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6章 メタモルフォーゼ

37 互いだけの特別

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「すげえ、『よかったexcellent』」

 大きく上下する真王の背中を撫でて、労う。くたくただが、このままずっと深いところでつながっていたい。

「俺も褒められながらすんの良過ぎて、中出ししちゃった。精液もチョコも、流そ」
「破れ鍋だから、平気だ」
「いや腹痛くなるって」

 真王は夕夜の望みを知ってか知らずか、性器を抜かずに夕夜を抱え上げた。
 よろめく素振りもなく、浴室へ移動する。

 「待てstay」とコマンドを出しても、たぶん効かない。ダイナミクスが満たされてパラメータ値が安定し、サブに戻った感覚がある。

「サブってこんな感じなんだな。コマンド出される側経験したし、次はスイッチなしのプレイもうまくできる気がするわ。普段ドムの俺でもサブスペース入れただろ、夕夜さんにもあの気持ちよさ味わわせてあげたい」

 真王もドムに戻ったのだろう。気の早い話をしながら、夕夜を浴槽の縁に下ろす。

「ぁ、」

 名残惜しくも結合が解けた。とぷりと、後腔から甘い白濁が流れ出る。その感触にまだ敏感な身体が反応し、熱っぽい息を吐く。

「……もっかいしてえ」

 真王がシャワーヘッドをゴトッと落とす。夕夜が素直だと気味が悪いか?

「しよ。しよう。プレイ? セックス? 俺、ドムでもサブでも夕夜さんのパートナーになるわ。夕夜さんはどっちがいい?」

 かと思うと、上擦った声で問われた。
 夕夜は体力回復も兼ねて思案する。
 コマンドを使って、支配し支配されるのではなく、愛し愛されたいという欲求を満たし合うのがプレイだと知った。

 ふつうのサブなら、「このドム限定でサブらしくできる」のが運命と言える。
 でもスイッチの夕夜にとっては、スイッチできて、どちらのパラメータも満たせる――まるごと愛し合える男こそが運命の相手だ。

 プレイしたくてスイッチできた。スイッチできたから、戻ってもプレイできる。
 愛されているから愛することを許される。愛しているから愛を受け入れられる。

 また褒め倒すのもいいし、彼限定で素直になってやる気もある。
 両方、叶えられる。そんな運命のパートナーが、目の前にいる。

 自主的に「待て」する真王に、妖艶に笑いかける。わかりきっている答えを告げた。

「真王がいい」


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