19 / 37
にゃあああにゃあああにゃあああ!
しおりを挟む
夜な夜な。
人々が寝静まる頃、カフェはひっそりと散歩に出掛けます。
カフェ「んー……!すっかり昼夜逆転ねえ」のびー
カフェは屋根から屋根へと、遊ぶように移動します。
カフェ「今夜は、どこに忍び込んで悪戯してやろうかしら」
まったく悪い猫です。
カフェ「そろそろ壁に、お前たちは地獄に堕ちる、とでも書いてみようかしらね」るんるん
しかも、かなりの性悪です。
カフェ「おやまあ」
さて。
カフェは、真夜中なのに明かりが見える家を見つけました。
カフェ「こんな夜遅くに、何をしているのかしらねえ」わくわく
しゃんと胸を張って、かかとを上げて、尻尾をリズム良く揺らしながら、おしとやかに明かりのある家に近づきます。
カフェ「こんばんにゃ」のぞき
二階の窓をおまじないを使って開けると、中へ忍び込み、慎重に一階へ降りました。
カフェ「ここ、時計屋さんなのね」
部屋の中には、いろんな形をした時計が、一定の間隔で並んでいました。
カフェ「へえ。中々いいじゃない」
素敵な時計ばかりで、思わずうっとり。
カフェ「なんてのはいいの。憂さ晴らしに悪戯しなきゃ」
カフェはそう言って、明かりの見える部屋の奥へと向かいました。
するとそこには、若い青年がひとり、しかめっ面で時計とにらめっこしていました。
カフェ「時計の修理でもしているのかしら?」
いきなり。
青年は手元にある時計を、手に持つ工具で叩き壊しました。
カフェ「あらやだ」
何度も何度も叩くので、飛び散った破片の一つが、カフェの額に勢いよく当たりました。
なので、つい、カフェは声を漏らしてしまいました。
テクア「何だお前。どこから忍び込んだ」
カフェは、つん、と無視してやりました。
テクア「にしても。ははは!お前変な模様をしているな!」
その言葉を聞いて、にゃんだふるおにゃんこきっく、を青年の顔面にくれてやりました。
テクア「ったあ!何すんだお前!」
青年はカッとなって工具を構えましたが、ハッとなってそれを机に置きました。
テクア「邪魔しないでくれ。俺は忙しいんだ」
カフェ「なら。なおのこと、邪魔してやるわ」ふふっ
テクア「俺はな。今、最後の仕事をしているんだ」
カフェ「若いのに最後?辞める気?」
テクア「もう長くない幼馴染みがいてな。指輪の代わりに、最高の時計を渡すと約束したんだ」
カフェ「濃い顔に似合わず、にゃんともシャレオッティね」
テクア「俺、顔は濃いけどさ、お洒落には自信があるんだぜ。子供の時から、ずっと時計に夢中だったからさ」
カフェ「ふーん」
テクア「だから今まで、いろんな形のお洒落な時計を作ってきた。でもさ、この時世に時計なんか売れないし、幼馴染みは死にかけだし。もう、わけわかめだぜ!」どんっ!
カフェ「呪われてんじゃないの?」
テクア「親も早くに亡くしたし。俺、もしかして呪われてる?」
カフェ「気づいた?」
テクア「はー……。もいいか、幼馴染みには悪いけど、このまま引退しよう」
カフェ「甘ったれんじゃにゃいよ!」
ねこぺちん!
テクア「え」
カフェ「ふにゃしゃふにゃららにゃにゃあご!」ふしゃあ!
