解釈も多少入ってるから、どこまでがどうかなんて分からんけどね。とにかく、禁句、タブーな感じがして誰にも言えないなという気持ちで、強制的に僕の中で忘れるようにしてたんやな・・・きっと」

「今でも居るんでしょうか・・・・・・」

「・・・いや、流石にそれはないやろう」
 叔父は焦りながらも、冗談のように笑いながら返事をする。

「まぁ、何の答えにもならんかったねやっぱり。ごめんね。話せば、それなりの答えが出るかとも思ってね」

「いえ、こちらこそ、教えてくれて、ありがとうございます」

「・・・ほな、車、取りに行こか」

 あなたは叔父の車の助手席に乗って連れて行ってもらい、自分の車を取りに行きました。





「ほら、やっぱりありますよ!」
 そう言って、あなたは少しだけテンションが上がりました。

「ほんまやね・・・・・・」
 叔父はあなたの車の傍で停車する。


 ピピッ・・・・・・


 車のキーでロック解除を音を示し、ドアを開けて見せました。

「間違いないなぁ。ほな、思い出すかもしれんから、当時のこと覚えている範囲で同じ行動をしてみたら?」

「はい、そうですね・・・おばあちゃんのお墓参りをした後、これを拾って・・・・・・」

 一つ、ポケットに入っていた松毬を取り出し叔父へ渡した。

「松ぼっくりかぁ。・・・ん?変だな、この辺に松ぼっくりが生る木なんて無いで」

「そうなんですよ。だから不思議だなって思って。そして、ほら、あそこにも・・・・・・」

 二つ目の松毬が、前回と同じように坂の上部で引っ掛かって止まっている。あなたはそれを取りに向かった。

「不思議だねぇ。こんな所に・・・何か小動物かなんかがどっかから持ってきたんやろか」

「その後の記憶は、まだ何も思い出せません・・・・・・」

「もう少し、登ってみようか。当時も上へと行こうとしたんやんな?」

「はいそうです。行ってみましょう」

 それぞれ、松毬を握りしめて坂を上っていく。




 あなたは周辺の景色を眺めながら、必死に思い出そうとしますが何も思い出せませんでした。地面は舗装されたコンクリート道から、気が付くとへと変わり少しづつ不安になってきます。

「・・・叔父さん、そろそろ引き返しましょう」
 不安を抑えきれずに、途端に帰りたくなりました。

「どう?なにか思い出せそう?」

「いえ、全然・・・・・・」
 返事の途中で叔父の向こう側で人影が見えたと思った瞬間、叔父がバタリと倒れこみました。


 ゾゾゾッ・・・・・・


 っと猛烈な寒気と恐怖があなたを襲った後にすぐ、右腕にチクりとした痛みと共にあなたも気を失いました。

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