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十五話 実習ユニコーン編
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生き物はストレスに対して、神経系、免疫系、内分泌系、これら三つの相関作用によって心身を通常の状態に戻す。
このようにストレスの原因が去れば元の状態に自然と戻ることを恒常性という。
しかし、過度なストレスを受けたり長期に渡ってストレスを受け続ければ、恒常性の働きが異常をきたし、三つのバランスを崩してしまう。
その結果、免疫力が低下したり、自律神経が乱れたりして、心身に様々な障害が出てしまう。
ストレスの原因、ストレッサーは大きく三つに分かれる。
一つは物理的、環境によるもの。
暑い寒い、騒音、ウイルス等。
二つめは生理的なもの。
栄養不足、アレルギー原因物質、等による刺激。
三つめは精神的なもの。
精神的苦痛だ。
ユニコーンはストレッサーに弱い繊細な生き物である。
彼らは他種を愛し、相手の心を深く理解する。
心が読めるのか、人が言葉を発する前に行動することも多い。
「ユニコーンに産業経済種がいないのは、さっき言ったようにストレスに弱いためだ。人の作った環境では生きていけない」
ドワーフ先生は続けて、ユニコーンの役割について教えてくれる。
「彼らの役割は、環境から心身に至るまで、幅広く清らかに浄化することだ」
ユニコーンは後に登場する獅子のように常に移動して生きる。
彼らが移動することで地下水が浄化、清らかに保たれ、それが世界を巡るという。
その恩恵を受けて、この世界は永く穏やなのだとドワーフ先生は力説する。
夏地方に緑があって水に困らないのも彼らの働きによるところが大きい。
僕はこの話を聞いた時、曖昧模糊としたミラクルファンタジーパワーに対して嘲るような疑いを抱いたが、ユニコーンのグルーミングを行い、身をもって知り納得することになる。
その話をする前に、もう少しユニコーンの生態について伝えよう。
「さちさん。ユニコーンの寿命は知っているかな?」
さちさん。
彼女は誰からも名前で呼ばれる。
上浮穴郡久万高原蝶さち。
その理由はこのように名字が難解だからだ。
今でも読めない。
彼女はママと甘えたくなるような二児の母である。
蝶のようにおおらかな愛を持つ。
彼女は両親に子供を任せてこの学校へ通っている。
世の子供達とモンスターの接点になりたいそうだ。
「寿命は百四十年ほどです」
「その間に子は何頭生まれる?」
「一生の最期に一頭だけ産みます」
「どう思う?」
「え?はい、儚いけれど素敵だな、と思います」
「その通りだあ!」
ドワーフ先生はまた泣く。
飽きた、ていうくらいの頻度で泣く。
「ユニコーンは夏地方の草原を巡って一生を終える。百頭近い群れで互いを、深く慈しみ、助け合い生活するのだ」
ドワーフ先生が、深く慈しみ、そこを嗚咽混じりに特に強調する。
ユニコーンはどんな時も仲間を見捨てることがなく、仲間の命が尽きれば涙を流してしばらく寄り添う。
また、先述したが他種もそうして愛する。
怪我を負った動物を介抱したり、花に水をやる姿まで目撃されている。
「彼らは清潔な環境を好み、綺麗な水飲み場を知っている。動物達が彼らを頼って集まることも多い」
ユニコーンが常に移動しているのは、そうした理由のためだ。
浄化された水飲み場を巡って移動している。
そしてもう一つ。
「彼らが移動を続けるのは、なるだけ雨を避けるためだ」
雨は好きでも泥は嫌い。
ユニコーンの最たる特徴であり、鋭い感覚器である一本角で敏感に雨を察知して回避する。
そして、雨が落ち着いて適度に乾燥した頃、浄化された水飲み場を求めてそこへやって来る。
「中山くん。君なら清潔を好むユニコーンがどこで眠るのか、もちろん知っているだろう」
