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第18話
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こうして、他人が聞いたら絶対に妙だと思う関係が始まった。
京一郎は運命の番だからという理由ですっかり俺に夢中らしいが、俺は肉体的に惹かれることと、相手のことが好きかどうかは区別して考えたかった。
けれども正直言って、今は京一郎のそばを離れたくなかった。一人で居ればどうということはないけれど、姿が見えると甘えたくなってしまう。というか、ヤりたい。
「ぽん吉さん、今から掃除機を掛けるのでスタジオで遊んでて下さい」
京一郎はそう声を掛けながら、ラグの上で寛いでいたぽん吉をひょいと抱き上げた。それから部屋を出て行き廊下の奥へ消える。ぱたん、とドアを閉める音がしたと思ったら、すぐに戻って来た。
「ぽん吉、どこ行ったんだ?」
「撮影スタジオだ。といっても、ただの専用の小部屋だが」
「へえ、そんなんあるんだ。二階はどうなってんの?」
「ああ、今使っているのは実は客用の寝室でな。二階には主寝室とかがある」
「へえー」
「階段の上り下りはぽん吉さんの負担になるから、一階で暮らしているんだ」
何度も寝た京一郎の寝室は一階の北側にあって、西隣にバスルームやトイレがある。南西の角部屋であるリビングダイニングは広広していて、南向きの玄関を入って東にぽん吉のスタジオや物置がある。それらの部屋へ続く廊下の途中には二階へ上がる階段があるが、俺はまだ上ったことがなかった。
「お前がここに住むのなら、二階の部屋を貸そうと思っていた。もちろん寝るのは一階の俺の部屋だが」
「なんでだよ」
「一緒に寝ないという選択肢は俺にはない」
「なんか潔いな!」
作り付けの収納スペースから掃除機を取り出した京一郎がそう言って、俺は思い切り突っ込んだ。すると彼は呟くように言う。
「しかし、あのマンションで暮らすなら、お前がこちらで寝ない日は家を空けることになってしまう。でもぽん吉さんを一人にすることは出来ないから、連れて行くか……。本来はペット禁止なのだがな」
「何言ってんだアンタ?」
嫌な予感がして眉を寄せて尋ねると、京一郎はきょとんとして「何って、毎晩一緒に寝るだろう?」と言ったから「んな訳ねえだろ!」と叫んだ。
「どうして……」
「いや、さっきの話、聞いてなかったんか? 俺、一人の方が好きだって……アンタも我慢する言うたやん!」
「しかし、性欲を我慢するのは大変だからな。いっそ、我慢しない方が安全かもしれない」
「またしても潔い考え方!」
至極真面目な顔をしてそう言うのを聞いて、俺は呆れ果てた。すると、京一郎は真剣に言う。
「もう赤ん坊が出来てしまったから、中出しはやめる。今からコンドームも買いに行くつもりだし……」
「お、おう。ぜひそうしてくれ。ってか、赤ちゃん出来たし、ヤらんでも良くね!?」
身も蓋もない話に顔を赤らめながらそう言うと、京一郎は首を横に振って答えた。
「流産し易い妊娠初期は挿入はしないが、胸や尻を舐めたいし、あちこち触りたい……」
「ヤダ恥ずかしい男!」
ストレート過ぎる発言に思わずオネエ口調で突っ込んでから、俺はふうとため息を吐いた。
「まあ俺も、ヤりたくない訳じゃないけど……」
「そうか。では掃除が終わったら寝室へ行こう」
「気軽に誘い過ぎだろ!」
また突っ込んだら、京一郎は意に介せず掃除機の電源を入れ、フローリングに散らばっているぽん吉の抜け毛を吸い取りはじめた。長毛種の犬が居るのにいつもピカピカなのは、小まめに掃除機を掛けているからなのだ。
「吸引力がマジで変わらないオンリーワンのブランドやん、それ」
某有名メーカーの掃除機を見てキャッチコピーを口にしたら、京一郎は「気持ち良い吸いっぷりだろう」と応え、フフンと言った。
「確かに見てると気持ち良いな。でも、故障し易いとかネットのレビューで見たけど」
「まあそれはある。しかし、掃除機の吸いが悪いとイライラするからな」
