今日イチゴ明日ミルク明後日ココア

旭ガ丘ひつじ

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6回目の風邪

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イチゴ「ぺっぷしっ!」

神父「良かった。うどんを綺麗に食べましたね。あとはお薬を飲みなさい」

イチゴ「これは?」

神父「栄養ドリンクです。君にとってはジュースみたいなものです」

イチゴ「ジュース!やった!」

神父「ちょっと変わった味ですけどね」

イチゴ「でも、おいしい」

神父「それは良かった。水筒の温かいスポーツドリンクはまだ残っていますね」

イチゴ「うん」

神父「それでは、布団をきちんと被って温かくして、少し眠ってください。夜はシスターにお任せしますので私はこれで」

イチゴ「待って」

神父「どうしました?」

イチゴ「寝るまでここにいて」

神父「分かりました。いいでしょう」

イチゴ「何かお話しして」

神父「お話、ですか。うーん」

イチゴ「神父さんは、ずっと神父さんなの?」

神父「昔はファミリーを組んでアンデットと戦ったりもしましたよ」

イチゴ「強かった?」

神父「もちろん。と言いたいところですが、私はヒューマンでしたので。当然に超能力は使えず、武器もうまく扱えず、それで神父さんになろうと勉強を始めました」

イチゴ「どんなアンデットと戦ったの?」

神父「私が若い頃は、まだ人型アンデットはおりませんでした。それに、今ではたまに見かけるキメラアンデットも珍しい時代でした」

イチゴ「キメラアンデット?」

神父「君達が初めて戦ったアンデットのように、二種類以上の生き物の特長や特性を合わせ持ったアンデットのことです」

イチゴ「あークマイノシシとか百足蜘蛛のことか」

神父「そうです。しかし、現在よりもアンデットがたくさんいて争いの激しい時代でありました」

イチゴ「怖いね」

神父「そりゃもう怖かったですよ。まず世界救護軍がユーエフオーや様々な兵器でアンデットをバババッと攻撃して、ファミリーは残ったアンデットを倒したり死体を片付けるのが主な仕事でした。私はミルクさんと同じで後ろからバンバンと撃ってサポートする係でしたから、数が多いと大変で大変で」

イチゴ「私達もたくさんのアンデットに追いかけられた時あるよ」

神父「怖かったでしょう」

イチゴ「うん。でも、友達がいたから平気だったかも」

神父「私もです。今は、三人とも遠く離れた場所にいますが、あの時はとても頼りになりました」

イチゴ「強かった?」

神父「私なんかよりもずっとね。三人ともヒューメイリアンで、魔法で戦うことを得意としていました」

イチゴ「ヒューメイリアンは、やっぱり魔法を使うんだ」

神父「ヒューメイリアンは半信半疑で魔法は試行錯誤、そんな曖昧で不安な時代でも、彼らは前線で立派に活躍してたくさんの人に支持されていました」

イチゴ「本を持ってた?」

神父「魔導書のことですね。もちろん持っていましたよ。本というよりはメモ帳みたいなものです。魔法の特徴をその都度に記しておくものです」

イチゴ「魔法って、想像したことを本当にするんでしょう」

神父「ええ。ヒューマンにとっては、さっぱり分からないですけど」

イチゴ「私もヒューメイリアンだけど、まだ覚醒してないから分からない」

神父「ヒューメイリアンは超能力や魔法を感覚的に理解するそうです。あなたも、いつかその日がきっと来るでしょう。魔法を扱うのはとても難しく、ヒューメイリアンでも扱えるものは僅かですが。しかし超能力ならば、物を動かしたり透視をしたり、もしかしたら未来予知なんてのが出来るようになるかも知れません」

イチゴ「楽しみ」

神父「楽しみですね」

イチゴ「じゃ、そろそろ寝るね」

神父「はい。ゆっくりお休みなさい」

イチゴ「行かないでね」

神父「君が眠るまで側にいます」

イチゴ「手、握ってて」

神父「喜んで」

イチゴ「ありがとう。おやすみ」

神父「子守唄でも歌ってあげましょうか」

イチゴ「ううん。いらない」

神父「残念、自信があったのに」
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