上 下
2 / 16

突然の目覚め

しおりを挟む
「……ん。」

頭がクラクラする。

眩しい光が目を刺激する。

どこだここは。


…ガチャ。


「えっ?」

…ガチャガチャ。

なんだこれは。

見ると両手両足が枷で繋がれている。

動かす度に鎖の音が室内に響く。

全く外れる気配がない。

周りを見てみると、見知った顔があった。

「矢神さん!矢神さん!」

矢「う~ん…。」

声をかけると、彼女は目を覚ました。

矢「ん…。樋口君?」

ガチャ。

矢「えっ!?何これ!」

彼女は今の状況を飲み込めずにいる。

?「うっ。」

後ろから声が聞こえた。

?「おわっ!何だこれ!」

この声には聞き覚えがあった。

?「おいっ!つかさ!つかさ!」

つかさ?

高「えっ!?何?どういうこと?」

?「うるせぇなぁ。休みの日くらい静かに寝かせろよ…って、はっ?何だこれ?」

?「う…ん、どうしたの翼。えっ!?何?何なの!?」

この声は、翼と麗香か!?

?「あ、あの!あの、皆さん聞こえますか!」

後ろから別の人の声が聞こえた。

樋「その声は慶太か!」

本「は、はい。なんかよく分からないんですけど、鎖みたいなので拘束されてます。」

神「俺たちもだよ!」

樋「(何がどうなってるんだ?)」


何故こんな状況になっているのか。

この場にいる誰も理解できていなかった。



ポーン。


?『皆様、お目覚めになられましたか?』

神「な、なんだ!?」

急にアナウンスのような声が流れ、俺を含め全員の不安が増した。

?『私は、この飛行機の機長をしているものです。』

柴「飛行機?」

辺りを見てみると、確かに飛行機の機内と同じ作りをしている。

?『只今から皆様には、ちょっとしたゲームをしていただきます。』

高「ゲーム?」

?『そんなに難しいゲームではありません。機長である私の正体は一体誰なのか?それを当てていただく。ただそれだけです。』

五「なんだそりゃ。」

?『答えが分かった方は、皆さんの席の近くにある赤いボタンを押してください。正解ならば枷を外して差し上げましょう。しかし、不正解だった場合は、座席ごと外に放り出します。』

そう説明すると、今度は目の前にあるモニターの電源が入った。

モニターの画面には、座席に座ったマネキンが写っていた。

その様子は、まるで今の俺たちのようだった。

すると今度は、機長服を着た人物が出てきた。

顔は仮面のようなものを着けており、確認することはできない。

?『モニターをご覧ください。こちらは今の皆様と同じ状況に作った人形になります。もし、皆様が答えを間違った場合、こうなります。』

仮面の人物は、マネキンの横にあるボタンを押した。


ブーブー…。


妙なアラーム音が鳴り、部屋のライトが赤くなった。


ブシュ。


次の瞬間、マネキンの座っていた座席が消えた。

いや、正確には、真上に向かってすごい勢いで飛んでいった。

?『どうですか?皆さん。まるでアクション映画の1シーンみたいですね。』

仮面の人物がそういった直後、先ほど打ち上げられたマネキンが落ちてきた。

ゴクッ。

誰かの唾を飲む音が聞こえた。

?『さらに時間設定を設けたいと思います。』

樋「時間設定?」

『画面の右上にカウントが表示されてるのが見えますでしょうか?』

見ると、確かに画面にカウントが表示されていた。

?『今から5時間以内に答えを出してください。時間切れになった場合、全員外に放り出します。』

神「ご、5時間!?」

?『それでは皆さん、頑張ってください。』

仮面の人物はそう言って手を振った。

樋「ちょ、まっ…。」

プツンッ。

待ってという前に画面が消えてしまった。

一体どうなってしまうのか。

全員が言い知れぬ不安を抱えていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さようなら、殺人鬼

西野 うみれ
ミステリー
物語は来留聡一郎の独白から始まる。自分の殺人癖を正当化するこの男のもとに、脱獄した死刑囚の女がさらわれる。五年間の監禁生活を経て、敢えてにがされた死刑囚の女。街に放たれた死刑囚の女は、とある老人に捕らえられる。死刑囚の女はふたつの条件をクリアすれば、自由を約束するというものだった。