「はい。土上では絶対になく、必ず草の上で眠ります。高齢のものを中心にして、隙間なく身を寄せて輪になって眠ります」
「愛おしいだろう!」
「はい!とても愛おしいです!」
モンスターを誰より愛するこの二人は後に意気投合して飲み仲間となるのだったというのは置いといて話を続けよう。
ユニコーンは身を守るために日が完全に暮れてから眠り夜明け前に起きる。
彼らの体毛は透明で、夜にはすっかり黒闇に紛れる。
また、排泄物とは思えない真珠のような糞を果樹の根本にする。
それは果樹の栄養分となり、そのおかげで立派な果実が育つ。
彼らは謙虚に雑草を主食とし、他種の摂餌を脅かさない。
最後に、彼らは死後も他種に命を繋ぐ。
「それでは各自、作業を始めてください」
マダム先生とユニコーンを見比べる。
彼女に劣らず綺麗だ。
見かけはスラっとした頭にドリルの生えたポニー。
細長く透明な皮毛は光を受けると白銀に煌めいて、真に美しく見える。
のだが、接近すると墨でも染みたみたいな灰色の毛が混じっているのが見えるし、ちょっと生臭い。
これは彼らがストレスで弱っている証で、この様な状態になると自ら人を頼って現れるという。
その為に彼らの生活圏にはフェアリーサークルを備えた保護観察所が幾つか置かれている。
実習は、はむちい同様専用の部屋で行う。
床に人工芝が生えたトリミングテーブルのない部屋だ。
ユニコーンは、それぞれのチームの所へ自ら歩み寄る。
「今日も冷えるな」
「うん少し。不思議だね」
逆瀬川ちゃんも僕と同じに腕を擦る。
それほどひんやりしている。
ユニコーンの体温は夏地方の暑さに抗うように低く冷たい。
トリマーを考えて弱く暖房をかけているのだが、あまり効果はないように思う。
とにかく体を動かすしかない。
僕達は体調チェックを終えて、まずはベーシックの作業を始める。
もつれをチェックしながら、肌が敏感なので全身をピンブラシで、顔をコームで、力加減に気を付けながらしっかりブラッシングを行う。
この時、もしもつれが残っていたら、シャンプーが綺麗に行えなかったり、ドライングが終わった時点で正確に毛を伸ばしたり、余計な時間がかかってしまう。
また、カットの時にきっちりと立毛することが出来ず、毛を綺麗に切り揃えられない。
コーミングで全身のチェックを済ませたら、耳掃除をして次の作業へと移る。
「ふう。これで一段落」
逆瀬川ちゃんが一息つくや、ユニコーンは彼女へ密着した。
移動しようと澄んだ瞳が訴える。
「やっぱり、ユニコーンには僕達の考えが分かるみたいだ」
くすんだ角でも心を読むのは容易いらしい。
しかしこの時、よく分からない行動を一つする。
いつも、どのユニコーンも頭を使って逆瀬川ちゃんを僕へ押しやるのだ。
「おっとと、ごめんね。何でだろう」
「さあ。気にしなくていいよ」
僕は若干の興奮を抑えながら逆瀬川ちゃんの背中越しにユニコーンの体に触れて移動を促す。
逆瀬川ちゃんとユニコーン、まるでどっちをエスコートしているやら。
間もなく、区切られたシャワールームへユニコーンを入れたら、彼の耳に水が入らないよう耳の穴より一回り大きな綿を詰める。
「逆瀬川ちゃん。ベイジングを始めよう」
ベイジングは入浴させる作業。
皮膚や皮毛の汚れを落として体臭を取り除く効果がある。
これがきちんと出来ていなければ、カットの段階でいくらやっても毛が揃わない。
また、汚れが落ちていなければ、油分が埃や汚れを吸い付けて、数時間でもつれてしまう。
「うん。温度チェックも大丈夫」
人の体温より少し低めに温度を調節して、後方よりシャワーをかけて洗っていく。
顔はシャワーの勢いを弱める。
湯をかけるのではなく、湯で洗っていく。
皮膚まで染み込ませることが重要だ。
素洗いがしっかり出来ていないとシャンプーが泡立たない。
たてがみに尻尾、内股、足の指の間や裏の洗い残しにも注意する。