「分かるわー」
京一郎と主婦みたいな会話をしながら、荷物を纏めに帰ったら、自分の部屋にもきれいに掃除機を掛けようと思った……。
京一郎は運命の番だからという理由ですっかり俺に夢中らしいが、俺は肉体的に惹かれることと、相手のことが好きかどうかは区別して考えたかった。
けれども正直言って、今は京一郎のそばを離れたくなかった。一人で居ればどうということはないけれど、姿が見えると甘えたくなってしまう。というか、ヤりたい。
「ぽん吉さん、今から掃除機を掛けるのでスタジオで遊んでて下さい」
京一郎はそう声を掛けながら、ラグの上で寛いでいたぽん吉をひょいと抱き上げた。それから部屋を出て行き廊下の奥へ消える。ぱたん、とドアを閉める音がしたと思ったら、すぐに戻って来た。
「ぽん吉、どこ行ったんだ?」
「撮影スタジオだ。といっても、ただの専用の小部屋だが」
「へえ、そんなんあるんだ。二階はどうなってんの?」
「ああ、今使っているのは実は客用の寝室でな。二階には主寝室とかがある」
「へえー」
「階段の上り下りはぽん吉さんの負担になるから、一階で暮らしているんだ」
何度も寝た京一郎の寝室は一階の北側にあって、西隣にバスルームやトイレがある。南西の角部屋であるリビングダイニングは広広していて、南向きの玄関を入って東にぽん吉のスタジオや物置がある。それらの部屋へ続く廊下の途中には二階へ上がる階段があるが、俺はまだ上ったことがなかった。
「お前がここに住むのなら、二階の部屋を貸そうと思っていた。もちろん寝るのは一階の俺の部屋だが」
「なんでだよ」
「一緒に寝ないという選択肢は俺にはない」
「なんか潔いな!」
作り付けの収納スペースから掃除機を取り出した京一郎がそう言って、俺は思い切り突っ込んだ。すると彼は呟くように言う。
「しかし、あのマンションで暮らすなら、お前がこちらで寝ない日は家を空けることになってしまう。でもぽん吉さんを一人にすることは出来ないから、連れて行くか……。本来はペット禁止なのだがな」
「何言ってんだアンタ?」
嫌な予感がして眉を寄せて尋ねると、京一郎はきょとんとして「何って、毎晩一緒に寝るだろう?」と言ったから「んな訳ねえだろ!」と叫んだ。
「どうして……」
「いや、さっきの話、聞いてなかったんか? 俺、一人の方が好きだって……アンタも我慢する言うたやん!」
「しかし、性欲を我慢するのは大変だからな。いっそ、我慢しない方が安全かもしれない」
「またしても潔い考え方!」
至極真面目な顔をしてそう言うのを聞いて、俺は呆れ果てた。すると、京一郎は真剣に言う。
「もう赤ん坊が出来てしまったから、中出しはやめる。今からコンドームも買いに行くつもりだし……」
「お、おう。ぜひそうしてくれ。ってか、赤ちゃん出来たし、ヤらんでも良くね!?」
身も蓋もない話に顔を赤らめながらそう言うと、京一郎は首を横に振って答えた。
「流産し易い妊娠初期は挿入はしないが、胸や尻を舐めたいし、あちこち触りたい……」
「ヤダ恥ずかしい男!」
ストレート過ぎる発言に思わずオネエ口調で突っ込んでから、俺はふうとため息を吐いた。
「まあ俺も、ヤりたくない訳じゃないけど……」
「そうか。では掃除が終わったら寝室へ行こう」
「気軽に誘い過ぎだろ!」
また突っ込んだら、京一郎は意に介せず掃除機の電源を入れ、フローリングに散らばっているぽん吉の抜け毛を吸い取りはじめた。長毛種の犬が居るのにいつもピカピカなのは、小まめに掃除機を掛けているからなのだ。
「吸引力がマジで変わらないオンリーワンのブランドやん、それ」
某有名メーカーの掃除機を見てキャッチコピーを口にしたら、京一郎は「気持ち良い吸いっぷりだろう」と応え、フフンと言った。
「確かに見てると気持ち良いな。でも、故障し易いとかネットのレビューで見たけど」
「まあそれはある。しかし、掃除機の吸いが悪いとイライラするからな」
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