今日イチゴ明日ミルク明後日ココア

旭ガ丘ひつじ

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今日なんの日か覚えてるよね?

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イチゴ「さあ、焼肉を食いに夜の町へ行くぞ!」

神父「あまり大声を出さないようにね」

イチゴ「わかっておる。わしもうら若い乙女じゃ」

ココア「もっと乙女になれるよう、よろしければ私がご指導しますよ」

イチゴ「いらん。わしは弱い女になるつもりはない」

ココア「ちょっと、それどういう意味ですか?」

イチゴ「ココアは、ふわふわしよるけ」

ミルク「むしろカチカチだよ」

ココア「ミルク」

ミルク「何でもないったら何でもない」

イチゴ「わしはイケイケになりたい」

ココア「それこそ、ふわっふわっじゃないですか」

イチゴ「イケイケ言うとろう。耳が遠いんけ」

ココア「おまえには理解する脳がないんだ」

ミルク「えええいいああ!」

ココア「嘘泣きやめて」

ミルク「しくしく……こんな日にまで……くすん……喧嘩しちゃやだあ」

神父「二人とも。仲良くしなさい」

イチゴ「ココア、わしと手え繋いで歩こう」

ココア「ええ。そうしましょう」

イチゴ「いたたた!痛い!」

ココア「そっちこそ。くぬ、バカの力ですね」

ミルク「うるさい。間に入る」

神父「人が来たら通行の邪魔ですよ」

ミルク「私が二人を、ぎゅってするから大丈夫」

神父「リーダーシップがありますね」

ミルク「私も成長してるの」

神父「この一ヶ月の間に、みなさんはとても成長したと私も思います」

イチゴ「神父さん、よう分かっちょる」

神父「自分のことは自分できちんと出来るようになりました。洗濯も掃除も、日用品の買い物だってこなせるようになりましたね。目覚ましい成長です」

イチゴ「部屋の片付けも出来るようなったぞ!」

神父「偉い」

ミルク「私はリーダーらしくなったし、あとねーえとね」

イチゴ「アンデットと戦う時に勇気が出せるようなった」

ミルク「え、んーそうかな?」

神父「立派」

ココア「私は……私は……ないかも」

イチゴ「ココアは元々しっかり者じゃけ」

ミルク「あ!色んなことに興味を持って、新しいことにチャレンジするようになったのは成長だと思うよ」

神父「花丸」

ミルク「今日はファミリーになって一ヶ月記念日で、みんなの成長記念日だね」

神父「この先の成長も楽しみです。きっと家族もそう思っています」

イチゴ「連絡してないけえ、分かるわけないじゃろう」

神父「言われてみれば、そうですね」

ココア「私のお母さんなら、誰かに監視させている可能性があります」

イチゴ「なに!スナイパーけ!」

ミルク「それは命を狙う時だよ」

イチゴ「じゃあ、あれじゃ!あんパンと牛乳!」

ミルク「それは犯人を見張る時」

イチゴ「浮気を探る時!」

ミルク「さっきからわざと間違えてるでしょう」

ココア「しかし、全てあり得ます」

ミルク「え?スナイパーも?」

ココア「悪い人から守ってくれるなら」

ミルク「お母さんのこと信頼してるんだね」

ココア「ふん!過保護で昔から窮屈しています!」

ミルク「嫌いって思うことが多いけど、好きなところだってあるでしょう。分かるよ」

ココア「別に!」

イチゴ「わしは親父もお袋も街のみんなも好きじゃぞ」

神父「では、なぜ家出を?」

イチゴ「オモチャが欲しいなら自分で買いなさいってお袋に言われたからじゃ。それなら、自分で買うしかないけえ」

神父「行動力が常識はずれですね」

イチゴ「女は甘えてええ。じゃけど、女が頼ってええのは自分だけじゃ。自分のことは自分でしないとあかん」

ミルク「実はイチゴが一番しっかりしてたりして」

ココア「言葉と態度がまったく合っていませんよ」

イチゴ「わし、頑張っておろうが」

神父「とても頑張っています。でも、頼ってくれてもいいんですからね。子供でも、大人になっても」

イチゴ「分かっちょる。ミルクとココアも、神父さんもシスターさん達も、教会の人もファミリーの人達もみんな頼りにしとる」

ミルク「ちょっと照れるかも」

神父「どんどん頼ってください」

ココア「けど、さっきの貴女の言葉とはやっぱり合っていません」

イチゴ「バーカ」

ココア「なんだと!」

イチゴ「わしにはわしの生き方がある。それでも自分らしく生きることが一番大切なのじゃ!」

ココア「自分らしく……生きる」

イチゴ「そうじゃ。そして、わしはいつか、マミーよりも強くて素敵な女になるつもりじゃ」

ココア「マミー、つまりお母さんを越えるということですか?」

イチゴ「お母さん言うても、ネオン街のみんなにとってのお母さんじゃぞ」

ココア「分かるか!誰よ!」

イチゴ「会いたかったら今度会わせてやるけえ」

ココア「いいです」

イチゴ「遠慮しなくてええぞ。マミーは良い子なら誰でもウェルカムじゃけえ」

神父「イチゴさんは、たくさんの大人に囲まれて過ごして来られたようですね」

ミルク「たまにズレを感じるよ」

神父「本人も言葉の意味をよく理解していないと思いますよ。しかし、その言葉を信念として忘れなければ、いつか過った時や迷った時に自分を助けてくれるかも知れません」

ミルク「信念て何?」

神父「正しいと信じていることです」

ミルク「正しいこと。家出は正しいことじゃないよね」

神父「黙って家出したのは悪いことです」

ミルク「そうだよね……」

神父「でも、迷惑をかけずに自分の力で頑張っています。いつか許されて、正しかったと思える日がくるかも知れません」

ミルク「許されるの?」

神父「それは私に聞くことではありませんし、私に答えられることでもありません」

ミルク「分かった。色々と考えてみる」

神父「たくさん考えて悩みなさい。自分のために、誰かのために」
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