続けてシャンピングを行う。
シャンプーはきめ細かく泡立てる。
爪は立てず、毛を洗うだけでなく、皮膚を洗う。
目や鼻梁周辺の毛は指先を使って、摘まむようにして洗う。
口吻部は臭いを取り除くため、しっかり泡立てる。
角は湯洗いだけでよいので行わず、シャンプーやリンスがかからないよう気を付けなければならない。
シャンピングを終えたら、すすぎも、たっぷりの湯で行う。
頭部、首、胸、胴、前後肢と順にすすぐ。
地肌へお湯が通るまで、パタパタと叩くよう、パッティングしながらすすぐ。
毛がキュキュッと軋むまで流す。
すすぎが悪いとドライング後に毛がベタつく。
「平気?疲れてない?」
「疲れてないよ。まだまだ頑張れる!」
ベイジングは体を大きく動かす作業なので体力の消耗が激しい。
逆瀬川ちゃんの体調もチェックして、リンシングを行う。
皮膚表面に膜を張って皮膚トラブルを起こすため、これもしっかりすすぐ。
ユニコーンが全身を振るって遠心力で水を飛ばしたら耳栓を取って息を吹きかけてやる。
この時点で生臭さはなくなったが、毛のくすみはまだ残っていた。
実習室へ戻って、タウエリングを行う。
不十分だとドライングの時間が長くなってしまい負担になるので丁寧に拭き取る。
顔を拭くときはタオルが目に当たらないよう注意する。
たてがみと尻尾は特に毛の量が多く乾きにくいので、地肌の水分をしっかり取っておく。
角は意識して、特に優しく拭わなければいけない。
「さ、これで終わりだ」
僕はスタンドドライヤーを運んできて、逆瀬川ちゃんとユニコーンに、もうひと頑張りだと一声かけた。
ドライヤーのスイッチを入れる。
必ず、低温に調節。
ドライングは、カットの仕上がりに影響が出るので大切な作業だ。
温風が皮膚に垂直に当たるように、ただし三十糎は離して、ブラッシングと同じ要領でピンブラシを用いて縮れた毛が根元からなくなるまで乾かす。
最初に体温が下がって下痢などしないよう、腹と同時に脇と内股を優先して乾かす。
次に顔を冷風で、口や鼻に風が直接当たらないようにしてコームで乾かす。
そして毛の多いたてがみに尻尾、全身と乾かしていく。
最後に手の甲を当てて確認しながら、冷風で体に残っている熱気を冷ます。
忘れず耳を乾拭きして、仕上げに全身をコーミングして午前の作業、と言っても昼過ぎに終えた。
ユニコーンは隣の部屋に用意された厩舎で休ませてやる。
「あー終わった」
「お腹ぺこぺこだね」
三階の控え室へ入って直ぐに見つけた。
おかあさん。ではなく、もにくさんを。
彼女は、すっかり仲良くなった熟女と楽しそうに談笑していた。
「あ!お疲れさま!お弁当忘れてたから持ってきたよ」
「それは、うっかりしてたな。わざわざ隣町まで届けに来てくれてありがとう」
「どうしたん?」
「ん?」
「学校に来たら怒るかな、て思ったんやけど、それでメールしよっかなって迷って、でも」
「怒るわけないじゃないか。僕は、百日紅が来てくれて嬉しいよ」
そう言って僕は、気が狂ったのか恥知らず、クラスメイトの前で百日紅をいきなり鷲掴みにして頬っぺたをすりすりした。
どうしてこんなことをしてしまったのか。
その原因はユニコーンにあると今ならハッキリ分かる。
ユニコーンの角には解毒作用があるらしい。
それが確かなら、僕の中の毒が浄化されたというわけだ。
そういうことにしてほしい。
「川大くんは、百日紅さんを愛してるんだね」
逆瀬川ちゃんは天使の笑みで慈愛を唱えた。
対して僕は「愛してるよ。いつもありがとう」と気持ち悪い言葉を気味悪い笑顔で百日紅へ伝えてしまった。
当の百日紅は満更でもないというより、むしろ嬉々として両足を揺らしている。
それをクラスメイトが表情まで和やかに見守っている。
最悪の思い出、トラウマならぬタイガーユニコーンだ。
ミラクルファンタジーパワー侮るべからず恐るべし。
