メルヘンなんてクソくらえ!

旭ガ丘ひつじ

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サラダは食べないとね!

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それは麗らかな朝のことでした。

チト「誰よ」

チシャノ「チシャノラプンツェル」

チト「チシャノ……チシャノって誰よ。聞いたことないけど」

チシャノ「サラダ?」く~

チト「あー。あのね、ここ私の家なの」

チシャノ「そっか」

チト「うん」

チシャノ「この本、面白そうでね。一緒に読む?」

チト「死んでもやだし」

チシャノ「そっか」ペラ

チト「ここで読む気?」

チシャノ「ここって図書館なのね。知ってる?」

チト「ここって私の家なのね。知ってる?」

チシャノ「そうなんだね」

チト「もうね。それ、持って行っていいから、とっとと出ていって下さい」

チシャノ「そっか」パタム

スタスタ……パタム。

チト「というか鍵!どうやって開けた!」

ココ「どうしたの?」ねむねむ

チト「おはよう。なんでもないわ」

チト、カフェ・プリンセスに出勤です。

チト「あ」

チシャノ「や」てをふりふり

チト「この町の人?」

チシャノ「んーん」くびふりふり

チト「何しに来たわけ?」

チシャノ「私、迷子なのね」

チト「脳ミソが?」

店長「あかさたな」

チト「こいつよりはマシか。あ、このカフェサービスだってよ」こと

チシャノ「ありがとうだよね」

チト「そうだね」

店長「はまやらわ」

チト「やだし。あなたが相手しなさいよ」

店長「いかしちみ」かたぽん

チト「約束だからね。……ったく、金はズルいよ店長」おすわり

チシャノ「美味しいんだねー」にこー

チト「そーだーねー。で、どうして迷子なわけ?」

チシャノ「私ね。塔の上に閉じ込められてたのね。それでね、ある日ね、出会った王子様に恋したの」

チト「からの?」

チシャノ「でもね。王子様突き落とされたのね。胸に茨のトゲが刺さって、それトラウマなのね。大変なの」

チト「わけわかめこんぶのり」

チシャノ「王子様に嫌われるしね、魔女怖いしね、助けてほしいの」しゅん…

チト「魔女……?」

チシャノ「ん」こくこく

チト「関わりたくねー」あたまかかえ

チシャノ「ごめんね。もう行くね、迷惑だよね」

チト「待ちなさい」がしっ

チシャノ「?」

チト「このサラダの代金、きちんと払いなさい」

チシャノ「どうしようね。どうしよう」おろおろ

チト「金ないの?」

チシャノ「ん」ぺこぺこ

チト「っつあ!クソったれ!!」

その夜。
チトはチシャノを家に、渋い顔をしながら連れて帰りました。

ココ「魔女……」びくびく

カフェ「これは驚いたわね」

チシャノ「猫しゃべるんだね」

カフェ「その魔女、どれほど恐ろしいの?」

チシャノ「なんかね、すごいの」

チト「もう疲れたわ……」ずーん

カフェ「チトをここまで追い詰めるとは、あんた一人で勝てるんじゃないの?」

チシャノ「無理なの」しくしく

カフェ「どうしようかしら」

チト「関わりたくない」

カフェ「同じく」

ココ「でも……困ってるんだよ!」

チト「ココ」

ココ「助けてあげよう!」

チト「あなた、いつの間にか立派になって!」うるうる

カフェ「食われるよ」

ココ「うう……」うるうる

チト「このババア!」くびしめ

カフェ「ふにゃにゃにゃ!」おにゃんこぱんち

チシャノ「迷惑だよね。もういいの」

チト「チシャノ」

チシャノ「なあに?」

チト「塔に金銀財宝はある?」

チシャノ「ん」

チト「よし行くわ」

カフェ「現金な子」

チト「この世の中、金が全てだし」

ココ「それで、どうするつもり?」

チト「どうもこうもどうするよ」ちら

カフェ「あたしを見られても、記憶がないから策はないわよ」

チト「ちっ!いつも肝心な時に役に立たないんだから」

カフェ「べー」

三人と一匹は思案を重ね、結局諦めることにしましたとさ。

続け!
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