残念なことに、カフェは言葉を話すつもりがないので。
青年にはずっと、こうしか聞こえていません。
カフェ「ということで、私をデルモにするといいわ」
テクア「……そうだ!猫の時計にしよう!」
カフェ「世話の焼ける坊やね」やれやれ
それから、カフェが毎晩訪れ。
ある夜、青年は遂に時計を完成させました。
テクア「っしゃできたあ!変な模様の猫時計!」
完成した時計は、カフェを模した猫が膝を曲げて踏ん張り、ネズミの形をした時計を頭上にかかげているという、それはもう見たくも触りたくも貰いたくもな……。
こほん。それはそれはお洒落な時計に仕上がりました。
カフェ「呆れたわ。どうしてこんなことになったのよ」
テクア「うんうん、これは見事な出来、まさしく最高だぜ!」ふふん
カフェ「呪いのせいにしといてやりましょう」
テクア「時間が惜しい。こっそり、今から枕元に届けよう」
カフェ「そうなさい」
テクア「お前も来るか?」
カフェはその言葉に、一度頷きました。
テクア「今更だけど、とても不思議な猫だ。まるで、人の言葉を理解しているようだ」
カフェ「これでも魔女なのよ」
さてさて。
青年とカフェは、幼馴染みの住む家に着きました。
テクア「不思議で利口な猫よ。どこからか忍び込んで、鍵を開けておくれ」
カフェ「おまじないで、ほい」
カフェは続けて、扉を開けてやりました。
テクア「お前、まさか魔女の使いか?」
カフェ「さ、行くわよ」ととと
テクア「あ、待ってくれ」そろー
幼馴染みの両親に見つからぬよう、息を殺して、彼女の部屋に入りました。
そうしたら、彼女は起きていました。
チカ「テクア。あなたテクアね」
テクア「しっー」
テクアは、ベッドに横たわるチカの隣に座りました。
テクア「どうした?眠れないのか?」
チカ「ええ。あなたが恋しくて毎晩」
テクア「俺も同じだ。恋しくて眠れない夜を過ごしてきた」
チカ「こうして会えて嬉しいわ」
テクア「俺もさ」
テクアとチカは、優しく抱き合いました。
テクア「でも、見つかったらおしまいだ。君の両親は、稼ぎの悪い俺が嫌いだから」
チカ「それは違うわ」
テクア「え?」
チカ「両親は、私達が深く傷つき悲しまないように、敢えてあなたを遠ざけたのよ」
テクア「そうだったのか」
チカ「でも、そうする必要はもうないわ」
テクア「それはどういうことだ?」
チカ「わかるの。私の命の灯火が、あと少しで消えること」
テクアは体を起こして、その言葉に驚きます。
テクア「そんな、もう少し頑張ってくれ。俺が家にある時計を全部売って、有名な医者を連れてくるから」
チカ「有名な医者?」
テクア「ああ、見るだけでその患者が助かるかどうか分かるんだ。何よりも、薬草一つでどんな病気も治すんだぜ」
チカ「そう。けれど、それも無理ね」
テクア「どうして」
チカ「私は、助からない人だと思うから」
テクア「そんなの、見てもらわなきゃ……くそっ。どうして諦めるんだよ」
チカ「諦めたわけじゃないわ。先に、天国に行ってあなたを待つのよ」
テクア「天国で……」
チカ「天国なら、辛い思いをせずに、ずっと一緒にいられるでしょう?」
テクア「そうだね」
カフェ「天国なんて、本当にあると思う?」
テクア「!」ふりむき
カフェは、構わず語りかけます。
カフェ「メルヘンのように、そう都合よくいくかしらねえ」
テクア「お前、いきなり何を言い出すんだ」
チカ「猫さん」
カフェ「私は魔女よ」
テクア「魔……魔女だって?」
チカ「魔女さん。天国は、必ずあるわ」
魔女「どうしてわかるの?」
チカ「信じているから」
魔女「そう。あなたは信心深いのね」
テクア「おいお前。魔女と言ったな」
カフェ「ええ」
テクア「魔女はチカを救うことができるか?」
カフェ「…………」
チカ「テクア」
カフェ「できるわ」
テクア「ならお願いする」
カフェ「…………」
テクア「どうした?おい」
カフェ「おまじないはね。かける人の想いが強ければ、かける人とかけられる人を繋ぐ確かな絆があれば、不可能だって可能にできるわ」
テクア「つまりどういうことだ」
カフェ「今のあたしには、あんたに対する強い想いもなく、あんたとの確かな絆もない」
テクア「じゃあ、やっぱり無理ってことじゃないか……」
カフェ「そうね」
テクア「この……この意地の悪い魔女め!たぶらかしやがったな!!」
カフェ「は?あたしは」
テクア「でていけえ!そうしないと、お前なんか火炙りにしてやるぞ!さっさとでていけえ!!」
カフェ「!」びくっ
チカ「テクア。テクア、落ち着いて」
カフェはその場から逃げるように立ち去り、その家から急いで出ました。
カフェ「二人を救いたかっ……たなんて。はんっ、そんな馬鹿なことないわ」
