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第12話
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それから、俺はべとべとになった体をシャワーできれいにした。京一郎は一緒に入りたがったが、これ以上えっちなことをされたら身が持たないと断った。
昨日まで未経験だったのに、いきなり三昧して本当は恥ずかしくて堪らないのだ。
それに、少し落ち着いて京一郎のことを考えたかった。今まで適当にニートをして暮らしていたのに、何も努力しないで金持ちの妻に収まるなんて虫がよすぎる。
「かと言って、勝手に求婚されてるわけだし……」
俺はまだまだ適当に過ごすつもりだったのだ。親からは「いい加減真面目に生きろ」とよく説教されるが、人生は長いようで短く、短いようで長い。多少寄り道したって良いじゃないか、と思っていた。
そう考えて、逆にこういう寄り道も良いかもしれない、と思った。結婚を軽く考えている訳ではないが、京一郎は悪い奴ではなさそうだし、何より一緒に過ごしていて全く不快ではない。いや、むしろ居心地が良いくらいだ。
「せっかく一人暮らしも出来るし……」
自分だけの家が持てるなんて、とわくわくした。ずっと養って貰って楽をしているが、全く肩身が狭くない訳ではないし、色色と制限も多い。
「とはいえ、妊娠したら……」
きっと京一郎はせっせと世話を焼くだろうし、そもそも一人で生活出来なくなるかもしれない。案外自由な生活は手に入れられないのかも、と思った。
「俺って結局、ずっとこんな感じ……」
そう呟いて、俺は珍しく暗い顔をした……。
風呂から出ると、待っていた京一郎が交代にシャワーを浴びに行った。ドライヤーを借りて髪を乾かし、貸して貰ったTシャツ(サイズはぶかぶか)とスウェットパンツに着替え、再びテレビの前へ行く。そうしてドラマの続きを楽しんでいたら、十五分くらいで京一郎が風呂から出て来た。
「おお、案外早かったな……って何で裸なんだよ!」
下は穿いていたが、京一郎は上半身裸だったから俺は赤くなって叫んだ。すると京一郎はきょとんとして「今更何で恥ずかしがるんだ?」と聞いたので、「俺は本当はシャイなんだよ!」と叫んだ。
「そうなのか。その割にはヤるの、好きだな」
「す、好きって……! アンタの匂い嗅ぐと、訳分かんなくなってああなるんだよ!」
揶揄うように言われて、俺は真っ赤になってそう叫んだ。すると、京一郎はこっくり頷いて「俺もそうだ」と応えた。
「アルファはオメガの匂いに惹かれるものだが、運命の番の匂いは特別だ。公園でお前と会う前から良い香りがしていたから、どこかで花でも咲いているのかと思ったんだ」
「花……」
確かに、京一郎の香りは花のものに似ている。俺の匂いも彼にとってそうなのだと知って、ちょっと嬉しかった。
昨日まで未経験だったのに、いきなり三昧して本当は恥ずかしくて堪らないのだ。
それに、少し落ち着いて京一郎のことを考えたかった。今まで適当にニートをして暮らしていたのに、何も努力しないで金持ちの妻に収まるなんて虫がよすぎる。
「かと言って、勝手に求婚されてるわけだし……」
俺はまだまだ適当に過ごすつもりだったのだ。親からは「いい加減真面目に生きろ」とよく説教されるが、人生は長いようで短く、短いようで長い。多少寄り道したって良いじゃないか、と思っていた。
そう考えて、逆にこういう寄り道も良いかもしれない、と思った。結婚を軽く考えている訳ではないが、京一郎は悪い奴ではなさそうだし、何より一緒に過ごしていて全く不快ではない。いや、むしろ居心地が良いくらいだ。
「せっかく一人暮らしも出来るし……」
自分だけの家が持てるなんて、とわくわくした。ずっと養って貰って楽をしているが、全く肩身が狭くない訳ではないし、色色と制限も多い。
「とはいえ、妊娠したら……」
きっと京一郎はせっせと世話を焼くだろうし、そもそも一人で生活出来なくなるかもしれない。案外自由な生活は手に入れられないのかも、と思った。
「俺って結局、ずっとこんな感じ……」
そう呟いて、俺は珍しく暗い顔をした……。
風呂から出ると、待っていた京一郎が交代にシャワーを浴びに行った。ドライヤーを借りて髪を乾かし、貸して貰ったTシャツ(サイズはぶかぶか)とスウェットパンツに着替え、再びテレビの前へ行く。そうしてドラマの続きを楽しんでいたら、十五分くらいで京一郎が風呂から出て来た。
「おお、案外早かったな……って何で裸なんだよ!」
下は穿いていたが、京一郎は上半身裸だったから俺は赤くなって叫んだ。すると京一郎はきょとんとして「今更何で恥ずかしがるんだ?」と聞いたので、「俺は本当はシャイなんだよ!」と叫んだ。
「そうなのか。その割にはヤるの、好きだな」
「す、好きって……! アンタの匂い嗅ぐと、訳分かんなくなってああなるんだよ!」
揶揄うように言われて、俺は真っ赤になってそう叫んだ。すると、京一郎はこっくり頷いて「俺もそうだ」と応えた。
「アルファはオメガの匂いに惹かれるものだが、運命の番の匂いは特別だ。公園でお前と会う前から良い香りがしていたから、どこかで花でも咲いているのかと思ったんだ」
「花……」
確かに、京一郎の香りは花のものに似ている。俺の匂いも彼にとってそうなのだと知って、ちょっと嬉しかった。
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