いとしのチェリー

旭ガ丘ひつじ

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恩返し

3 ラスト猫ザムライ

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扉を抜けた先は町外れの合戦場だった
甲冑を着た男女が勇ましくネコツキに立ち向かっている
対して、人間の子供級サイズのネコツキがダンボールも甲冑を纏っていた
体は真っ白な石けんで、その手には新聞紙を丸めた剣を握っている

こんなヘチョネコツキなんぞに負けるわけないだろう
と面白く感じてしまうかも知れないが、町の人達は大苦戦
見た目はふざけていても、やはり彼らはネコツキなのだ

猫侍

シンプルな名だ
首輪は付いていないので猫研究同好会の仕業ではないようだ
奥に大人の男級サイズのネコツキ、猫武将を見つける
猫侍と同じ石けんの体、同種だろう
鯉のぼりのネコツキ、猫幟は布製
猫武将はそれに跨がっている
口には菖蒲の花を咥え、手には物干し竿を握っている
どうもあいつが親玉らしい
桜桃は奴と勝負することに決めた

初心に返ってアクセサリーをほとんど外し、能力上昇効果を減らした
そして武器はカカシの大剣をチョイス
Dランクのスキルも必殺技もない初期武器
桜桃の経験とフィジカルが試される

俺と勝負だあー!

猫武将が桜桃の雄叫びに気付いて向き直る
ネコノボリがニャニャーンといなないた
頭から尾へ脈動して、一気に空を滑る
桜桃はその猛進を横に飛んでかわしてみせた
一方で、おたふく侍は正面から迎え撃ち、見事に猫武将をネコノボリから叩き落とした

よくやった!
鯉のぼりは任せたぞ!

ニャアーニャアー
法螺貝っぽい猫の鳴き声
それを合図に猫侍が続々と集まってきた

俺に構うな!
その鯉のぼりをやっつけろ!

鯉のぼりは本物の馬と変わらぬサイズをしている
おたふく侍でも手こずるかも知れない
なにせ彼女はスキルも必殺技も解放されていないのだから
つまり、二人揃ってスキルと必殺技を封じられた状態で戦わねばならない

ええい邪魔だ!
猫武将と真剣勝負させろ!

猫侍とのチャンバラで桜桃の体力は消耗していく
桜桃のレベルが高く、敵を一撃で斬り伏せられるとはいえ、数が多い
また、退治した猫侍が細かい泡になって辺り一帯はシャボン玉まみれになった
それが視界を遮るし、良い匂いもする
どうしても猫武将にまで刃が届かない

ならば跳ぶまでだ
もちろん猫も跳ぶ
桜桃は器用に空中チャンバラを繰り広げるも、背中に一撃を受けて墜落した

ぐぬぬ、、、どうすりゃいい

そこへ紫苑の幟を槍にした山のように大きな体躯の武将が馬に乗って駆けつけた!
桜桃に娘の捜索を依頼した領主、紫雲英である

ゲンゲさん!

お主、なかなか腕が立つのう

ありがとうございます!

そこの娘も悪くない

「その太刀筋、まるで娘に似ている」

おたふく侍はネコノボリを切り倒したところで、頭だけを静かにこちらへ向けた

雑兵はワシに任せて先に行かれよ

しかし、こいつらなかなか手強いですよ
協力した方が

親玉はあいつじゃない
浜に奴らの出城がある

ゲンゲさんは馬から飛び降りると、豪快にバッタバッタと猫侍を薙ぎ倒す

浜へ向かってくれ
ワシらでは敵わぬネコツキがいる

俺達にしか倒せない
つまり、、、ボスか!

また導くように扉が現れた
桜桃はおたふく侍を連れて飛び込む

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