霊山の裁き

聖岳郎
ミステリー
製薬会社のMRを辞め、探偵となった空木健介。登山と下山後の一杯をこよなく愛する探偵が、初の探偵仕事で事件に巻き込まれる。初仕事は不倫調査の尾行だったが、その男は滋賀県と岐阜県の県境に位置する霊仙山の廃屋で死体で見つかった。死体は一体誰?さらに、空木の元に、女性からの手紙が届き、山形県の霊山、月山に来るように依頼される。その月山の山中でも、死体が発見される。転落死した会社員は事故だったのか? とある製薬会社の仙台支店に渦巻く、保身とエゴが空木健介によって暴かれていく山岳推理小説。

事故現場・観光パンフレット

山口かずなり
ミステリー
事故現場・観光パンフレット。 こんにちわ 「あなた」 五十音順に名前を持つ子どもたちの死の舞台を観光する前に、パンフレットを贈ります。 約束の時代、時刻にお待ちしております。 (事故現場観光パンフレットは、不幸でしあわせな子どもたちという小説の続編です)

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

皆を求めるエヌルタ

霜月麗華
ミステリー
上司に飛ばされて、秋墓村という山奥の村に足を踏み入れた伊尾崎湊は、何かに気付く。

四天王寺ロダンの挨拶

ヒナタウヲ
ミステリー
『奇なる姓に妙なる名』その人は『四天王寺ロダン』。  彼はのっぽ背にちじれ毛のアフロヘアを掻きまわしながら、小さな劇団の一員として、日々懸命に舞台芸を磨いている。しかし、そんな彼には不思議とどこからか『謎』めいた話がふわりふわりと浮かんで、彼自身ですら知らない内に『謎』へと走り出してしまう。人間の娑婆は現代劇よりもファナティックに溢れた劇場で、そこで生きる人々は現在進行形の素晴らしい演者達である。  そんな人々の人生を彩る劇中で四天王寺ロダンはどんな役割を演じるのだろうか? ――露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢、秀吉が辞世で詠んだ現代の難波で、四天王寺ロダンは走り出す。  本作は『嗤う田中』シリーズから、一人歩き始めた彼の活躍を集めた物語集です。 @アルファポリス奨励賞受賞作品 https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/682000184 @第11回ネット大賞一次通過作品

この満ち足りた匣庭の中で 一章―Demon of miniature garden―

至堂文斗
ミステリー
――鬼の伝承に準えた、血も凍る連続殺人事件の謎を追え。 『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。 巨大な医療センターの設立を機に人口は増加していき、世間からの注目も集まり始めていた。 更なる発展を目指し、電波塔建設の計画が進められていくが、一部の地元住民からは反対の声も上がる。 曰く、満生台には古くより三匹の鬼が住み、悪事を働いた者は祟られるという。 医療センターの闇、三鬼村の伝承、赤い眼の少女。 月面反射通信、電磁波問題、ゼロ磁場。 ストロベリームーン、バイオタイド理論、ルナティック……。 ささやかな箱庭は、少しずつ、けれど確実に壊れていく。 伝承にある満月の日は、もうすぐそこまで迫っていた――。 出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io

ダブルネーム

しまおか
ミステリー
有名人となった藤子の弟が謎の死を遂げ、真相を探る内に事態が急変する! 四十五歳でうつ病により会社を退職した藤子は、五十歳で純文学の新人賞を獲得し白井真琴の筆名で芥山賞まで受賞し、人生が一気に変わる。容姿や珍しい経歴もあり、世間から注目を浴びテレビ出演した際、渡部亮と名乗る男の死についてコメント。それが後に別名義を使っていた弟の雄太と知らされ、騒動に巻き込まれる。さらに本人名義の土地建物を含めた多額の遺産は全て藤子にとの遺書も発見され、いくつもの謎を残して死んだ彼の過去を探り始めた。相続を巡り兄夫婦との確執が産まれる中、かつて雄太の同僚だったと名乗る同性愛者の女性が現れ、警察は事故と処理したが殺されたのではと言い出す。さらに刑事を紹介され裏で捜査すると告げられる。そうして真相を解明しようと動き出した藤子を待っていたのは、予想をはるかに超える事態だった。登場人物のそれぞれにおける人生や、藤子自身の過去を振り返りながら謎を解き明かす、どんでん返しありのミステリー&サスペンス&ヒューマンドラマ。

処理中です...