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完成したのですが。
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絵が完成してから数日後。
とうとう作戦開始の日がやって来た。
学校にはたくさんの人が集まっている。
生徒はもちろんだが、生徒の保護者、そして美術商の人もいる。
そう、今日は美術コンクールが開かれているのだ。
学校内には様々な作品が飾られている。
どれも素晴らしい作品ばかりだ。
今から数時間、お客さんは作品を鑑賞し、気に入った作品に投票する。
作品を作った生徒は投票できない。
お客さんが投票できるのは3票まで。
しかし、3票全てを同じ作品に投票することはできない。
全ては投票の公平を期すためだ。
お客さんは作品に見入っている。
専門家は尚更だ。
まるで絵画展のような雰囲気が出来上がっていた。
それでは最優秀賞を発表します。最優秀賞は…2年B組、鈴木創さんの『友達』です。!!」
結果は無事に最優秀賞を獲ることができた。
この『友達』は藍原さんが主役となった作品だ。
真ん中に藍原さん。
その周りを僕を含めたクラスメイトが笑顔で囲んでいる。
みんなの顔は写真や記憶を掘り出して実物に似せて描いた。
色合いは明るい色を選んだ。
正直、選ばれるかどうかは不安だった。
だが、何を描いているか分からない作品より、こういう作品の方が一般の人は分かりやすいのではないかと思った。
それに、学校に飾られるのだから、クラスメイトに伝わりやすい作品にした方が良いと思ったのだ。
周りはざわついている。
クラスメイトは祝福してくれている。
本当は喜ぶべきなのだろうが、今回はそうはいかない。
まだ作戦は終わっていないのだ。
「それでは鈴木さん、壇上へどうぞ。」
僕はゆっくりと階段を上る。
「今回の受賞について感想をよろしくお願いします。」
緊張する。
しかし大丈夫だ。
言いたいことはすでに決まっている。
僕は意を決して口を開いた。
「皆さん、本日は僕の作品を選んでいただきありがとうございます。
この作品『友達』は僕のクラスメイトを題材にした作品です。
そのクラスメイトはいじめにあっています。
誰一人彼女を助けようとはしません。
僕もその一人でした。
彼女はある日、僕の目の前で自殺をしようとしました。
もし僕が止めなければ、彼女は確実に死んでいたでしょう。
僕は彼女に訪ねました。
「皆のことを恨んでいるか」と。
そしたら彼女は言ったんです。
「恨んでいない」と。
それだけじゃありません。
彼女は「皆と仲良くなりたい。」
そう言ったんです。
真剣な眼差しで。
それを聞いたとき、僕は彼女の願いを叶えたいと思いました。
それが、いじめを見て見ぬふりをしていた僕が、彼女にしてやれる唯一の謝罪だと思ったからです。
この『友達』は彼女の願いを形にしたものです。
僕はこれから、彼女と友達になれたらと思います。
今さら虫のいい話かもしれません。
しかし、これは僕の覚悟の表れでもあります。
どんな陰口を叩かれようとその意思を曲げるつもりはありません。
それが、僕の彼女に対するもうひとつの謝罪の気持ちです。
皆さん、本日は本当にありがとうございました。」
こうして、僕の作戦は終わった。
会場では拍手が巻き起こっている。
ふと視線を動かすと、藍原さんの姿が目に映った。
彼女は目に涙を溜めていた。
僕は彼女に向かって小さく頷いた。
彼女はそれに小さく頷き返してくれた。
僕はゆっくりと壇上を降りた。
後は運に任せるしかない。
こうして、波乱の一日は幕を閉じた。
とうとう作戦開始の日がやって来た。
学校にはたくさんの人が集まっている。
生徒はもちろんだが、生徒の保護者、そして美術商の人もいる。
そう、今日は美術コンクールが開かれているのだ。
学校内には様々な作品が飾られている。
どれも素晴らしい作品ばかりだ。
今から数時間、お客さんは作品を鑑賞し、気に入った作品に投票する。
作品を作った生徒は投票できない。
お客さんが投票できるのは3票まで。
しかし、3票全てを同じ作品に投票することはできない。
全ては投票の公平を期すためだ。
お客さんは作品に見入っている。
専門家は尚更だ。
まるで絵画展のような雰囲気が出来上がっていた。
それでは最優秀賞を発表します。最優秀賞は…2年B組、鈴木創さんの『友達』です。!!」
結果は無事に最優秀賞を獲ることができた。
この『友達』は藍原さんが主役となった作品だ。
真ん中に藍原さん。
その周りを僕を含めたクラスメイトが笑顔で囲んでいる。
みんなの顔は写真や記憶を掘り出して実物に似せて描いた。
色合いは明るい色を選んだ。
正直、選ばれるかどうかは不安だった。
だが、何を描いているか分からない作品より、こういう作品の方が一般の人は分かりやすいのではないかと思った。
それに、学校に飾られるのだから、クラスメイトに伝わりやすい作品にした方が良いと思ったのだ。
周りはざわついている。
クラスメイトは祝福してくれている。
本当は喜ぶべきなのだろうが、今回はそうはいかない。
まだ作戦は終わっていないのだ。
「それでは鈴木さん、壇上へどうぞ。」
僕はゆっくりと階段を上る。
「今回の受賞について感想をよろしくお願いします。」
緊張する。
しかし大丈夫だ。
言いたいことはすでに決まっている。
僕は意を決して口を開いた。
「皆さん、本日は僕の作品を選んでいただきありがとうございます。
この作品『友達』は僕のクラスメイトを題材にした作品です。
そのクラスメイトはいじめにあっています。
誰一人彼女を助けようとはしません。
僕もその一人でした。
彼女はある日、僕の目の前で自殺をしようとしました。
もし僕が止めなければ、彼女は確実に死んでいたでしょう。
僕は彼女に訪ねました。
「皆のことを恨んでいるか」と。
そしたら彼女は言ったんです。
「恨んでいない」と。
それだけじゃありません。
彼女は「皆と仲良くなりたい。」
そう言ったんです。
真剣な眼差しで。
それを聞いたとき、僕は彼女の願いを叶えたいと思いました。
それが、いじめを見て見ぬふりをしていた僕が、彼女にしてやれる唯一の謝罪だと思ったからです。
この『友達』は彼女の願いを形にしたものです。
僕はこれから、彼女と友達になれたらと思います。
今さら虫のいい話かもしれません。
しかし、これは僕の覚悟の表れでもあります。
どんな陰口を叩かれようとその意思を曲げるつもりはありません。
それが、僕の彼女に対するもうひとつの謝罪の気持ちです。
皆さん、本日は本当にありがとうございました。」
こうして、僕の作戦は終わった。
会場では拍手が巻き起こっている。
ふと視線を動かすと、藍原さんの姿が目に映った。
彼女は目に涙を溜めていた。
僕は彼女に向かって小さく頷いた。
彼女はそれに小さく頷き返してくれた。
僕はゆっくりと壇上を降りた。
後は運に任せるしかない。
こうして、波乱の一日は幕を閉じた。
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