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腹くくって覚悟しやがれ!
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明くる朝。
ココに家の一階の掃除を任せ、チトは金稼ぎの情報を探しに町に出ました。
チト「ちっ、どこもしけてやがる」
カフェ「にゃーん」
チト「その時報やめろ」
チトは色々な店を調査しましたが、どいつもこいつも死んだような顔しやがって、とてもヘドが出る思いでした。
チト「はあ……ここしかないか」
チトは魔女の助言に、ものすごく嫌々従って、かなり渋々と町役場へとやってきました。
チト「子供は相手にしない?上等よ、逆に相手してやるわ」
結果というか結局。
チトは追い出されることになりましたが、そこへ、ヒゲを好き勝手に生やした汚い大きなおじさんが話しかけてきました。
おじさん「どうした。仕事を探しているのか?」
チト「だったら何よ。おじさんみたいな人間が、まともな仕事を紹介してくれるわけないよね?」
おじさん「ああ、おじさんには紹介できない」
チト「だったら失せな」
おじさん「そう言わずに、ひとつ聞いてくれないか」
チト「何よ」
おじさん「この町に唯一ある、カフェ・プリンセスを知っているか?」
チト「で?」
おじさん「そこではいつも、様々な仕事の町人達が集まって、色々な情報を交わしているんだ。実はカフェとは、人と人が交流する場所なんだよ」
チト「へー、それマジ?」
おじさん「一度行ってみるといい。ただし、危ない人には近づいちゃ駄目だぞ」
チト「おじさんみたいな?」
おじさん「ははは!そうそう」
チト「ま、ありがとう。そしてさようなら」すたすた
おじさん「待ちなさい」
チト「もー何よ」くるり
おじさん「これを、君にプレゼントしよう」
チトは羊毛で作られた、可愛い女の子のお人形さんを、一体もらいました。
フェルトおじさん「おじさんはそいつを作るのが仕事でね。出会いの記念にどうぞ」
チト「いいの?」ぎゅ
フェルトおじさん「大切にしてあげてね」
チト「うん。約束します」ぎゅう
フェルトおじさん「では、気を付けて」すたすた
おじさんは、とてもいい人でした。
チトは、少しは態度を改めるべきだな、と。
ほんの少しだけ思いました。
カフェ「にゃーん」
チト「お、丁度お昼ね」
チトは一度家に帰ると、ココを連れて、カフェ・プリンセスへと向かいました。
ココ「サンドウィッチだって、美味しそう!」
チト「財宝も売り切った。ここで必ず仕事見つけないとね」
チトはサンドウィッチを貪りながら、耳を最大限に活用しました。
ゴロツキ「おい、今夜だぜ」
ゴロツキー「ああ、馬鹿共の殴り合いか」
ゴロツキ「金持ちがお忍びで訪れて、賞金をくれるんだぞ」
ゴロツキー「だからって参加したら、命がいくつあっても足らんよ」
チト「右手が疼くわ」
ココ「え?」
チトは直感いえ本能的に、これは金になる、と確信しました。
そして家に帰り夜を待って、カフェに相談をしました。
チト「私は殴り合う。おまじないをかけろ」
ココ「チト、それはやめてよ!」
カフェ「そう。やめなさい」
チト「やるってもう決めたのよ」
カフェ「そもそもあんた、魔女もおまじないも嫌いでしょう」
チト「金の為なら、何だってするわ。あの時みたいにね」
カフェ「あたしの家でのこと?」
チト「そ」
カフェ「はぁ……。駄目なものは駄目よ」
ココ「そうだよ、やめてよ」
ぺちん!
チト「私はね、覚悟してここにいるの!」
ココ「でもお……」グスッ
チト「お姉ちゃんが傷つくのが嫌か」
ココ「うん……」しくしく
チト「私は、ココが鳥かごに入れられても、一ヶ月、死ぬ気で働いた。辛いけれど覚悟して、耐えて耐えてね!」
ココ「うう……」しくしく
チト「泣くな!強くなりなさい!」
ココ「ん……」ぐすっ
チト「男でしょう。ほら、シャキッとしなさい」なでなで
ココ「はい!」シャキッ
チト「覚悟はできたね」
ココ「うん!」
チト「よし!さすが私の弟!」
カフェ「チト」
チト「やれ」
カフェ「……嫌」ぷい
チト「さあやれ!私達姉弟の覚悟を無駄にするか!」
カフェ「嫌な予感がするのよ!」
チト「どんな残酷な運命も受け入れて乗り越える。今までだって、これからもね!」
カフェ「もう、わかりました。いいでしょう」
カフェが例のおまじないを唱えると、チトの中で力がたぎりましたとさ。
続け!