「箸がないだろう。ほら食べさせてやるよ」
「ちょいやめ。恥ずかしなってきたわ」
「遠慮するなって」
ユニコーンのミラクルファンタジーパワーを一人だけ受けていない百日紅は少しずつクラスの異変に気付いて、顔を赤くしながらモジモジキョロキョロ、あからさまに戸惑いを隠せなくなってきた。
そしてついに、みんなの誘いを受けて一人一人のお弁当を素早く巡り窓から飛んで逃げた。
家に帰るといつもの百日紅に戻っていたので、本人は今日の出来事を特に気にしていないみたいだ。
「さて、張り切って頑張ろう」
「午後もよろしくね。ユニコーンさん、川大くん」
厩舎へ迎えに行くとユニコーンの皮毛は透明に戻ってフワフワになっていた。
自分のグルーミングで体調が良くなったことが目に見えて凄く嬉しい気持ちになった。
これも、モンスタートリマーとして頑張っていこうと思ったキッカケの一つだ。
ユニコーンは気を許してくれて、ハープのような音色で嘶き好意的に身をすり寄せてくれた。
「次は川大くんの番」
「よし」
午後の作業は削蹄とトリミングの二つ。
まずは蹄を削る作業から始める。
僕が逆瀬川ちゃんと交代してユニコーンの前肢に触れると、彼は自ら膝を折ってくれた。
それを自身の脇でガッチリ挟んで、蹄をしっかり手で固定して、専用のナイフを縦に置いて手前から奥へ水平に削っていく。
傷だらけになり白く濁っている表面を削って、透明になるまで、慎重に、何度も薄く削っていく。
傷付いた蹄は柔らかく力をそう必要としないが、柔らかいからこそ削り過ぎないよう気を付けることが大事だ。
そして仕上げにヤスリで形を整えるのだが、このとき蹄の底が水平になるように注意する。
蹄を接地させて確認する。
水平にしなければ、歩くときや走るときに支障をきたして怪我の原因となるためだ。
「辛かったー」
女の子は特に辛かろう。
今の作業は力もいるし無理な姿勢での作業を要求される。
「僕からカットする。その間に少しでも体をほぐしなよ」
「うん。ありがとう」
ここは俺に任せて休め。
仕事仲間への気遣いは大事だ。
ベストコンディション、ベストコンビネイションで臨むことが相応しい。
僕は左手にコームを、右手にスキバサミを構える。
カットは見映えをよくするために行う。
ユニコーンは、たてがみと尻尾をカットする。
逆瀬川ちゃんと相談して、この日の僕は尻尾を担当することに決めた。
尻尾はその先を、後ろ脚の膝の高さまで切り揃える。
ハサミは親指と薬指を穴に通して、小指を出っ張りに乗せて持つ。
ハサミの刃を地面と平行にして、人差し指で支えながら、親指だけを下に開いて片方の刃を動かしカットする。
これが地味に難しい。
逆瀬川ちゃんは僕より器用で腕がいい。
交代して逆瀬川ちゃんが整えたたてがみの毛先は違和感なく自然だ。
ユニコーンさん、下手で済まない。
「角は逆瀬川ちゃんに任せようか」
「いいの?」
「いいよ。僕は全身の手入れをする」
「分かった」
僕が初めてユニコーンの細い角に触れた時、ゴムのような弾力があって、何かの拍子にパキッと折れるのではないかと内心ビビッてしまった。
というわけではなく、そういう柔和で繊細な作業は女の子がきっと向いているので、美少女である逆瀬川ちゃんに任せようというわけだ。
ユニコーンの角の手入れは、柔らかいタオルに希釈したローズマリーのアロマを染み込ませて撫でるように行う。
ローズマリーには、脳にエネルギーを供給して各器官を回復してくれる効能がある。
そしてまた、精神疲労の回復にも効果がある。
一方で僕は、希釈したクラリセージのアロマを手の平サイズのスプレーで全身に軽く吹き付けて馴染ませた。
クラリセージはホルモンバランスを整え、神経回復にも効果がある。
そして、体の防衛機能を高めて衰弱した体に活力を与えてくれる。
これにて、グルーミングは全て終了。
「おつかれ。ありがとう」