背後の家からは怒声が止まず、カフェはそれを煩わしく思い、そこからさっさと離れました。
カフェ「あたしは何がしたいの。どうして生きているの」
カフェは道の真ん中で、ひとり、朧げな黄金色の満月に向かって、ひとしきり鳴き叫びました。
おっちゃん「うるせえぞ!ばかやろう!」
カフェ「あん?お前を頭から食ってやろうか!」
おっちゃん「なんだと、どこのどいつだ!殺してやる!」
カフェ「殺れるもんなら殺ってみな!」
と吐き捨てて、カフェは家に帰ると、チトとココの間に落ち着きました。
カフェ「そもそも、あんた達にさえ出会わなければ。出会わなければ……」
カフェは軽く、チトの頬を爪で引っ掻いてやりました。
すると、少し血が出てしまいました。
カフェ「ふふふ。このまま目玉を抉って、舌を噛み切って、喉を引き裂いてやろうか」
チト「殺すぞ」ぎろ
カフェ「あらおはよう」
チト「夜中に人引っ掻いてぶつくさ殺人計画語って何があらおはようだこのクサレババア」
チトは、両手で握り潰すように、カフェの喉を絞めます。
カフェ「結構……。殺りたきゃ……殺りな……さ……」
チト「…………」
チトは、ふと、カフェの首から手を離してやりました。
カフェ「けほっ!こほっ!」
チト「危ね。楽に死なせるとこだった」ふー
カフェ「殺しなさいよ。どんな方法でもいいから、今すぐに!」
チト「やだし」
カフェ「どうしてよ!」
チト「ココが見てる前で、じっくりいたぶって、最後にかまどの業火に投げてやるから。今は無理」
カフェ「そんなくだらな」
チトはカフェの頭を全身を、息が吸えなくなるほど、強く抱きしめました。
チト「静かにして、ココが起きるでしょう。それに何様のつもり?ワガママ言わないの」
カフェ「ぷはっ」
チト「まったく。狂ったババアの余生を面倒見るのは、地獄だわ……」ふあー…
カフェ「離して」
チト「やだし……」ねむねむ
カフェ「…………」
チト「…………」すや…
カフェは、チトの頬の傷をペロリと舐めて癒すと、そのまま、すやすやと眠りましたとさ。
続け!
人々が寝静まる頃、カフェはひっそりと散歩に出掛けます。
カフェ「んー……!すっかり昼夜逆転ねえ」のびー
カフェは屋根から屋根へと、遊ぶように移動します。
カフェ「今夜は、どこに忍び込んで悪戯してやろうかしら」
まったく悪い猫です。
カフェ「そろそろ壁に、お前たちは地獄に堕ちる、とでも書いてみようかしらね」るんるん
しかも、かなりの性悪です。
カフェ「おやまあ」
さて。
カフェは、真夜中なのに明かりが見える家を見つけました。
カフェ「こんな夜遅くに、何をしているのかしらねえ」わくわく
しゃんと胸を張って、かかとを上げて、尻尾をリズム良く揺らしながら、おしとやかに明かりのある家に近づきます。
カフェ「こんばんにゃ」のぞき
二階の窓をおまじないを使って開けると、中へ忍び込み、慎重に一階へ降りました。
カフェ「ここ、時計屋さんなのね」
部屋の中には、いろんな形をした時計が、一定の間隔で並んでいました。
カフェ「へえ。中々いいじゃない」
素敵な時計ばかりで、思わずうっとり。
カフェ「なんてのはいいの。憂さ晴らしに悪戯しなきゃ」
カフェはそう言って、明かりの見える部屋の奥へと向かいました。
するとそこには、若い青年がひとり、しかめっ面で時計とにらめっこしていました。
カフェ「時計の修理でもしているのかしら?」
いきなり。
青年は手元にある時計を、手に持つ工具で叩き壊しました。
カフェ「あらやだ」
何度も何度も叩くので、飛び散った破片の一つが、カフェの額に勢いよく当たりました。
なので、つい、カフェは声を漏らしてしまいました。
テクア「何だお前。どこから忍び込んだ」
カフェは、つん、と無視してやりました。
テクア「にしても。ははは!お前変な模様をしているな!」
その言葉を聞いて、にゃんだふるおにゃんこきっく、を青年の顔面にくれてやりました。
テクア「ったあ!何すんだお前!」
青年はカッとなって工具を構えましたが、ハッとなってそれを机に置きました。
テクア「邪魔しないでくれ。俺は忙しいんだ」
カフェ「なら。なおのこと、邪魔してやるわ」ふふっ
テクア「俺はな。今、最後の仕事をしているんだ」
カフェ「若いのに最後?辞める気?」
テクア「もう長くない幼馴染みがいてな。指輪の代わりに、最高の時計を渡すと約束したんだ」
カフェ「濃い顔に似合わず、にゃんともシャレオッティね」
テクア「俺、顔は濃いけどさ、お洒落には自信があるんだぜ。子供の時から、ずっと時計に夢中だったからさ」
カフェ「ふーん」
テクア「だから今まで、いろんな形のお洒落な時計を作ってきた。でもさ、この時世に時計なんか売れないし、幼馴染みは死にかけだし。もう、わけわかめだぜ!」どんっ!