ココに家の一階の掃除を任せ、チトは金稼ぎの情報を探しに町に出ました。
チト「ちっ、どこもしけてやがる」
カフェ「にゃーん」
チト「その時報やめろ」
チトは色々な店を調査しましたが、どいつもこいつも死んだような顔しやがって、とてもヘドが出る思いでした。
チト「はあ……ここしかないか」
チトは魔女の助言に、ものすごく嫌々従って、かなり渋々と町役場へとやってきました。
チト「子供は相手にしない?上等よ、逆に相手してやるわ」
結果というか結局。
チトは追い出されることになりましたが、そこへ、ヒゲを好き勝手に生やした汚い大きなおじさんが話しかけてきました。
おじさん「どうした。仕事を探しているのか?」
チト「だったら何よ。おじさんみたいな人間が、まともな仕事を紹介してくれるわけないよね?」
おじさん「ああ、おじさんには紹介できない」
チト「だったら失せな」
おじさん「そう言わずに、ひとつ聞いてくれないか」
チト「何よ」
おじさん「この町に唯一ある、カフェ・プリンセスを知っているか?」
チト「で?」
おじさん「そこではいつも、様々な仕事の町人達が集まって、色々な情報を交わしているんだ。実はカフェとは、人と人が交流する場所なんだよ」
チト「へー、それマジ?」
おじさん「一度行ってみるといい。ただし、危ない人には近づいちゃ駄目だぞ」
チト「おじさんみたいな?」
おじさん「ははは!そうそう」
チト「ま、ありがとう。そしてさようなら」すたすた
おじさん「待ちなさい」
チト「もー何よ」くるり
おじさん「これを、君にプレゼントしよう」
チトは羊毛で作られた、可愛い女の子のお人形さんを、一体もらいました。
フェルトおじさん「おじさんはそいつを作るのが仕事でね。出会いの記念にどうぞ」
チト「いいの?」ぎゅ
フェルトおじさん「大切にしてあげてね」
チト「うん。約束します」ぎゅう
フェルトおじさん「では、気を付けて」すたすた
おじさんは、とてもいい人でした。
チトは、少しは態度を改めるべきだな、と。
ほんの少しだけ思いました。
カフェ「にゃーん」
チト「お、丁度お昼ね」
チトは一度家に帰ると、ココを連れて、カフェ・プリンセスへと向かいました。
ココ「サンドウィッチだって、美味しそう!」
チト「財宝も売り切った。ここで必ず仕事見つけないとね」
チトはサンドウィッチを貪りながら、耳を最大限に活用しました。
ゴロツキ「おい、今夜だぜ」
ゴロツキー「ああ、馬鹿共の殴り合いか」
ゴロツキ「金持ちがお忍びで訪れて、賞金をくれるんだぞ」
ゴロツキー「だからって参加したら、命がいくつあっても足らんよ」
チト「右手が疼くわ」
ココ「え?」
チトは直感いえ本能的に、これは金になる、と確信しました。
そして家に帰り夜を待って、カフェに相談をしました。
チト「私は殴り合う。おまじないをかけろ」
ココ「チト、それはやめてよ!」
カフェ「そう。やめなさい」
チト「やるってもう決めたのよ」
カフェ「そもそもあんた、魔女もおまじないも嫌いでしょう」
チト「金の為なら、何だってするわ。あの時みたいにね」
カフェ「あたしの家でのこと?」
チト「そ」
カフェ「はぁ……。駄目なものは駄目よ」
ココ「そうだよ、やめてよ」
ぺちん!
チト「私はね、覚悟してここにいるの!」
ココ「でもお……」グスッ
チト「お姉ちゃんが傷つくのが嫌か」
ココ「うん……」しくしく
チト「私は、ココが鳥かごに入れられても、一ヶ月、死ぬ気で働いた。辛いけれど覚悟して、耐えて耐えてね!」
ココ「うう……」しくしく
チト「泣くな!強くなりなさい!」
ココ「ん……」ぐすっ
チト「男でしょう。ほら、シャキッとしなさい」なでなで
ココ「はい!」シャキッ
チト「覚悟はできたね」
ココ「うん!」
チト「よし!さすが私の弟!」
カフェ「チト」
チト「やれ」
カフェ「……嫌」ぷい
チト「さあやれ!私達姉弟の覚悟を無駄にするか!」
カフェ「嫌な予感がするのよ!」
チト「どんな残酷な運命も受け入れて乗り越える。今までだって、これからもね!」
カフェ「もう、わかりました。いいでしょう」
カフェが例のおまじないを唱えると、チトの中で力がたぎりましたとさ。
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