たまにだけど、ユニコーンの言葉が脳内に直接届く気がする。
気がするだけだ。
本当にあったら怖いし、正直ちょっと引く。
このようにストレスの原因が去れば元の状態に自然と戻ることを恒常性という。
しかし、過度なストレスを受けたり長期に渡ってストレスを受け続ければ、恒常性の働きが異常をきたし、三つのバランスを崩してしまう。
その結果、免疫力が低下したり、自律神経が乱れたりして、心身に様々な障害が出てしまう。
ストレスの原因、ストレッサーは大きく三つに分かれる。
一つは物理的、環境によるもの。
暑い寒い、騒音、ウイルス等。
二つめは生理的なもの。
栄養不足、アレルギー原因物質、等による刺激。
三つめは精神的なもの。
精神的苦痛だ。
ユニコーンはストレッサーに弱い繊細な生き物である。
彼らは他種を愛し、相手の心を深く理解する。
心が読めるのか、人が言葉を発する前に行動することも多い。
「ユニコーンに産業経済種がいないのは、さっき言ったようにストレスに弱いためだ。人の作った環境では生きていけない」
ドワーフ先生は続けて、ユニコーンの役割について教えてくれる。
「彼らの役割は、環境から心身に至るまで、幅広く清らかに浄化することだ」
ユニコーンは後に登場する獅子のように常に移動して生きる。
彼らが移動することで地下水が浄化、清らかに保たれ、それが世界を巡るという。
その恩恵を受けて、この世界は永く穏やなのだとドワーフ先生は力説する。
夏地方に緑があって水に困らないのも彼らの働きによるところが大きい。
僕はこの話を聞いた時、曖昧模糊としたミラクルファンタジーパワーに対して嘲るような疑いを抱いたが、ユニコーンのグルーミングを行い、身をもって知り納得することになる。
その話をする前に、もう少しユニコーンの生態について伝えよう。
「さちさん。ユニコーンの寿命は知っているかな?」
さちさん。
彼女は誰からも名前で呼ばれる。
上浮穴郡久万高原蝶さち。
その理由はこのように名字が難解だからだ。
今でも読めない。
彼女はママと甘えたくなるような二児の母である。
蝶のようにおおらかな愛を持つ。
彼女は両親に子供を任せてこの学校へ通っている。
世の子供達とモンスターの接点になりたいそうだ。
「寿命は百四十年ほどです」
「その間に子は何頭生まれる?」
「一生の最期に一頭だけ産みます」
「どう思う?」
「え?はい、儚いけれど素敵だな、と思います」
「その通りだあ!」
ドワーフ先生はまた泣く。
飽きた、ていうくらいの頻度で泣く。
「ユニコーンは夏地方の草原を巡って一生を終える。百頭近い群れで互いを、深く慈しみ、助け合い生活するのだ」
ドワーフ先生が、深く慈しみ、そこを嗚咽混じりに特に強調する。
ユニコーンはどんな時も仲間を見捨てることがなく、仲間の命が尽きれば涙を流してしばらく寄り添う。
また、先述したが他種もそうして愛する。
怪我を負った動物を介抱したり、花に水をやる姿まで目撃されている。
「彼らは清潔な環境を好み、綺麗な水飲み場を知っている。動物達が彼らを頼って集まることも多い」
ユニコーンが常に移動しているのは、そうした理由のためだ。
浄化された水飲み場を巡って移動している。
そしてもう一つ。
「彼らが移動を続けるのは、なるだけ雨を避けるためだ」
雨は好きでも泥は嫌い。
ユニコーンの最たる特徴であり、鋭い感覚器である一本角で敏感に雨を察知して回避する。
そして、雨が落ち着いて適度に乾燥した頃、浄化された水飲み場を求めてそこへやって来る。
「中山くん。君なら清潔を好むユニコーンがどこで眠るのか、もちろん知っているだろう」
「はい。土上では絶対になく、必ず草の上で眠ります。高齢のものを中心にして、隙間なく身を寄せて輪になって眠ります」
「愛おしいだろう!」
「はい!とても愛おしいです!」
