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旭ガ丘ひつじ

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怪楽園

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ミルク「楽園て呼ばれてるってシスターさん達に聞いたよ!」

神父「困ったシスター達ですね」

イチゴ「わしらも行きたい!」

神父「私ひとりに任された仕事ですので、同行を許すことは出来ません」

ココア「楽園、と呼ばれるからには危険なところではないのでしょう」

神父「皆がそう噂しているだけで」

イチゴ「仕事の邪魔はせんけ行きたい!」

ミルク「セイントタワーもなくてアンデットもいない、平和な島なんでしょう」

神父「そうなのですが、そこは独自の自治が許されている場所で、つまりは世界から外れた場所なのです」

イチゴ「分かるように言って」

神父「向こうには向こうのルールがあって、どんな危険があるのか分からないのです」

イチゴ「楽園なのに?」

ミルク「おかしいよ」

神父「外から見れば楽園に見ても、中に入れば楽園かどうかは分かりません」

イチゴ「トイレがないとか?」

神父「うーん、まあ、かも知れません」

ミルク「トイレくらいあるでしょう」

神父「そうだといいのですが」

ココア「ダメな理由をハッキリ仰ってください。納得出来ません」

神父「君も行きたいのですか?」

ココア「はい。海が目の前にある都市は数少なく、しかも高いところにありますので、海に囲まれている小島はとても珍しく興味があります。それから」

神父「それから?」

ココア「アンデットが昔からいない。つまり、昔と変わらない生活をしているはず。これは、とても勉強になると思うのです」

神父「なるほど」

ミルク「ちょー勉強したい」

イチゴ「わしも勉強する」

神父「ダメです」

ココア「何か隠し事があるのでしょう」

神父「それは……」

イチゴ「女の勘は当たるぞ」

神父「分かりました。ハッキリ伝えておきましょう」

イチゴ「何じゃ」

神父「誰にも内緒ですよ」

ミルク「内緒にします。約束」

神父「一度しか言いませんからね」

ココア「どうぞ」

神父「黒魔術師の本拠地の可能性があるのです」

イチゴ「黒魔術師の……何じゃ!」

神父「秘密基地ですよ」

ミルク「そうだったの!」

神父「かもね、ということで危険なのです」

ミルク「じゃ、やめておきます」

イチゴ「行くぞ」

ミルク「話を聞いてた?」

イチゴ「神父さんはヒューマンじゃけ、魔術師がいっぱいいたら死んじまう」

神父「死なない死なない死にましぇん。もしもがあっても大人だから平気です」

ココア「お爺さんじゃないですか」

神父「お爺さんと幼い孫娘では、どちらにせよ敵いません。島民は六百人を越えます」

ミルク「きっと大丈夫。二人は強いもん」

イチゴ「ブラウニーもおるぞ。力を合わせれば逃げられるはずじゃ」

ココア「私達はファミリーです」

神父「うーん、これは困ったことになったぞ」

イチゴ「わしら、おとなしくしとるけ」

神父「出来るかなあ」

ミルク「怖いけど、それでも行ってみたい。海をちゃんと見たいの」

ココア「私達はユーエフオーの窓からしか海を見たことがないのです」

神父「はあ……分かりました」

ミルク「良かった」

神父「一泊しますので荷物をまとめておきなさい。明日の朝は早いですよ」

イチゴ「今日は三人で寝るけ、寝坊はせん!」

ココア「一応言っておきますけど、嘘ついて置いてけぼりにしたら怒りますからね」

神父「神父さんは嘘をつきません」

イチゴ「神に誓って!」

神父「神に誓って約束しましょう」

イチゴ「決まり!」

ココア「ねえ神父さん、日焼け止めはいるでしょうか?」

神父「あった方がいいけど。あの、勉強する気ある?」

ココア「あります!」

ミルク「ちょーヤル気!」

神父「海は浅いところしか行っちゃダメですよ。浮き輪はなしです」

イチゴ「えー」

ミルク「しょうがないよ」

イチゴ「うん。そうじゃね」

神父「綺麗な貝殻が落ちていると思うので、それを拾って持って帰るのはどうでしょう」

ミルク「ナイスアイディア!ちょー最高!」

イチゴ「蟹がおったら持って帰ってええ?」

神父「ダメです」

イチゴ「えー」

ミルク「しょうがないよ」

イチゴ「うん。そうじゃね」

ココア「魚釣りは?」

神父「ダメ以前に絶対に無理でしょう。いたいけにパチャパチャしてなさい」

ココア「分かりました」

ミルク「しょうがないよ」

イチゴ「うん。イケイケでパチャパチャしよう」

ココア「いぇーい」

神父「仕方ない。仕事が終わったら魚釣りを一緒にやりましょう」

ココア「神父さん大好き!」

イチゴ「イケイケじゃ!」

ミルク「楽しみにするね!」

神父「守りたい笑顔……!常夏の太陽より眩しい!」
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