カフェ「呪われてんじゃないの?」
テクア「親も早くに亡くしたし。俺、もしかして呪われてる?」
カフェ「気づいた?」
テクア「はー……。もいいか、幼馴染みには悪いけど、このまま引退しよう」
カフェ「甘ったれんじゃにゃいよ!」
ねこぺちん!
テクア「え」
カフェ「ふにゃしゃふにゃららにゃにゃあご!」ふしゃあ!
残念なことに、カフェは言葉を話すつもりがないので。
青年にはずっと、こうしか聞こえていません。
カフェ「ということで、私をデルモにするといいわ」
テクア「……そうだ!猫の時計にしよう!」
カフェ「世話の焼ける坊やね」やれやれ
それから、カフェが毎晩訪れ。
ある夜、青年は遂に時計を完成させました。
テクア「っしゃできたあ!変な模様の猫時計!」
完成した時計は、カフェを模した猫が膝を曲げて踏ん張り、ネズミの形をした時計を頭上にかかげているという、それはもう見たくも触りたくも貰いたくもな……。
こほん。それはそれはお洒落な時計に仕上がりました。
カフェ「呆れたわ。どうしてこんなことになったのよ」
テクア「うんうん、これは見事な出来、まさしく最高だぜ!」ふふん
カフェ「呪いのせいにしといてやりましょう」
テクア「時間が惜しい。こっそり、今から枕元に届けよう」
カフェ「そうなさい」
テクア「お前も来るか?」
カフェはその言葉に、一度頷きました。
テクア「今更だけど、とても不思議な猫だ。まるで、人の言葉を理解しているようだ」
カフェ「これでも魔女なのよ」
さてさて。
青年とカフェは、幼馴染みの住む家に着きました。
テクア「不思議で利口な猫よ。どこからか忍び込んで、鍵を開けておくれ」
カフェ「おまじないで、ほい」
カフェは続けて、扉を開けてやりました。
テクア「お前、まさか魔女の使いか?」
カフェ「さ、行くわよ」ととと
テクア「あ、待ってくれ」そろー
幼馴染みの両親に見つからぬよう、息を殺して、彼女の部屋に入りました。
そうしたら、彼女は起きていました。
チカ「テクア。あなたテクアね」
テクア「しっー」
テクアは、ベッドに横たわるチカの隣に座りました。
テクア「どうした?眠れないのか?」
チカ「ええ。あなたが恋しくて毎晩」
テクア「俺も同じだ。恋しくて眠れない夜を過ごしてきた」
チカ「こうして会えて嬉しいわ」
テクア「俺もさ」
テクアとチカは、優しく抱き合いました。
テクア「でも、見つかったらおしまいだ。君の両親は、稼ぎの悪い俺が嫌いだから」
チカ「それは違うわ」
テクア「え?」
チカ「両親は、私達が深く傷つき悲しまないように、敢えてあなたを遠ざけたのよ」
テクア「そうだったのか」
チカ「でも、そうする必要はもうないわ」
テクア「それはどういうことだ?」
チカ「わかるの。私の命の灯火が、あと少しで消えること」
テクアは体を起こして、その言葉に驚きます。
テクア「そんな、もう少し頑張ってくれ。俺が家にある時計を全部売って、有名な医者を連れてくるから」
チカ「有名な医者?」
テクア「ああ、見るだけでその患者が助かるかどうか分かるんだ。何よりも、薬草一つでどんな病気も治すんだぜ」
チカ「そう。けれど、それも無理ね」
テクア「どうして」
チカ「私は、助からない人だと思うから」
テクア「そんなの、見てもらわなきゃ……くそっ。どうして諦めるんだよ」
チカ「諦めたわけじゃないわ。先に、天国に行ってあなたを待つのよ」
テクア「天国で……」
チカ「天国なら、辛い思いをせずに、ずっと一緒にいられるでしょう?」
テクア「そうだね」
カフェ「天国なんて、本当にあると思う?」
テクア「!」ふりむき
カフェは、構わず語りかけます。
カフェ「メルヘンのように、そう都合よくいくかしらねえ」
テクア「お前、いきなり何を言い出すんだ」
チカ「猫さん」
カフェ「私は魔女よ」
テクア「魔……魔女だって?」
チカ「魔女さん。天国は、必ずあるわ」
魔女「どうしてわかるの?」
チカ「信じているから」
魔女「そう。あなたは信心深いのね」
テクア「おいお前。魔女と言ったな」
カフェ「ええ」
テクア「魔女はチカを救うことができるか?」