モンスターを誰より愛するこの二人は後に意気投合して飲み仲間となるのだったというのは置いといて話を続けよう。
ユニコーンは身を守るために日が完全に暮れてから眠り夜明け前に起きる。
彼らの体毛は透明で、夜にはすっかり黒闇に紛れる。
また、排泄物とは思えない真珠のような糞を果樹の根本にする。
それは果樹の栄養分となり、そのおかげで立派な果実が育つ。
彼らは謙虚に雑草を主食とし、他種の摂餌を脅かさない。
最後に、彼らは死後も他種に命を繋ぐ。
「それでは各自、作業を始めてください」
マダム先生とユニコーンを見比べる。
彼女に劣らず綺麗だ。
見かけはスラっとした頭にドリルの生えたポニー。
細長く透明な皮毛は光を受けると白銀に煌めいて、真に美しく見える。
のだが、接近すると墨でも染みたみたいな灰色の毛が混じっているのが見えるし、ちょっと生臭い。
これは彼らがストレスで弱っている証で、この様な状態になると自ら人を頼って現れるという。
その為に彼らの生活圏にはフェアリーサークルを備えた保護観察所が幾つか置かれている。
実習は、はむちい同様専用の部屋で行う。
床に人工芝が生えたトリミングテーブルのない部屋だ。
ユニコーンは、それぞれのチームの所へ自ら歩み寄る。
「今日も冷えるな」
「うん少し。不思議だね」
逆瀬川ちゃんも僕と同じに腕を擦る。
それほどひんやりしている。
ユニコーンの体温は夏地方の暑さに抗うように低く冷たい。
トリマーを考えて弱く暖房をかけているのだが、あまり効果はないように思う。
とにかく体を動かすしかない。
僕達は体調チェックを終えて、まずはベーシックの作業を始める。
もつれをチェックしながら、肌が敏感なので全身をピンブラシで、顔をコームで、力加減に気を付けながらしっかりブラッシングを行う。
この時、もしもつれが残っていたら、シャンプーが綺麗に行えなかったり、ドライングが終わった時点で正確に毛を伸ばしたり、余計な時間がかかってしまう。
また、カットの時にきっちりと立毛することが出来ず、毛を綺麗に切り揃えられない。
コーミングで全身のチェックを済ませたら、耳掃除をして次の作業へと移る。
「ふう。これで一段落」
逆瀬川ちゃんが一息つくや、ユニコーンは彼女へ密着した。
移動しようと澄んだ瞳が訴える。
「やっぱり、ユニコーンには僕達の考えが分かるみたいだ」
くすんだ角でも心を読むのは容易いらしい。
しかしこの時、よく分からない行動を一つする。
いつも、どのユニコーンも頭を使って逆瀬川ちゃんを僕へ押しやるのだ。
「おっとと、ごめんね。何でだろう」
「さあ。気にしなくていいよ」
僕は若干の興奮を抑えながら逆瀬川ちゃんの背中越しにユニコーンの体に触れて移動を促す。
逆瀬川ちゃんとユニコーン、まるでどっちをエスコートしているやら。
間もなく、区切られたシャワールームへユニコーンを入れたら、彼の耳に水が入らないよう耳の穴より一回り大きな綿を詰める。
「逆瀬川ちゃん。ベイジングを始めよう」
ベイジングは入浴させる作業。
皮膚や皮毛の汚れを落として体臭を取り除く効果がある。
これがきちんと出来ていなければ、カットの段階でいくらやっても毛が揃わない。
また、汚れが落ちていなければ、油分が埃や汚れを吸い付けて、数時間でもつれてしまう。
「うん。温度チェックも大丈夫」
人の体温より少し低めに温度を調節して、後方よりシャワーをかけて洗っていく。
顔はシャワーの勢いを弱める。
湯をかけるのではなく、湯で洗っていく。
皮膚まで染み込ませることが重要だ。
素洗いがしっかり出来ていないとシャンプーが泡立たない。
たてがみに尻尾、内股、足の指の間や裏の洗い残しにも注意する。
続けてシャンピングを行う。
シャンプーはきめ細かく泡立てる。
爪は立てず、毛を洗うだけでなく、皮膚を洗う。
目や鼻梁周辺の毛は指先を使って、摘まむようにして洗う。
口吻部は臭いを取り除くため、しっかり泡立てる。
角は湯洗いだけでよいので行わず、シャンプーやリンスがかからないよう気を付けなければならない。
シャンピングを終えたら、すすぎも、たっぷりの湯で行う。
頭部、首、胸、胴、前後肢と順にすすぐ。
地肌へお湯が通るまで、パタパタと叩くよう、パッティングしながらすすぐ。
毛がキュキュッと軋むまで流す。
すすぎが悪いとドライング後に毛がベタつく。
「平気?疲れてない?」
「疲れてないよ。まだまだ頑張れる!」
ベイジングは体を大きく動かす作業なので体力の消耗が激しい。
逆瀬川ちゃんの体調もチェックして、リンシングを行う。
皮膚表面に膜を張って皮膚トラブルを起こすため、これもしっかりすすぐ。
ユニコーンが全身を振るって遠心力で水を飛ばしたら耳栓を取って息を吹きかけてやる。
この時点で生臭さはなくなったが、毛のくすみはまだ残っていた。
実習室へ戻って、タウエリングを行う。
不十分だとドライングの時間が長くなってしまい負担になるので丁寧に拭き取る。
顔を拭くときはタオルが目に当たらないよう注意する。
たてがみと尻尾は特に毛の量が多く乾きにくいので、地肌の水分をしっかり取っておく。
角は意識して、特に優しく拭わなければいけない。
「さ、これで終わりだ」
僕はスタンドドライヤーを運んできて、逆瀬川ちゃんとユニコーンに、もうひと頑張りだと一声かけた。
ドライヤーのスイッチを入れる。
必ず、低温に調節。
ドライングは、カットの仕上がりに影響が出るので大切な作業だ。
温風が皮膚に垂直に当たるように、ただし三十糎は離して、ブラッシングと同じ要領でピンブラシを用いて縮れた毛が根元からなくなるまで乾かす。
最初に体温が下がって下痢などしないよう、腹と同時に脇と内股を優先して乾かす。
次に顔を冷風で、口や鼻に風が直接当たらないようにしてコームで乾かす。
そして毛の多いたてがみに尻尾、全身と乾かしていく。
最後に手の甲を当てて確認しながら、冷風で体に残っている熱気を冷ます。
忘れず耳を乾拭きして、仕上げに全身をコーミングして午前の作業、と言っても昼過ぎに終えた。
ユニコーンは隣の部屋に用意された厩舎で休ませてやる。
「あー終わった」
「お腹ぺこぺこだね」
三階の控え室へ入って直ぐに見つけた。
おかあさん。ではなく、もにくさんを。
彼女は、すっかり仲良くなった熟女と楽しそうに談笑していた。
「あ!お疲れさま!お弁当忘れてたから持ってきたよ」
「それは、うっかりしてたな。わざわざ隣町まで届けに来てくれてありがとう」
「どうしたん?」
「ん?」
「学校に来たら怒るかな、て思ったんやけど、それでメールしよっかなって迷って、でも」
「怒るわけないじゃないか。僕は、百日紅が来てくれて嬉しいよ」
そう言って僕は、気が狂ったのか恥知らず、クラスメイトの前で百日紅をいきなり鷲掴みにして頬っぺたをすりすりした。
どうしてこんなことをしてしまったのか。
その原因はユニコーンにあると今ならハッキリ分かる。
ユニコーンの角には解毒作用があるらしい。
それが確かなら、僕の中の毒が浄化されたというわけだ。
そういうことにしてほしい。
「川大くんは、百日紅さんを愛してるんだね」
逆瀬川ちゃんは天使の笑みで慈愛を唱えた。
対して僕は「愛してるよ。いつもありがとう」と気持ち悪い言葉を気味悪い笑顔で百日紅へ伝えてしまった。
当の百日紅は満更でもないというより、むしろ嬉々として両足を揺らしている。
それをクラスメイトが表情まで和やかに見守っている。
最悪の思い出、トラウマならぬタイガーユニコーンだ。
ミラクルファンタジーパワー侮るべからず恐るべし。
「箸がないだろう。ほら食べさせてやるよ」
「ちょいやめ。恥ずかしなってきたわ」
「遠慮するなって」
ユニコーンのミラクルファンタジーパワーを一人だけ受けていない百日紅は少しずつクラスの異変に気付いて、顔を赤くしながらモジモジキョロキョロ、あからさまに戸惑いを隠せなくなってきた。
そしてついに、みんなの誘いを受けて一人一人のお弁当を素早く巡り窓から飛んで逃げた。
家に帰るといつもの百日紅に戻っていたので、本人は今日の出来事を特に気にしていないみたいだ。
「さて、張り切って頑張ろう」
「午後もよろしくね。ユニコーンさん、川大くん」
厩舎へ迎えに行くとユニコーンの皮毛は透明に戻ってフワフワになっていた。
自分のグルーミングで体調が良くなったことが目に見えて凄く嬉しい気持ちになった。
これも、モンスタートリマーとして頑張っていこうと思ったキッカケの一つだ。
ユニコーンは気を許してくれて、ハープのような音色で嘶き好意的に身をすり寄せてくれた。
「次は川大くんの番」
「よし」
午後の作業は削蹄とトリミングの二つ。
まずは蹄を削る作業から始める。
僕が逆瀬川ちゃんと交代してユニコーンの前肢に触れると、彼は自ら膝を折ってくれた。
それを自身の脇でガッチリ挟んで、蹄をしっかり手で固定して、専用のナイフを縦に置いて手前から奥へ水平に削っていく。
傷だらけになり白く濁っている表面を削って、透明になるまで、慎重に、何度も薄く削っていく。
傷付いた蹄は柔らかく力をそう必要としないが、柔らかいからこそ削り過ぎないよう気を付けることが大事だ。
そして仕上げにヤスリで形を整えるのだが、このとき蹄の底が水平になるように注意する。
蹄を接地させて確認する。
水平にしなければ、歩くときや走るときに支障をきたして怪我の原因となるためだ。
「辛かったー」
女の子は特に辛かろう。
今の作業は力もいるし無理な姿勢での作業を要求される。
「僕からカットする。その間に少しでも体をほぐしなよ」
「うん。ありがとう」
ここは俺に任せて休め。
仕事仲間への気遣いは大事だ。
ベストコンディション、ベストコンビネイションで臨むことが相応しい。
僕は左手にコームを、右手にスキバサミを構える。
カットは見映えをよくするために行う。
ユニコーンは、たてがみと尻尾をカットする。
逆瀬川ちゃんと相談して、この日の僕は尻尾を担当することに決めた。
尻尾はその先を、後ろ脚の膝の高さまで切り揃える。
ハサミは親指と薬指を穴に通して、小指を出っ張りに乗せて持つ。
ハサミの刃を地面と平行にして、人差し指で支えながら、親指だけを下に開いて片方の刃を動かしカットする。
これが地味に難しい。
逆瀬川ちゃんは僕より器用で腕がいい。
交代して逆瀬川ちゃんが整えたたてがみの毛先は違和感なく自然だ。
ユニコーンさん、下手で済まない。
「角は逆瀬川ちゃんに任せようか」
「いいの?」
「いいよ。僕は全身の手入れをする」
「分かった」
僕が初めてユニコーンの細い角に触れた時、ゴムのような弾力があって、何かの拍子にパキッと折れるのではないかと内心ビビッてしまった。
というわけではなく、そういう柔和で繊細な作業は女の子がきっと向いているので、美少女である逆瀬川ちゃんに任せようというわけだ。
ユニコーンの角の手入れは、柔らかいタオルに希釈したローズマリーのアロマを染み込ませて撫でるように行う。
ローズマリーには、脳にエネルギーを供給して各器官を回復してくれる効能がある。
そしてまた、精神疲労の回復にも効果がある。
一方で僕は、希釈したクラリセージのアロマを手の平サイズのスプレーで全身に軽く吹き付けて馴染ませた。
クラリセージはホルモンバランスを整え、神経回復にも効果がある。
そして、体の防衛機能を高めて衰弱した体に活力を与えてくれる。
これにて、グルーミングは全て終了。
「おつかれ。ありがとう」
たまにだけど、ユニコーンの言葉が脳内に直接届く気がする。
気がするだけだ。
本当にあったら怖いし、正直ちょっと引く。
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