カフェ「…………」
チカ「テクア」
カフェ「できるわ」
テクア「ならお願いする」
カフェ「…………」
テクア「どうした?おい」
カフェ「おまじないはね。かける人の想いが強ければ、かける人とかけられる人を繋ぐ確かな絆があれば、不可能だって可能にできるわ」
テクア「つまりどういうことだ」
カフェ「今のあたしには、あんたに対する強い想いもなく、あんたとの確かな絆もない」
テクア「じゃあ、やっぱり無理ってことじゃないか……」
カフェ「そうね」
テクア「この……この意地の悪い魔女め!たぶらかしやがったな!!」
カフェ「は?あたしは」
テクア「でていけえ!そうしないと、お前なんか火炙りにしてやるぞ!さっさとでていけえ!!」
カフェ「!」びくっ
チカ「テクア。テクア、落ち着いて」
カフェはその場から逃げるように立ち去り、その家から急いで出ました。
カフェ「二人を救いたかっ……たなんて。はんっ、そんな馬鹿なことないわ」
背後の家からは怒声が止まず、カフェはそれを煩わしく思い、そこからさっさと離れました。
カフェ「あたしは何がしたいの。どうして生きているの」
カフェは道の真ん中で、ひとり、朧げな黄金色の満月に向かって、ひとしきり鳴き叫びました。
おっちゃん「うるせえぞ!ばかやろう!」
カフェ「あん?お前を頭から食ってやろうか!」
おっちゃん「なんだと、どこのどいつだ!殺してやる!」
カフェ「殺れるもんなら殺ってみな!」
と吐き捨てて、カフェは家に帰ると、チトとココの間に落ち着きました。
カフェ「そもそも、あんた達にさえ出会わなければ。出会わなければ……」
カフェは軽く、チトの頬を爪で引っ掻いてやりました。
すると、少し血が出てしまいました。
カフェ「ふふふ。このまま目玉を抉って、舌を噛み切って、喉を引き裂いてやろうか」
チト「殺すぞ」ぎろ
カフェ「あらおはよう」
チト「夜中に人引っ掻いてぶつくさ殺人計画語って何があらおはようだこのクサレババア」
チトは、両手で握り潰すように、カフェの喉を絞めます。
カフェ「結構……。殺りたきゃ……殺りな……さ……」
チト「…………」
チトは、ふと、カフェの首から手を離してやりました。
カフェ「けほっ!こほっ!」
チト「危ね。楽に死なせるとこだった」ふー
カフェ「殺しなさいよ。どんな方法でもいいから、今すぐに!」
チト「やだし」
カフェ「どうしてよ!」
チト「ココが見てる前で、じっくりいたぶって、最後にかまどの業火に投げてやるから。今は無理」
カフェ「そんなくだらな」
チトはカフェの頭を全身を、息が吸えなくなるほど、強く抱きしめました。
チト「静かにして、ココが起きるでしょう。それに何様のつもり?ワガママ言わないの」
カフェ「ぷはっ」
チト「まったく。狂ったババアの余生を面倒見るのは、地獄だわ……」ふあー…
カフェ「離して」
チト「やだし……」ねむねむ
カフェ「…………」
チト「…………」すや…
カフェは、チトの頬の傷をペロリと舐めて癒すと、そのまま、すやすやと眠りましたとさ。
続け!
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
マジカルメタモルショータイム!
夜狐紺
ファンタジー
――魔法と変身の、ダークメルヘン。
中学生の私が突如召喚された先は、ファンタジーな異世界の華やかなマジックショーの舞台。そこで私はピンクの髪に青い瞳の、まだ十才ぐらいの魔法使いの女の子によって『ケモノ』の姿に変えられてしまう。人間を変身させる彼女のマジックは大人気で、元に戻れないまま私は彼女のアシスタントとして、魔法の世界を連れ回されることになる――。
おもちゃにお菓子に動物に、変化魔法が大好きなマジシャン『フィー』と、そのパートナーの元人間の兎獣人。旅する二人と様々な魔法使い達の出会いが織りなす、『魔法』と『変身』を巡るダークファンタジー!
※小説家になろう・pixiv・エブリスタにも公開しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる